狼たちの進化を促進したプロデューサー陣の歩みをプレイバック!
今回MAN WITH A MISSIONの進化を促したプロデューサー=ドン・ギルモアとショーン・ロペス。ここでは彼らの過去仕事を駆け足で追ってみよう。
まずドン・ギルモアは、日本のラウド・ロック・シーン――特にミクスチャー色の強い面々の影響源として名が挙がることも多いリンキン・パークの初期作品を支えた人物。他にもアヴリル・ラヴィーンの2作目『Under My Skin』(2004年)をはじめとした数々のモンスター・アルバムを手掛け、異色なところでは同年のデュラン・デュラン『Astronaut』への参加もあるが、いずれにしても〈オルタナな仕様〉を強化する際のキーパーソンとなる場合が多いような。近年なら、2013年に届いたコーン『The Paradigm Shift』やブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン『Temper Temper』といったニュー・メタル勢との絡みも記憶に新しい。
一方のショーン・ロペスは、90sエモ~ポスト・ハードコアの黎明期を支えたファーのギタリスト。プロデュース作品はそれほど多くないが、陰影と叙情性を湛えた本隊のサウンドと通じる持ち味を武器に、ブラック・パシフィックの2010年作『The Black Pacific』を例とする良作に貢献。また、2013年からはデフ・トーンズのチノ・モレノらとのユニット、クロセズとしても作品を送り出しており、打ち込み要素も大きく取り入れたほんのりゴシックな音世界を披露している。プロデューサー陣のこうした作風/手腕を思えば、スケール感の拡大とサウンドの先鋭性を押し進めた『The World's On Fire』の仕上がりも、納得のものと言えるのでは? *土田真弓