INTERVIEW

Tempalay・小原綾斗 × SANABAGUN.・高岩遼の2マン目前対談! 〈できれば避けたかった〉共演までの経緯とそれぞれのドリーム

上から、小原綾斗(Tempalay)、高岩遼(SANABAGUN.)

 

えっ……Tempalayの初作『from JAPAN』のリリース・パーティーはSANABAGUN.との2マン!? 3月6日に、東京・新宿MARZにて開催される同公演の詳細が発表された際、驚きの声を上げたリスナーは多かったかもしれない。いわゆるUSインディー的な捻くれたサイケ・ポップを鳴らす3人組の前者と、ジャズとヒップホップをベースに強靭なグルーヴを紡ぐ8人組の後者、一見互いの共通点を見い出すのは難しいからだ。なぜTempalayはSANABAGUN.を選んだのか――Mikikiでは、実は同い年の両フロントマンである小原綾斗(Tempalay)と高岩遼(SANABAGUN.)の対談を急遽行い、その理由に迫った。

 

――今回の2マンは意外な組み合わせに思いました。

小原綾斗「SANABAGUN.はいちばん対バンしたくないバンドだったんです(笑)」

一同「ハハハ!」

高岩遼「マジで?」

小原「いちばん避けたかった存在」

高岩「マジ? 超嬉しいんだけど」

――小原さんはどういうきっかけでSANABAGUN.を知ったんですか?

小原「2年くらい前に友達から同学年でヤバイ奴がおると聞いて、最初はYouTubeで高岩くんが1人3役をやる〈ワンマンショウ〉の動画を見たんです。それで、これはヤバイなと。SANABAGUN.というバンドからではなく、まずはリーゼントのヤバイ奴がおるなということから認識したんです。それからサナバが渋谷のストリートでライヴをして話題になったりと、ちょっとずつ知っていきました」

2011年に代官山LOOPで開催された〈高岩遼ワンマンショウ〉の模様

 

――実際にSANABAGUN.のライヴを初めて観たのは?

小原「ライヴはめっちゃ最近なんすよ。去年10月の下北沢GARAGEですね。そこで初めて観て、〈これはもうかかわりたくないな〉と、できるだけ距離を保って、これから生きていこうと思いました(笑)」

――その態度を翻して、今回リリース・パーティーに誘った理由は?

小原「同郷の知り合いがサナバのスタッフをやっていることがわかって、これは距離を置きづらいなと。だから、もうチャレンジしようと決めたんです」

――SANABAGUN.のライヴのどういうところに衝撃を受けたんですか?

小原「ギャング感とか集団感ですかね。あと徹底的にエンターテイナーやなと思いました。音楽はもちろんですけど、ショウとしても圧巻。同世代でそういう存在がいると知れたのは刺激的でしたね」

――音楽性がまるで異なる組み合わせであることに、臆する面はなかったですか?

小原「いま似たようなイヴェントしかないなと思っていたんです。そこは自分たちも攻めていかなきゃいかんなと、断られるのを覚悟でお願いした。まさか受けてもらえるとはね」

高岩遼「いやー、ありがとうございます」

――高岩さんは共演に誘われる前からTempalayを知っていましたか?

高岩「去年アーティスト写真をSNSとかいろんなところで見かけるようになって、音源を聴いてみたら、ちょっとフリーキーでヒッピーっぽい印象を受けた。俺はロックも好きだから、そこで〈なるほどね〉となったし、スケートボードなどストリートなカルチャーが根差しているような感じもして、感度的には近い気もしたな」


“sea side model”のMV
Tempalayの2015年のEP『Instant Hawaii』収録曲“Sea side motel”

 

――わかる気がします。実は自分もSANABAGUN.というフィルターを通してTempalayの音楽性を再発見できたところがあるんです。サイケやUSインディーといった文脈とは別の、ソウルっぽいグルーヴやアンサンブルの洒脱さを意識できました。

高岩「あー、なるほど」

小原「僕も60年代頃のブルースやロックは大好きなんですよね」

高岩「へー、誰が好きなの?」

小原ジミ・ヘンドリックス。そのあたりの〈ウッドストック〉に出てたようなバンドは熱心に聴いてた」

ジミ・ヘンドリックスの〈ウッドストック69〉でのライヴ映像

 

高岩「(Tempalayには)そういう雰囲気あるよね」

小原「遼くんは?」

高岩「俺はね、もうブラック・ミュージックだね。レイ・チャールズ。あとは黒人じゃないけどフランク・シナトラ。その2つの影響がいちばん大きい」

レイ・チャールズの63年のパフォーマンス映像

 

小原「小さい頃からそうなの? じゃあ僕とは全然違うかも」

高岩「Tempalayに“made in Japan”という曲があるじゃん。あの曲にサックスのソロが入ってるよね。あれはサンプリングなの?」

Tempalayの2016年作『from JAPAN』収録曲“made in Japan”

 

小原「あれは友達に吹いてもらったの。あ! でもあれはめっちゃサナバに影響されているな(笑)」

高岩「そうなんだ(笑)。あれはビートの感じもループしててヒップホップ的な印象を受けたよ」

小原「ヒップホップを聴いてはいたけど、ちゃんと掘ったりはしてなかったんよ。サナバを聴いてから、しっかりと追いかけはじめた。今度オススメ教えてよ」

高岩「うん。送るよ」

小原Suchmosとかがグイグイ行ってる感じを見ても、いまのブラック・ミュージックには注目せざるを得ないところはありますよね」

 ――では、ここ1年くらいでいちばん新しさやおもしろさを感じた音楽をそれぞれ教えてください。

小原「僕がいちばん影響を受けたアンノウン・モータル・オーケストラというUSのバンドがいるんですけど、彼らの新譜(『Multi-Love』)の攻め方にはグッときました。徹底的にブラック・ミュージックに寄りましたよね。1つ上のステージが見えているというか、外に開いていった気がした」

アンノウン・モータル・オーケストラの2015年作『Multi-Love』収録曲“Can't Keep Checking My Phone”

 

小原「でも僕は聴く音楽をできるだけ広げないようにしているんです。すぐ影響されてブレてしまうんで」

高岩「逆に広く聴かないというのは良いじゃん。カッコイイよ。ミュージシャンはいろんな音楽を聴かなきゃいけないというのは間違いないんですけど、でもそれはいったい誰が決めたんだという話ですよね。俺はそもそも全員が敵だと思ってるから、聴いてカッコイイなと思うものもいっぱいあるんですけど、表向きは〈俺らしかカッコイイ奴らはいない〉というスタンスです。日本にも海外にもいっぱいいるんですけどね」

小原「僕もいろいろ影響を受けているとは思うんですけど、根本的になにに受けたのかという記憶はないんです(笑)。いちばんはおばあちゃんの影響かもしれない。ブラジルからの移民なんですけど、めちゃくちゃファンキーなおばあちゃんなんですよ。僕が中学生のときに〈いくらセックスしてもいいけど絶対にコンドームをつけろ〉と言って、僕の部屋にコンドームをバーッと投げ込んできたような人なんです」

一同「ハハハ(笑)!」

Tempalayの2015年のEP『Instant Hawaii』のトレイラー映像

 

――ハハハ(笑)。メジャーからの初作に『メジャー』と名付けたSASNABAGUN.、海外へ向けたアピールとして初作のタイトルを『from JAPAN』としたTempalay。両者はそこのセンスも近いように思ったんです。

高岩「それは確かにね。俺らの世代はさまざまな情報が入り乱れているなかで育ったと思うんですけど、SANABAGUN.はジャズやヒップホップだったり、Tempalayは西海岸の音楽だったり、アメリカの文化に喰らった奴らだと思うんです。それは奮起せざるを得ないし、日本人としてのアイデンティティーを考えますよね。保守的や革新的という意味ではなく、SANABAGUN.はジャケットの赤色や歌詞はそうした思想を反映していたりはするんです。Tempalayの『from JAPAN』というのはどうなの?」

小原「『from JAPAN』というタイトルはカッコ悪いじゃん? でもダサイものがカッコイイという美学もあると思うんよね。それも日本っぽいと思う。日本に誇りを持っているからこのタイトルにしたわけじゃないんですけど、1枚目やしドンと見せたかった。サナバの『メジャー』も同じニュアンスがしたし、俺は大好き」

高岩「うん。同じだよね。ダサイじゃん?」

小原「でもメジャーに行かないとできないことだしね」

SANABAGUN.の2015年作『メジャー』収録曲“人間”

 

――活動の温度感は違っても、2組とも日本の音楽シーンに対しての問題提起や、いわゆるJ-Popとは違った選択肢を匂わせている存在ではありますよね。

高岩「それは間違いなくありますよ。でも現状は俺らが〈問題だ〉と思う奴らのほうが食えてるから、俺らが変えてやると言ってもひがみに聞こえるよね。カッコイイことをやっててもリスナーが増えないと意味がないし、日本人の耳をクリーンにしたいとは思ってます。それがメジャーに行った理由でもある」

小原「ビクターがサナバを出すという時点で〈これはおもしろくなるんじゃないか〉という期待が湧き上がりましたね。〈あとはよろしく!〉と」

高岩「任せといてよ(笑)」

――小原さんもメジャー・レーベルに興味はありますか?

小原「そりゃあありますよ。でも、それは行ってなにかを変えたいというより、単純に飯を食いたいから」

高岩「だよな!」

小原「だから売れたい。そのなかで〈SXSW〉への出演が決まったのは僕ら的にはデカイな。サナバにも海外志向的な面はあるの?」

高岩「半分本気で半分ジョークだけど、NFLのハーフタイム・ショウに出たいんだよ」

小原「遼くんはあそこに立っててもおかしくないよね。やっぱりいま日本にはスターがいないやん」

高岩「いないね」

小原「僕は最初に遼くんを観たときに〈これは出てきたな〉と思った。なので、あとはよろしくお願いします(笑)」

高岩「任せて。スター枠はもらっとく」

SANABAGUN.の2014年作『Son of a Gun.』収録曲“WARNING”のライヴ映像

 

――小原さんは何枠を狙うんですか?

小原「うーん。最近やったらマック・デマルコホームシェイクとかカナダのあのへんの集団がいるじゃないですか? 彼らは毎日遊んで音楽をやって、それがカルチャーになっていますよね。60年代後半のブラジルのノーヴォス・バイアーノスというサイケ・バンドは、お金がないときからプール付きの一軒家を10人くらいのメンバーで買って、〈ここで死ぬまで遊ぼう〉とサッカーしてバーベキューしてバンドして、という暮らしをしていたら、結果売れちゃったんです。そういうユルいスタンスが僕は好きですね。音楽に対する熱い気持ちはあるけれど、表向きはそういうユルさを出してやりたい」

ノーヴォス・バイアーノスのドキュメンタリー映像


――では、最後に3月6日のライヴに向けた意気込みを教えてください。

小原「集客で勝ちに行きます(笑)!」

高岩「でもそれ大事だよね」

小原「2バンドとも楽しんでほしいよね。サナバにもロング・セットでお願いしたいですし」

高岩「ういっす。ライヴ観るの初めてだし楽しみにしてます」

小原「2組で一緒にパーティーができればなと」

 

Tempalay 『from JAPAN』 リリースパーティー
-WE ARE THE WORLD- TOUR!!! in TOKYO

日時:会場/3月6日(日)東京・新宿MARZ
出演:Tempalay、SANABAGUN.
開場/開演:18:00/18:30
料金:2,500円(前売/1D別)3,000円(当日/1D別)
★詳細はこちら

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