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多彩な楽曲の力

 昼公演の〈不撓不屈 壱部〉では、80年代のアイドル歌謡と坂道系のいいとこ取りをしたような透明感溢れる始まりの歌“えのぐ”、清らかな4声が混ざり合って〈特別な色〉を生むアップ“Colors”などのピュア・スウィートな楽曲が披露されたそうだが、筆者が観覧した夜公演〈不撓不屈 弐部〉はそこからセットリストを一新。弾むようなメロディーと歌声が昂揚を誘う幕開け曲“Welcome to Live”を皮切りに、エレクトロ・スウィング風の超クールなダンス・ポップ“Armor Break”、会場全体がタオルを回して盛り上がった定番のソカ曲“常夏パーティータイム”など、序盤からアゲ曲を惜しげもなく投下して盛り上げる。

 以降も、鈴木と夏目によるキュートなメルヘン・ポップ“午前0時のプリンセス”、白藤と日向が歌う熱量溢れるロック曲“無敵のヒーロー”などを挿みつつ、唐沢美帆が作詞して佐藤純一(fhána)が作曲/編曲したガール・ポップなシャッフル曲“Brand new stage”、俊龍印のメリハリの効いたメロディーが多幸感を連れてくる“YeLL for Dear”といった、アニソン界隈でも活躍する作家陣を迎えた惹きの強い楽曲を連発。アコギの切ないフレーズに乗せて美しいハーモニーを響かせた“Magic”では、会場全体がオレンジ色のペンライトで応え、温かな光景が広がる。

えのぐ 『BRAVER』 ME RECORDS(2021)

 そこから、a crowd of rebellionの丸山漠が詞曲を手掛けたえのぐ史上最高にラウドでメタルコアな新曲“Defiant Deadman Dance”、コミカルな振りも楽しいえのぐ史上最強にディスコでファンクな名曲“It’s 笑 time!”を畳みかけると、さらにダメ押しでライヴ本編を熱く締め括ったのが、〈2021年高校野球都道府県別大会テーマソング〉に選出されてこのたびシングルリリースされる“BRAVER”だ。