ならず者とASPを繋ぐ曲
――そこでニュー・シングル“the MAN CALLiNG”のお話ですが、またタイトルが口に出しづらいというか。
ユメカ「問題ないですよ(笑)。あの、マンがコーリングしてるだけです」
ナアユ「何も変じゃないですよ」
――そうですね。
ユメカ「この曲は初めて聴いた時から〈最高じゃん!〉って思って、歌詞を書いて採用されたかったんですけど、やっぱ難しくて、竜宮寺(育)さんが最高な歌詞にしてくださいました。歌ってると自分も何でもできちゃうんじゃないかって思うぐらい、革命が起こせそうな気持ちになる曲です」
モグ「〈反逆者〉とか〈壊せ 常識〉とか歌ってて、ANTi SOCiETY PUNKSそのものだなって。個人的にこういう反抗的な歌詞が好きで、別にASPとか関係なしに前からこんな社会クソ喰らえとか思ってたので(笑)、このグループでこういう歌が歌えるのが凄い好きだし、歌ってて気分が上がります。曲調も最初からブチかましてる感じで盛り上がれるし、掛け声に〈ならず者〉とかも入ってて、ならず者(ASPファンの総称)とASPを繋ぐ曲っていうか、一体感が出ると思うし。振付けも簡単なので絶対みんなで楽しめる良い曲です」
――先日のツアー・ファイナルでもう披露されたんですよね。振付けはどんな感じなんですか?
ナアユ「これは、親指、人差し指、中指を立てた革命ポーズが9.9割のダンスです」
ナ以「9割9分」
ナアユ「9割9分」
――そのハンドサインだけ知ってれば。
ユメカ「はい。とにかくこれを知ってれば、もう絶対この曲は楽しめます。これだけ覚えとけば大丈夫です(笑)」
――振付けは今回も全員で作ったもの?
ユメカ「はい、みんなでやってます。このポーズはどこから出てきたんだろう?」
モグ「みんなピースだの中指だの何かしら手の振りを付けてたから、それをまとめて」
ユメカ「そうか、そうやって革命ポーズが生まれました」
――レコーディングについては、最初にアルバムを録った時と比べてどうでしたか?
ナ以「私だけボイトレにまだ行けてなくて。だから、どうやって歌えばいいかとかも最初のレコーディングからまだそんなに変化がなくって。でもホントに自分が歌詞と音源をもらって感じたままに歌いました」
ユメカ「松隈さんが録ってくださったんですけど、“the MAN CALLiNG”は松隈さんが作曲じゃないので、細かい指示はあまりなくて、曲の雰囲気の通りに、とにかく自分の思うままに歌いました」
――アルバムでも演奏されてたHack the Ceremonyの永井葉子さんが作曲ですね。
ユメカ「そうなんですよ」
ナアユ「歌い方の指示をもらわない感じだったので、レコーディングも自由にできました。特にAメロは〈反逆者の登場~〉とか凄い自由に歌える曲なので」
――メロディーっていうよりも威勢良く吐き出すような雰囲気のパートで。
ナアユ「そうです、そうです。だから楽しかったです。ライヴでも楽しいし」
――一方で、カップリングの“WASTED TEARS”は松隈さんの作曲で、ロウな雰囲気に仕上がっています。
ナ以「ASPの曲は凄く自分の境遇に合う曲が多くて。普通に生活してて、けっこう理由もなく泣いちゃうことがあるんですけど。この“WASTED TEARS”は、そういう時に聴くと、〈泣いてる暇ないぞ〉って、ちゃんと気付かせてくれる曲です。私だけじゃなくて、普通に聴いてくださる方も、マイナスな思考になっちゃった時とかに聴いてくれれば勇気が持てると思います」
ユメカ「“WASTED TEARS”は、松隈さんから〈憂い感みたいなのを出して〉とか〈遠くを見据える感じで歌って〉みたいなディレクションがあって、また新たな自分の表現が生まれたりしておもしろかったです。それと、さっき〈前と変化がない〉みたいに言ってたんですけど、このシングルの2曲を録った時に、みんなめっちゃ変わってるのを実感しました。どんどん歌にチャレンジするようになってて、〈いいな!〉って」
――ライヴも経験してきて、変化してないはずないですからね。
ユメカ「そうなんです。だから新しい表現みたいな部分も楽しんでいただきたいです」
モグ「“WASTED TEARS”はナナシちゃんの歌い方が私は凄く好きで。いつもカッコ良くガッて歌うことが多いイメージだし、ライヴもそんな感じでカッコ良く前に出て歌ってるんですけど、この曲は〈憂い感〉を出して、ちょっと悲しい感じで歌ってるのが好きなので、聴いてほしいなって思います。私もアルバムのレコーディングの時は後から〈もっと自分も思い切ってできたな〉って思ったので、今回は〈もっと思い切ってやるぞ〉と思ってレコーディングしました。全然まだ緊張するし、歌も得意じゃないので、自信もないんですけど。それもわかったうえで、できる限りのことを尽くしてやろうと思って」
――その良い緊張感が音源に表れたのかもしれませんね。
ナアユ「“WASTED TEARS”はアルバムになかった感じの曲でもあるし、“the MAN CALLiNG”と比べても全然違うから、このシングルでまったく違うASPの面が見れるんじゃないかなって思ったり。あと歌詞も“the MAN CALLiNG”は凄く味方になってくれてるような曲に感じて、私は。勇気が出る曲です。でも、“WASTED TEARS”は弱ってダメな自分を鼓舞するというか、誰かにそう言われてる曲のように聴こえて、2曲がアメとムチみたいに感じます」
――確かに。おもしろいですね。
ナアユ「これ、“SAKEBE”のMV撮影の日の朝に渡辺(淳之介:マネージャー)さんから歌詞をいただいたんですけど、私だけMVで泣く演技が上手くできなくて、カメラが止まった後に大泣きして。ずっと泣いてハーハー言ってやばかったんですけど、その後に歌詞を読んだら〈わっ、この状況だ!〉と思ったから印象に残ってます(笑)」
――無駄に泣いてしまって。
ナアユ「ホントにそうでした(笑)」
――ちなみに、こちらはどんな振付けですか?
ユメカ「歌詞の通り、涙を拭いてる振付けです。涙を拭いとけばライヴは楽しめます(笑)」