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いまは歌ものに嗜好が寄っているのかも

コモドアーズの81年のシングル“Lady (You Bring Me Up)”

 

「あと今年聴いたのは……コモドアーズはいつ聴いてもいいなと思ったのと、メイズのライヴ盤、それからザップの1~3作目

※『Zapp』(80年)、『Zapp II』(82年)、『Zapp III』(83年)。ザップについてはこちらのboune連載でも取り上げているので参考にどうぞ

――ザップは〈サマソニ〉にも出演しましたし、今年っぽいですね。

「僕はザップを通っていなかったので、その頭3枚を買ってみました」

――あとロジャーのソロ諸作もマストな感じがありますね。ザップは大丈夫なんですか?

ロジャー・トラウトマン。ザップのフロントマンで、ソロでも作品を残す。トークボックスを全面的に使用したパフォーマンスで名を馳せた。99年、実兄との諍いの末に逝去

「大丈夫ですが、高校の時に聴いていたら飽きるなと思いました」

――ハハ(笑)

「あの繰り返される気持ち良さはライヴで体感しないとわからないかもしれません」

――あー、なるほど。今年の〈サマソニ〉で初めて生でライヴを観たんですが、すごく楽しかったですね。ドリフみたいな瞬間もあって。私が大好きなザップのライヴ動画があるんですけど、2~3か月に一度は必ず観てます。元気が出ますよ。

「ハハハ(笑)。じゃあ載せてください」

ザップの89年のパフォーマンス映像。最高です

 

「それからギル・スコット・ヘロンのゴリラ3部作の、ゴリラがエマニュエル椅子に座ったジャケのアルバム(『The First Minute Of A New Day』)も改めて聴いたり。やっぱりヴォーカルが独特なんですよね。他にもカーティス・メイフィールドロニー・リストン・スミスあたりの特徴的なヴォーカリストの作品を引っ張り出して聴いたりしています」

※70年代中盤に連続してリリースされた、ジャケットにゴリラが登場するギル・スコット・ヘロンのアルバム群、『The First Minute Of A New Day』(75年)、『From South Africa To South Carolina』(76年)、『It’s Your World』(76年)のこと

ギル・スコット・ヘロンの75年作『The First Minute Of A New Day』収録曲“Liberation Song (The Red, Black and Green) ”

 

――いまはどういうところに注目して聴いていますか?

「ザップやロニー・リストン・スミスもそうですが、70年代に入ってからの作品ではストリングスやホーン・セクションのアレンジだったり、鍵盤や縦(ウッド・ベース)に戻ってきたベースが入っているアルバムを主に聴いていますね。やっぱり決定的(に好み)ですね、72年から76年くらいまでの作品が」

――絶対にその年代なんですね(笑)。

「そういえばミルトン・ライトの話、しましたっけ? ミルトン・ライトの再発盤は僕が聴いた今年のリイシュー作品のなかでいちばん良かった」

――確かに! 私もすごく聴きました。最初に出たほうですよね、『Complete Friends And Buddies』(75年)。bounceで読んで初めて知ったんですよ。この間、また別のアルバム(77年作『Spaced』)も紙ジャケでリイシューされていましたよね。

MILTON WRIGHT Complete Friends And Buddies AOTN(1975)

「そうです。この再発盤は少しややこしくて、オリジナルの『Friends And Buddies』に収録されていたものとは違う幻のテイク(〈Version One〉と呼ばれている)があって、それも収録したものがリイシューされたと」

――そうなんですよね。個人的にはその幻テイクのほうがシンプルかつ賑やかで好きでした。

「あのリイシューによって、オリジナル盤(ヴァイナルのほうは幻テイクが収録されている)がさらに高くなっていて。でも40年も前の作品なのに、すごく〈いま〉の音ですよね。カーティス・ハーディングと並んで新人枠で語られていてもおかしくないような(笑)。これは本当に収穫でした」

――そうですね!

「それから、アル・グリーンの『Explores Your Mind』(74年)。最近トーキング・ヘッズの再ブームが自分のなかであったのですが、“Take Me To The River”(78年作『More Songs About Buildings And Food』収録)がアル・グリーンのカヴァーだということを初めて知って、この曲が収録されている『Explores Your Mind』を聴いたんです」

――元の曲をちゃんと聴こうとする姿勢は大事です。

「アル・グリーンは『Let’s Stay Together』(72年)しかこれまで聴いていなかったので。こう振り返ると、バンドものよりソロ・アーティストの歌ものを聴くほうが多かったみたいですね。これまでは〈バンドものじゃないとおもしろくない〉という気持ちがありましたが、いまはだいぶ歌ものに嗜好が寄っていっているのかもしません」

 

【おしえてハマくん!】

――突然ですが……実は前回、Twitterでハマくんへの質問を募集しようという話をしまして、〈#ハマMikiki〉を付けて質問を送ってください!というお願いをしました。それでこれまでにちょっとだけ質問をいただきましたので、そのなかからひとつ、質問をさせてもらいたいと思います。これまたいきなり手前味噌で恐縮ですが……たっての希望ということで、ぜひ。

「なるほど。11月11日が〈ベースの日〉ということでイヴェント(〈J-WAVE ベース・ロワイヤル〉)に出演しまして、そこでもやったんですけど、ベースを弾いている側からするとジャム・セッションがいちばんおもしろいと思う節があって。一緒にやる人との引き出しの開け合いというか。そういう観点で言うと、クリーム“Crossroads”とミーターズ“Sissy Strut”、ダニー・ハサウェイ“The Ghetto”ですね。“Crossroads”はDで“Sissy Strut”はC、“The Ghetto”はB♭かな……もちろんいろいろなキーでできますが、パッと思いつくセッションにオススメの楽曲はその3つ。僕がいちばん(セッションで)やってきましたし、参考にしていたので、それらはすぐに弾けますね。結局リフなんです。でもリフものだったら何でもセッションできるのかというと、そういうわけではない。クイーンの“Another One Bites The Dust”はリフものですが、セッションできない。回せないんですよ。でもいま挙げた3曲は一生できる(ずっと続けられる)」

――へ~、そういうものなんですね。前にジャック・ブルース(元クリーム)を取り上げた回で、ライヴにおける“Crossroads”のめっちゃ長いセッションについて話してくれましたよね。つまりそれがそういうことだと。

「そうです。よく〈ジャム・セッションって、どうやってやったらいいんですか?〉という質問をされるのですが、その答えが難しくて、常日頃考えているんですよ。〈(セッションとは)どういうことですか?〉と疑問に思う意味もわかるし、説明できなくもないんだけど……しづらい。〈逆上がりってどうやるんですか?〉と訊かれるのと同じ感覚です(笑)」

――アハハハ(笑)。

「なので、いまのところのMAXの答えは、いま挙げた3曲を教材として観てもらって、覚えてもらうのがいいかなと。全部簡単なのでいいと思います。ベタですけどね……こういった答えでいいでしょうか? 〈こんなもんか〉みたいに思われないですかね」

――思いませんよ(笑)。

「いちばんプレッシャーですよ、あまり知られていないものを挙げるのがカッコイイのか、〈そうですよね〉という基本的なものを挙げるか。極論を言えば、(荒井由実)“ひこう機雲”のイントロのトゥットゥットゥットゥ♪がいちばん好きですから」

――ハハハ、ピンポイント(笑)! ではこんな感じで、可能な限り皆さんからの質問に答えてもらいたいなと思っているので、引き続き質問を募集してます!

「そうですね。お待ちしています」

 

~Twitterでハマくんに話してもらいたいこと募集!~
ソウル/ファンクにまつわること(じゃなくても音楽のことならOK!)で、ハマ・オカモト先生に訊いてみたいこと、話してもらいたいお題をTwitterで募集します!
ハッシュタグ〈#ハマMikiki〉を付けて投稿してください。期限はないので思いついたら気楽にツイートしてくださいね♪ *編集部

 

PROFILE:ハマ・オカモト


OKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。バンド活動の傍ら、ラジオのパーソナリティーや数多くのアーティストの楽曲に参加するなど、忙しい毎日を送る好青年。9月30日にはOKAMOTO'Sとして待望のニュー・アルバム『OPERA』を発表。また同作の続編とも言えるシングル“Beautiful Days”(ARIOLA JAPAN)をリリース。『OPERA』を引っ提げた全国ツアーの2015年内の日程を終え、年末は12月27日(日)にインテックス大阪にて〈FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY〉に、12月30日(水)には千葉・幕張メッセにて〈COUNTDOWN JAPAN〉に出演。そのほか最新情報は、OKAMOTO'Sのオフィシャルサイトへ!

OKAMOTO'S Beautiful Days ARIOLA JAPAN(2015)