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コーコーヤのヴァイオリニスト・江藤有希、初ソロ作『hue』はジャンルから解き放たれた優美なインストゥルメンタル音楽

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  • 2016.03.02
コーコーヤのヴァイオリニスト・江藤有希、初ソロ作『hue』はジャンルから解き放たれた優美なインストゥルメンタル音楽

ジャンルから解き放たれた優美なインストゥルメンタル・ミュージック

 米国屈指のマンドリン奏者デヴィッド・グリスマンが自ら名付けた“Dawg Music”がブルーグラスマヌーシュ・スウィングショーロなどのミクスチャーによる類い稀なインストであるように、このコーコーヤのヴァイオリニスト江藤有希たちが奏でているのは、弦楽器のアンサンブルを主体としたジャンル越境系、言い換えるなら、ジャンルから解き放たれた優美なインストだ。

江藤有希 hue Happiness Records(2016)

 この江藤有希の初のソロ・アルバム『hue』に収録されている全13曲は、すべて彼女が自分で作編曲したオリジナル曲。プロデューサーは、コーコーヤで江藤と一緒に活動しているCHORO CLUB笹子重治だ。楽器編成は、曲によって異なっている。ヴァイオリン(江藤有希)、チェロ(橋本歩)、ヴィオラ(田中景子)、フレットレス・ベース(織原良次)、ギター(笹子重治、中西文彦)といった弦楽器を軸にしつつも、ピアノ(林正樹)やパーカッション(岡部洋一)が入っている曲もある。また、《荒野》には、笹子と中西によるテイストの異なる2本のギターがフィーチャーされている。だが、大きめの編成の曲においても、必要以上の音数でスペースを埋めるといった無粋なことは行われておらず、むしろ意図的に余白が残されているので、風通しがとても良い。こうした点も含めて、『hue(色彩)』は、水彩画のような色彩に彩られている。そしてショーロをはじめとするブラジル音楽、クラシック、ラテン、ジャズなどさまざまな音楽の要素が丹念に編み込まれたこの音楽のテクスチャーは、肌触りが柔らかい。ただし、《ガラパゴス》のように疾走感にあふれていて、なおかつ緊張感に貫かれた演奏が展開されている曲もあるし、クラシックの室内楽風の曲であっても、叙情過多になることなく、たおやかな演奏が繰り広げられている。だからこそ、“Dawg Music”を聴いているような幸福感をたびたび味わうこともできる。

江藤有希とSaigenjiによる2014年のパフォーマンス映像

 


LIVE INFORMATION

江藤有希 Live「hue」
○3/7 (月)吉祥寺Strings
○4/11(月)高円寺メウノータ
○5/25(水)神戸みみみ堂
○5/26(木)大阪ショヴィシュヴァ
○5/27(金)名古屋得三(対バン:にじいろ音楽隊)
○5/28(土)浜松エスケリータ
○5/29(日)藤沢カフェパンセ
www.yukivn.com

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