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EMIRY

心をそのまま歌える

 今年4月にリリースしたMUSIC@NOTEでの初シングル“mediQ”(読み:メディック)は、内面を吐き出すラップと攻撃的なトラップ~ベース系の意匠を押し出し、音楽面での大胆な変化を見せつけた逸曲でした。その志向は今回のニュー・シングル“Lillight”(読み:リルライト)でもさらに推進されています。

QUEENS 『Lillight』 MUSIC@NOTE(2022)

NANAMI「そもそも私が〈ラップをやっていきたいんだよね〉って提案したんです。気持ちを伝える時にラップは言葉数も多くていろんなことを言えるし、型にはまらないものだと思うので。わかりやすくガッツリ路線変更して、そこで離れていくお客さんがいるのも不思議ではないけど、それも覚悟したうえで飛び込んだ感じですね。やっぱり自分たちで考えて何かを発信していくことを強みにするなら、やりたい音楽のスタイル、アイドルのスタイルを表現したうえで、そこを愛してもらいたいっていうのが大きくて。“mediQ”はけっこう悩んでる時期に書いてて、この負の感情をアイドルとして表現していいのかどうか凄い考えたんですけど、やっぱりそこを恐れずに発信しないとQUEENSじゃないっていうことで世に出して。それも踏まえて、今回の“Lillight”を作りました」

RINA「前から応援してくれてるファンの方も凄く大事だし、反響を見ていろいろ思う時もあるけど、NANAMIが作ってくれる曲が私は好きなので、前向きな感じで進めていきたいっていう気持ちです」

HIKARU「私はそんなめっちゃ変化したとは感じてないんですけど。NANAMIさんの曲がすっごい好きだし、ラップも興味があったし、やりたいことができてるなって」

AYA「私もヒップホップだったり、いろんなジャンルの音楽が好きなので、普通に〈QUEENSとして、こういうこともできるんだ〉ってめちゃくちゃ嬉しかったです」

MAHO「QUEENSのテイストが変わっていくなかで、〈日本のアイドル像でラップは……〉っていう反応を見ることも多いんですけど、“Lillight”は〈でも、やっぱり自分たちでやりたいことをやってるQUEENSがいいよね〉って自分たちに希望を持てるっていうか、前向きになるための自信をくれる歌だなって私は思っています」

URUMU「やっぱりNANAMIの歌詞がリアルタイムな自分たちの気持ちや状況を言葉にしてくれていて、いまの私たちに合った心をそのまま歌える曲になってるから、それを曲でみんなに伝えることができるのは凄くいいですね」

RINA

 アレンジは“mediQ”に続いてのタッグとなるYackle。フックで歌わない作りはアッパーな展開も相まって爽快に響きます。

NANAMI「せっかく曲を一緒にやらせてもらうなら、やっぱりYackleさんとやる意味があるサウンドにしたくて。もともとインストで貰ったものにゼロからメロをつけていったんですけど、サビの部分は〈キャッチーにしたいけど、ここは言葉なくていいかも〉って思って、いちばん盛り上がるところでメロだけになるEDMとかフューチャー・ベースみたいな感じに挑戦しました。新しいことをやろうって思えるのは、やっぱYackleさんとの出会いが大きいです。ライヴも何度か観てくれて、私たちの姿勢もたぶんわかってもらえてるので、化学反応が起きてると思いますね」

 よりダークなカップリングの“ice blast”もYackle編曲のラップ・チューンで、パーソナルな領域に踏み込んだリリックとスキルフルなフロウも印象的です。

NANAMI「やっぱりアイドルに触れてない人が聴いた時に〈何だ、これ?〉ってなる曲を作りたいのが最初にあって。で、そこに付随して、思いきって生々しい私の経験とかを〈どこまで許されるんだろう?〉って思いながら書きました(笑)。自分が周りと違うっていう感性の息苦しさとか不自由さを歌ってるんですけど、それもQUEENSに少なからず重なると思っていて。最初はもっと簡単なラップだったんですけど、Yackleさんに〈アイドルに触れてない人にも聴かせたいなら、もうちょっと攻めよう〉って言われて、ラップの刻み方を変えて。なので、レコーディングは大変でした(笑)」

MAHO「いや、“ice blast”のレコーディングはもうエグくて(笑)。やっぱりNANAMIがYackleさんとこだわって作ったので、いままでやってきたラップとはまた違う、ワンランク上の技術も求められる感じでした。凄いディレクションしてもらって、130テイクぐらい同じところを録り続けるっていう……夜中までかかりました(笑)」

URUMU「一生終わらんかったもん(笑)」

MAHO

 なお、NANAMIが歌録りのディレクションも行うレコーディング風景は彼女たちのYouTubeで垣間見られます。

EMIRY「私たち先生がいるわけじゃないんで、ラップとか歌い方もNANAMIに教わることが多いんですよ。ホントにNANAMIのおかげで育ってる(笑)」

NANAMI「でもホントに母性が芽生えてきますね(笑)。“ice blast”に関しては〈この詞の先にある伝えたいっていう気持ちを出してくれ〉みたいなのをずっと言っていて、みんなでもがいて、もがいて、テイクを重ねて〈できた~〉みたいなのが気持ち良いですね。みんな凄いなって思いました」

EMIRY「やっぱり私たちがやるものに誇りを持ってるし、みんなで良いものにしたいっていう気持ちが強いから、がんばれることなのかなって思います」