デビューシングルと今後の展望

――この度リリースされるデビューシングル“日日”は弾き語り調の作品ですが、そもそも自身で歌唱しようと思ったきっかけは?

「自分が聴く音楽の幅が広がったこともそうですし、歌が入っている方が多くの人に聴いてもらえるだろうっていう考えが強くなって。それこそ地元の人たちや自分のおじいちゃんにも聴いてもらいたいなと思いますし、それなら自分で歌った方がいいなと。

曲の構成としては歌モノとして成立させつつも、ギタリストとしての側面もしっかりと出すことを意識しました。一番難しかったのは歌詞で。最近、色々な本を読むようになったんですけど、母親が送ってくれた谷川俊太郎さんの詩集『二十億光年の孤独』に収録されている『日日』という詩に感銘を受けて。自分の心情がはっきりと記されているというか、よりクリアに自分に感情が見えるようになりました。それを経て、この曲の歌詞が書けました」

――序盤ではネガティブな感情が表出しているように感じますが、後半へ進むにつれてそれを振り払うというか、ポジティブな方向へと進む意思を感じさせます。

「この曲は自分のことをストレートに歌ってるんですけど、歳を取るにつれて、日々選択を迫られることも増えて。そこで選ばなかった物事に対しての思いだったり、世間とのズレを感じたのかなって。ただ、曲の中では絶対に前向きにしようというのは意識しました。自分も日々の生活の中で上がり下がりがありつつも、最終的にはポジティブでいたいなと考えているので」

――ギタリスト、アーティスト、音楽家として、今後のビジョンはどのようにお考えですか?

「映像も自分で作れるようになりたいなと思っています。これは自分の故郷・知床の景色だったり、ノスタルジックな感情を表現したいという思いに繋がってくるんですけど、音楽だけではなく映像も合わさった方がより解像度高く届けることができると思って。歌詞ではもっと色々な感情にフォーカスしたいですし、自分のこと以外の、フィクション的な作品にも挑戦してみたいです」

――最後に、改めて今の大翔さんから見たギターという楽器の特性、魅力について教えて下さい。

「ギターと僕は一心同体っていうくらい仲が良くて(笑)。自分にとっては自由自在に動かせる、一番表現しやすい楽器。シンプルに見かけがカッコいいし(笑)、何よりもギターの音が大好きなんです。ギターの音って素晴らしいなって心の底から思います」