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ひとりになってからでも待ってくれてる人がこんなにいるんだな

――ひとりになって所属事務所も無くなってしまい、何から始めたんですか?

「スタッフさんとの話の中で、まず私がどんなことをしたいかという話になって。〈歌を歌いたい〉と答えました。〈どういう歌?〉って訊かれて〈80年代アイドルがすごく好きで、イベントでもリスペクトしている松田聖子さんの歌を歌ったりしてきたので、そういう方向性はきっとファンの方も知ってるし、受け入れてもらいやすいと思う〉という話をして。そこからビジュアルの方向性を決めていったり、お手伝いしてくれる人に出会っていったりして、一緒にやっていくことになりました」

――そして矢川さんはクラウドファンディングを始めます。その理由が、〈幼い頃から大好きだった「昭和歌謡」を現代に歌い継ぐソロアイドルになるため〉でした。なぜ〈昭和歌謡〉だったのでしょう?

「もともとすごくおばあちゃんっ子で、毎週おばあちゃん家に泊まりに行くような幼少期を過ごしてたんですけど、母が学生時代に過ごしてたそのまま部屋が残ってて、そこに聖子ちゃんのレコードとか昭和のファンシーグッズとか、母の青春時代が詰まってたんですね。それを勝手に見るのが好きだったし、母がよく口ずさんでる曲が聖子ちゃんの曲だったのも分かってたし、そうやって知ってることがどんどん増えていったんですね。

中学生になると友達と好きなアーティストやバンドについて話す機会が出てきますけど、そういう時に〈自分の好きな音楽ってなんだろう?〉って考えたら、聴き馴染みのある松田聖子さんの曲だなって思ったんです。そこからいろんなアイドルの曲を掘っていって、いろんな歌謡曲をどんどん好きになっていったんです」

――矢川さんは、平成や令和のアイドルソングもたくさん聴いて関わってきたと思いますが、昭和のアイドル音楽は何か違いますか?

「曲がゆったりしてると思いますね。あと昔の歌番組の動画を観ると、今よりセットがちゃんと作り込まれてて、このアイドルひとりが歌うためだけのセットだ!って感動します。聖子さんは新幹線の停車中にホームで歌うなんてこともありましたけど(笑)。アイドルがそこにひとりで立って歌ってるっていうのがいいと思います。あとはやっぱり松本隆さんの書く詞が好きで、松本先生の詞を調べるとどれもすごいなって思いますね」

――そして、クラウドファンディングの結果、838人もの支援者の方が総額1000万円を超える支援をして大成功を収めました。率直な感想は?

「大大大成功でした。前のグループにいた頃から観ていただいているみなさんにご支援していただいて、少しずつ頑張っていけたらなと思っていて、当初は目標金額も達成できるか不安だったんですが、想像以上すぎてビックリしました。始まってみたら知ってる名前の方がたくさんコメントを残してくれてたし、私ひとりになってからでもこうやって待ってくれてる人がこんなにいるんだなと思うと、すごく感慨深かったです」