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インタビュー

石田衛のブルージーな歌心――鈴木勲に認められたジャズピアニストが語る、Days of Delightからのトリオ作『Afterglow』

石田衛のブルージーな歌心――鈴木勲に認められたジャズピアニストが語る、Days of Delightからのトリオ作『Afterglow』

「ジャズピアニストの主戦場ともいうべきピアノトリオという形式で、高密度・高純度で石田衛をギュッとパッケージしたいと思った。なんといっても彼は抜群のブルースフィーリングを持っている。このアルバムを聴けば、誰もが石田衛の音楽を好きになるはずです」。

日本ジャズの新たなプラットフォーム〈Days of Delight〉のオーナープロデューサー、平野暁臣は力強く語る。まさにその言葉通りの力作、石田衛のニューアルバム『Afterglow』が2023年10月26日(木)にリリースされる。小牧良平、中村海斗とのレギュラートリオによるスタジオレコーディング作品だ。

78年5月1日生まれ。東京都江戸川区出身。幼少の頃より父親の影響でジャズに親しみ、トランペットを手にするが、ピアノに転向。ジャズ研やジャムセッションで腕を磨き、鈴木勲、原朋直、本田珠也、峰厚介、山口真文、山田穣、太田朱美、エリック・アレキサンダー、ジーン・ジャクソン、JiLL-Decoy associationらと演奏活動をおこなってきた。そんな彼の『Afterglow』は、『Iemanro』(2007年)、『ISHIDA MAMORU 4 feat. MIKE RIVETT』(2011年)以来、なんと12年ぶりのリーダーアルバム。

バイオグラフィも含めて、この名ピアニストに、アルバムについてたっぷり語っていただいた。

石田衛 『Afterglow』 Days of Delight(2023)

 

サッチモを愛しオスカー・ピーターソンに憧れたブルース少年

――幼い頃からジャズに親しんでいたそうですね。

「父がジャズやシカゴブルースを好きだったので、ごく自然に親しむようになりました。もっとも、家ではほかに、母親が好きな荒井由実なんかの曲もよくかかっていましたけれど(笑)」

――シカゴブルースというと、マディ・ウォーターズなどですか?

「そうです。オーティス・スパンのピアノも好きでした」

――その時点で、もう最高峰のブルースピアノに出会ってしまったわけですね。石田さんが中学生・高校生の頃、たとえばクラスメイトはどんな音楽を聴いていたのでしょう?

「B’z、WANDS、ZARDあたりだったと思います。でも僕はジャズやブルースに夢中でした」

――初めて好きになったジャズミュージシャンは?

「ルイ・アームストロングですね。トランペットを吹きたいと思って、原朋直さんのレッスンを受けました。その後、オスカー・ピーターソンの演奏を聴いて感激して、ジャズピアニストになろうと思ったんです」

――その志がすごいです。通常なら、ピーターソンの手の大きさや、すさまじく粒の揃った音に圧倒されて、〈かなわないや〉と思ってしまいそうなものなのに。

「いやいや、僕だって、ただひたすら〈すごいな〉と圧倒されただけですよ。

実は、父が『We Get Requests』(64年)という名盤を図書館で借りてきたんですよね。で、誰に言われるわけでもなく、そこに入っている“D & E”をカセットテープにダビングして、ひたすらコピーしたんです。僕は一生懸命だったんだけど、たぶん家のカセットデッキの回転速度が遅かったんでしょうね。のちにCDを買って聴いたら、擦り切れるまで聴いてコピーしたカセットの音源が、半音低いことがわかったんです。オリジナルのキーがEフラットだったと知って、愕然としました(笑)」

――半音もずれてしまうと……。

「それはもう曲の印象が全然違いますよ(笑)」

――高校生の頃にはもうジャムセッションで演奏していたとのことですが、まわりは年上ばかりだったのでは?

「はい。僕も当時はオスカー・ピーターソンのレコードで覚えた曲ぐらいしか知らなくて、スタンダードナンバー集の譜面を持ち歩いて、それを見ながら弾いていましたね。譜面は幼い頃からとても苦手でした。トランペットを習っていた頃にピアノも別の先生に習っていたんです」

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