ナット・ターナーとメンバーたちの関連盤

NAT TURNER REBELLION 『Laugh To Keep From Crying』 Philly Groove/Chrysalis Catalogue(2021)

既出シングル4枚からの8曲に蔵出しされた6曲をプラスした全部入り的な一枚。すべて69~72年の間に録音されたそうで、未発表曲もクォリティーで引けを取るものはない。アイズレー・ブラザーズを意識したであろうロッキン・ファンク“Fat Back”をはじめ、ポジティヴで勇ましい“Right On, We’re Back”や“Fruit Of The Land”などの急進的なムードが彼ららしい。哀愁を込めて歌われる“McBride’s Daughter”やシアトリカルな“Care”などのナンバーも暗い輝きを発する。 *出嶌

 

ナット・ターナー・リベリオンからデルフォニックスのメンバーになったメイジャー。ソロでは60年代にオーケーから曲を出していたが、前記グループでの活動を経て、MFSBのボビー・イーライらのプロデュースでこの初ソロ・アルバムを発表した。デヴィッド・ラフィン似のハスキーな声でダンサーやスロウを歌った本作からは究極のセクシー・ソウル“Love Won’t Let Me Wait”が誕生。 *林

 

アトランティックに移籍したスピナーズのソングライターとして活躍したジョセフ・ジェファーソン。トム・ベルのもとで曲を書きはじめ、本作では大半の曲を仲間のチャールズ・シモンズやブルース・ホウズと共作している。ボーイズIIメン“End Of The Road”の着想源とされる“Love Don’t Love Nobody”などメロウなラヴ・バラードを中心とした内容で、表題曲でのポップネスも光る。 *林

 

ANGLO SAXON BAND 『Songs For Evolution』 Atlantic(1976)

かつてウジマ名義で曲を出し、後にPIRからシルク名義で作品を出す男女混成ソウル・グループ。凖メンバー的なジョセフ・ジェファーソンがチャールズ・シモンズと大半の曲を書きプロデュースしたシグマ録音作で、ディスコへの意識も窺えるが、ジョセフがフェンダー・ローズを弾いたメロウでモダンな楽曲は同時期のスピナーズに近い。デブラ・ヘンリーのムーディーな女声とも好相性。 *林

 

HAROLD MELVIN & THE BLUE NOTES 『Reaching For The World』 ABC/PTG(1977)

ブルー・ノーツのABC移籍第1弾。本作からテディ・ペンダーグラスの後を継いだデヴィッド・イーボと同時にビル・スプレイトリーが加入。トム・ベルの秘蔵っ子デレク&シンディのデレク・フロイドが書いたフィリー・ダンサーなどはPIR時代の雰囲気だが、ビルの加入が影響したのか、ナット・ターナー・リベリオンの生まれ変わりのような力強いファンク“Big Singing Star”も登場する。 *林

 

MAJOR HARRIS 『How Do You Take Your Love』 RCA(1978)

RCA移籍作。ジェリー・ラガヴォイ制作のNY録音で、現地の腕利きからなる24丁目バンドが演奏した楽曲はフィリー・ソウルの粋を受け継ぎながらもNY流の洗練が加わり、メイジャーのハスキーなバリトン・ヴォイスも甘く滑らかな印象に。スロウからディスコ・ソングに一変する“I Wanna Dance With You”などではルーサー・ヴァンドロスらのコーラスも都会的なムードに貢献。 *林

 

PATTI LABELLE 『I’m In Love Again』 Philadelphia International/Solid(1983)

70年代後半~80年代前半にはすっかりPIRプロデューサー陣の一角に収まり、ビリー・ポールやスタイリスティックスらを手掛けるようになっていたジョセフ・ジェファーソン。“If Only You Knew”“Love, Need And Want You”を生んだパティ・ラベルのゴールド・ヒット作ではラストのディスコ・ファンク“When Am I Gonna Find True Love”を都会的な手捌きでプロデュースしている。 *出嶌