INTERVIEW

LUCKY TAPESが追い求めたポップの王道―mabanua&類家心平と語る、バンドが〈アダルト化〉遂げた新作『Cigarette & Alcohol』

  • Share on Tumblr
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2016.07.06
(左から)高橋健介、mabanua、高橋海、類家心平、田口恵人

 

LUCKY TAPESの通算2枚目となるニュー・アルバムは、『Cigarette & Alcohol』というタイトル通り、〈大人になる〉ことをテーマにしている。ファンクソウルを志向する近年の若手のなかにあって、ゆったりとした横ノリのグルーヴや高橋海のシルキーな歌声から、洗練された音楽性のイメージが強いバンドだったが、新作ではロック色の強い序盤からして、前作『The SHOW』にはなかった逞しさが感じられる。またその一方で、ストリングスやホーン・セクションのアレンジはより優美に、上品に楽曲を彩っていることも大きな特徴だと言えよう。

そんなLUCKY TAPESの〈アダルト化〉に大きく貢献したキーパーソンが3人存在する。1人はバンドの念願叶ってエンジニアを担当したtoe美濃隆章。残る2人は、4月に脱退した濱田翼に代わってドラマーを務めたmabanuaと、ジャズ・トランぺット奏者の類家心平だ。2000年代前半のネオ・ソウル・ブームの頃に知り合い、現在でも数々のレコーディングを共にしている旧知の2人が、大人のエッセンスを楽曲に注入したからこそ、『Cigarette & Alcohol』がテーマ通りの作品となったことは間違いない。

そこで、今回はLUCKY TAPESのメンバー3人と、mabanua、類家による座談会を実施。2000年代初頭と現在のブラック・ミュージックのブームを比較しながら、時代を経ても変わることのないミュージシャンの芯の部分について、じっくりと語り合ってもらった。

※撮影協力:big turtle STUDIOS(origami PRODUCTIONS)

LUCKY TAPES Cigarette & Alcohol RALLYE(2016)

 

美濃さんから来る仕事はおもしろいことが多い(類家)

――まずはLUCKY TAPESが新作にmabanuaさんと類家さんを招いた経緯を教えてください。

高橋海(ヴォーカル/キーボード)「メンバー全員が、Ovallの頃からmabanuaさんの音楽に憧れを抱いていて、前作に収録した“Gun”なんかはもともと〈mabanuaグルーヴ〉をめざして作った曲だったりもしたし、個人的にはウィスパー的なヴォーカルのアプローチもmabanuaさんから影響を受けている部分が大きかったんです。それで、今作では美濃さんにエンジニアをしていただけることが決まってから、美濃さんからオファーしてもらいました」

2015年作『The SHOW』収録曲“Gun”
Ovallの2011年のライヴ映像
 

――mabanuaさんと美濃さんはいつ頃からのお知り合いなんですか?

mabanua「最初に会ったのは3年くらい前で、toeの山嵜(廣和)さんがとあるCMの音楽を作るというときに、そのドラムを叩いてくれって頼まれて、そこでエンジニアをやってたのが美濃さんだったんです。それからtoeと対バンしたり、最近だとCharaさんのアルバム(2015年作『Secret Garden』)で一緒に作業をしたりとか、ちょこちょこ会ってる感じで」

「まさか自分たちの曲をmabanuaさんに叩いてもらえるとは夢にも思っていなかったので、レコーディングに入る前からびっくりなこと続きでした」

高橋健介(ギター/シンセサイザー)「前のドラマーが抜けたタイミングでは、まだ後任を誰にするのか決めてなかったんですけど、〈この期間でレコーディングをする〉ということだけ決まっていたんです」

mabanua「だって、連絡をもらったのがレコーディングの2週間前だもんね(笑)。美濃さんから〈叩いてほしいバンドがいる〉って連絡が来て、話を聞いたらLUCKY TAPESだったので〈知ってる知ってる〉と引き受けたんですけど、〈2日で8曲(録音)なんだけど〉と言われて〈マジか〉って(笑)。事前に一緒にスタジオに入る時間もなかったから、レコーディングの当日に初めて合わせて」

「すごく新鮮でした。普段はスタジオで固めてからレコーディングに入るので、両方の意味で〈どうなるんだろう?〉と期待や不安があったんですけど、もう一発目の音合わせで最高な作品になると確信を持てました」

健介「最初に〈一回やってみようか〉とやってみたら、〈あ、もうこれは大丈夫だ〉っていう。出音からして違いました」

――類家さんも美濃さんからの紹介ですか?

「はい。mabanuaさんは何度かライヴハウスなどでお会いしたことがあったんですけど、類家さんと直接的な繋がりはなかったので」

類家心平「美濃さんから来る仕事はおもしろいことが多いんですよ。さっき名前が出てたCharaさんのアルバムには俺も参加してるし、あとは名古屋のdry river stringってバンドのレコーディング(2010年作『Quiet』)を小淵沢にあるクラムボンのスタジオでやったり。なので、今回も〈やります〉と返事したんですけど、当日スタジオに行ったら譜面がいっぱい置いてあったので、〈大丈夫かな?〉って(笑)」

類家率いるRS5pbの2016年作『UNDA』収録曲“DANU”(インタヴューはこちら
類家が参加した菊地成孔ダブ・セクステットの2008年のライヴ映像
 

――サックス(村上大輔)とトロンボーン(NAPPI)の方はこれまでもLUCKY TAPESの作品に参加している方で、(ホーン・セクションでは)類家さんだけ初参加だったんですよね。

類家「そう、俺以外の2人は譜面がなくてもできるくらいバッチリな感じで、俺だけ必死に譜面を読むという状態で、結構難しいというか……しんどかった(笑)。レコーディングは1曲ずつだからいいけど、これライヴだと辛いだろうなって」

「曲を作るときに、ホーン・パートは基本MIDIで打ち込むんですけど、自分がトランペットを吹けるわけではないので、〈この音域は出すのが難しい〉といったことがわからずに作ってしまっている部分があって。そこらへんはもうちょっと勉強しないとなって思うんですけど」

類家「フレーズがずっと続いてて、〈どこで息を吸うの?〉とかね。よくあることです(笑)」

いまはブラック・ミュージックの解釈が、昔よりポップ(mabanua)

――mabanuaさんと類家さんは、もう古くからのお知り合いなわけですよね?

類家「そうですね。池袋のマイルス・カフェ(現SOMETHIN' Jazz Club)ってところでよくジャム・セッションをやってて……2003年、2004年くらいかな」

mabanua「第一次レイドバック・ブームみたいな(笑)」

類家ロイ・ハーグローヴ・ブームのときですよね、RHファクターの全盛期。昔からジャズのセッションはジャズ・クラブでやってたんですけど、それとはまた違う、グルーヴ系のジャム・セッションを渋谷とかでよくやってたんです」

ロイ・ハーグローヴ率いるRHファクターの2003年作『Hard Groove』収録曲“Hardgroove”
 

mabanua「Ovallのアルバムでも吹いてもらいましたしね。類家さんはジャズもいけるし、ビート・ミュージックもいけるし、なおかつイケメンじゃないですか。当時から〈非の打ちどころがない人〉というイメージで、〈トランペットをお願いするなら類家さん〉っていう感じでした。最近だと藤原さくらちゃんのアルバムにも参加してもらったり

※2016年作『good morning』(レヴューはこちら)でmabanuaは2曲をプロデュース

――ちなみに、LUCKY TAPESはロイ・ハーグローヴが活躍した2000年前後のネオ・ソウルはどの程度通っていますか?

田口恵人(ベース)「RHファクターは好きですね。ただ、ネットで検索して、〈かっけー〉と思って聴いてる感じなので、時代背景とかはあんまりわかんないです」

健介「僕もそうですね。アーティスト単体では聴いてるんですけど、〈他にもこういうバンドがいて、当時流行ってた〉みたいな、文化を味わった感じではないというか」

類家「じゃあ、青春時代に何を一番聴いてました? いまが青春真っ只中だと思うけど(笑)」

田口アシッド・ジャズがすごく好きで、ジャミロクワイインコグニートをコピーしてました」

ジャミロクワイの96年作『Travelling Without Moving』収録曲“Virtual Insanity”
 

mabanua「うちらがロイ・ハーグローヴやディアンジェロを聴いてたときって、インコグニートとか〈一つ前の(世代の)人たち〉って感じでしたよね?」

類家「そうだよね。ジャミロクワイもそうだった」

mabanua「当時はディアンジェロが好きな友達に〈ジャミロクワイを聴いてる〉と言ったら、〈懐かしいね〉って言われる感じだったけど、そこがまた一周したってことなのかな?」

――ジャミロクワイやインコグニートもLUCKY TAPESからすればリアルタイムじゃないから、RHファクター同様にピンポイントで聴いてる感じだと思うんですよね。ただ、いまのブラック・ミュージックのブームっていうのは、2000年前後のネオ・ソウルのブームから15年が経過して一周したような印象を受けます。

類家対馬(芳昭)さんもそんなことを言ってました。当時はジャム・バンドが流行っていて、メデスキ(・マーティン&ウッド)レタスソウライヴとか、グルーヴの上でジャズっぽいことをやるのが新しかったときがあって、最近はわりとそういう人たちがまたバンド単位で出てきてる感じはちょっとありますよね」

※mabanuaが所属するorigami PRODUCTIONSの代表

――mabanuaさんはAwesome City Club思い出野郎Aチームのような若いバンドとも関わっていますし、日本におけるブームの空気を肌で感じているのではないでしょうか?

mabanua「いま日本で流行っているブラック・ミュージック(の解釈)は、当時よりポップな気がします。RHファクターやディアンジェロはもうちょっとドロドロしてたというか、もっとテンポが遅い感じだったけど、最近はもうちょっとスタイリッシュで、それこそアシッド・ジャズに近い感じなのかなって。いまのブームでブラック・ミュージックに興味を持った人が掘り下げて、RHファクターとかディアンジェロに行き着いてくれたら、すごく嬉しいですね」

mabanuaがプロデュースしたAwesome City Clubの2016年作『Awesome City Tracks 3』収録曲“Vampire”

 

〈オシャレで聴きやすい〉だけでなく、エグさやエモさを入れたかった(高橋海) 

――これは改めての質問になりますが、LUCKY TAPESが現在の音楽性を確立するうえでベースになっているのは、どういったアーティストからの影響なのでしょうか?

「結成したきっかけはマイケル・ジャクソンの“Love Never Felt So Good”で、ああいう音楽をやりたいと思ったんです」

田口「僕は親父がディスコ世代なので、小っちゃい頃からアース・ウィンド&ファイアシックとか、ディスコの定番が家で流れていて。自分がベースをやるようになってからそういったあたりを聴き直したので、その影響は大きいです」

「自分はポップス要素のある音楽を聴くことも多いんですけど、ポップな曲を作って持っていっても、ケイティ(田口)のベースが入るとグルーヴが生まれて黒くなるんです。今回のアルバムの中でも、ロック的な歪みのギター・リフがあっても、彼のベースが入るとファンキーになったりして」

健介「今回はグランド・ファンク・レイルロードみたいな感じをイメージして弾いたりもしました」

※68年に結成され、70年代を通じて活躍したアメリカのハード・ロック・バンド。代表作はトッド・ラングレンがプロデュースした73年作『We're An American Band』

――LUCKY TAPESはライヴでダフト・パンクの“Get Lucky”のカヴァーをしていたりもしますよね。

「あれは“SUNDAY NIGHT”というオリジナル曲をスタジオで合わせていたときに、テンポ感やキーが近かったこともあってか、誰かしらのきっかけで(演奏していくうちに)自然と“Get Lucky”になっていったんです。なので、カヴァーというよりはパフォーマンスの一部として、“SUNDAY NIGHT”の前に“Get Lucky”をやって繋げるというのがお決まりになっていた感じです」

――やっぱりダフト・パンクの『Random Access Memories』は昨今のブラック・ミュージック・ブームを語るうえでは外せなくて、mabanuaさんがプロデューサー/ドラマーとしてこれまで以上に脚光を浴びるようになったのも、(同作がリリースされた)2013年以降だと思うんですね。

mabanua「オファーをいただけるのはもちろん嬉しいんですけど、自分のどこを求めてオファーをしているのかは各アーティストごとに違うと思うから、僕にはよくわからなかったりもするんです。〈mabanuaさんのサウンドが必要なんです〉と言ってもらえれば、あまり細かいことは訊かずにいつも引き受けてるんですけど、共通点があるとしたら、黒いんだけど、コテコテではなくて、ちょっとオルタナティヴ感というか、少し海外っぽいテイストを混ぜたい人が多いのかなって気はします。〈ジャンルレスな感じにしたいんです〉という人も多いですしね。LUCKY TAPESにしても、J-Popとも実験的とも言い切れないし、インディーでもメジャーでも行けそうな感じがおもしろいなって」

「それは美濃さんもおっしゃっていました。バランス感がおもしろいって」

mabanua「いまは〈メジャーをめざそう〉とか〈紅白めざそう〉みたいな人は、少なくとも僕の周りにはあんまりいなくて、単純に、自分たちが何をやりたいのかを優先している人が多い気がするんですよね。ソロのシンガー・ソングライターだとまたちょっとヴェクトルが違うかもしれないけど、バンドというフォーマットで考えると、〈食える/食えない〉とか〈有名になる/ならない〉みたいなことは二の次で、自由な発想で動いてるバンドが多い気がするので、そういう人たちと繋がることが自分の場合は多いのかなって思いますね」

mabanuaがドラマーとして参加したGotchの2016年作『Good New Times』収録曲“Good New Times”
 

――では、ここからは新作について訊かせてください。途中で〈ロックっぽくしようと思った〉という話がありましたが、そこが出発点だったのでしょうか?

「いえ、最初からロックを意識していたわけではなくて、これまでのLUCKY TAPESは〈オシャレで聴きやすい〉みたいなイメージを持たれることが多かったんですけど、それって逆に言うと、BGMになりかねない、聴き流せてしまうというふうにも捉えることができて。今回はもう少しきちんと聴いてもらえるようにエグさやエモさを所々に入れようとした結果が、歪みとか重たいフレーズに繋がって、ロックっぽくなったんだと思います」

mabanua「Ovallもオシャレとよく言われて、実際にそれをめざしてるところもあったかもしれないけど、それって結構危険だよね。〈今回もオシャレなサウンドで〉と言われると、芯がないみたいにも聴こえるというか。〈いつもオシャレで、聴いてると気持ち良くなります〉とか言われるのって難しいところで」

類家「その人がどういう意味でその言葉を使ってるか、だよね。ジャズ全般がオシャレみたいなイメージもあるけど、そのなかにもいろんなものがあるわけで、嬉しいような嬉しくないような言葉ではあります(笑)」

『Cigarette & Alcohol』トレイラー
 

――エンジニアに美濃さんを迎えたのも、そのイメージを払拭するためですか?

「美濃さんが手掛けたCharaさんと韻シストの“I don’t know”(2014年)をミックスや音作りの面で理想としていて。歌ものだけどグルーヴがしっかりと見えて、ホーンも入ってくるのでLUCKY TAPESの編成や形とも近いのかなって。今回デモが数曲出来た時点ですでに手応えがあったので、思い切ってお願いしてみました。今作でようやくLUCKY TAPESのあるべき姿が見えてきたように思います」

Chara×韻シストの2014年作“I don’t know”のダイジェスト音源
 

mabanua「“TONIGHT!”のミュージック・ビデオを観せてもらったときに、すごく芯が出来てきた感じがしました。音はもちろんなんだけど、映像とかクリエイティヴな部分全体で、さっき話していた〈オシャレですね〉以上のものになっているなって」

「これまでは全体的にフワッとしていたというか、掴みどころのない感じだったと思うんです。自分はもともと歌が好きで歌いはじめたわけではなく、曲を作るのが好きで音楽をやっていたらヴォーカリストになっていて。ずっと歌に自信が持てず、それがサウンド面にも出ていました。エンジニアさんに〈ヴォーカルのバランスをもっと下げてくれ〉とお願いしたり、リヴァーブやダブリングでフワッとした印象にさせていたり。いまもまだ自信が持てたわけではないけど、最近は歌うことが楽しいと思えるようになってきて、さらにはLUCKY TAPESで表現したいことも明確になってきた。そういった意味では芯が出てきはじめたのかもしれません」

mabanua「ネオ・ソウルのムーヴメントがあったときもそうだったんですけど、スタイル先行でやってる人って、5年くらい経ってブームが終わると、一緒にいなくなっちゃうんですよね。ハンチングを被って、茶色の服を着てオーガニックみたいな、ネオ・ソウル感をバリバリ出している人はたくさんいたけど、そういう格好をしていても、説得力のない人はブームが終わると大体いなくなっちゃいましたね。〈新作を出しました〉となっても、全然違うサウンドになっていたり(笑)。だから、ブラック・ミュージックをベースにしたバンドがいっぱい出てきてるのは嬉しいけど、5年後にどれだけ生き残っているのかを考えると、芯があるかどうかは絶対に大事で、その意味でLUCKY TAPESは芯があるバンドになる準備ができたという印象を受けました」

 

LUCKY TAPESはJ-Popっぽくしても成り立つんじゃないか(高橋海)

――今回のアルバムは〈デモの段階で手応えがあった〉とのことですが、具体的にどのあたりの曲が出来たときに手応えを感じたのでしょうか?

「先にシングルでリリースした“MOON”と“パレード”を除いて、一番最初に出来たのが“ミルク”ですね。この曲のデモが出来た段階ですでに手応えがありました。今回のアルバムにはバンドの新しい一面もたくさん見え隠れしているんですけど、“ミルク”に関してはLUCKY TAPESを結成して一番最初にできた“Peace and Magic”という曲を、日本語詞にして現在の解釈で作ったようなイメージです」

田口「mabanuaさんとはヒップホップ的な、ゆるいテンポの曲をぜひ一緒にやってみたくて、“ミルク”は個人的に一番いいグルーヴが出せたなって思います」

――mabanuaさんから見て、田口くんのプレイの印象はいかがですか?

mabanua「田口くんはすごく上手いですよ。Ovallのベース(Shingo Suzuki)は田口くんと近いようで、実は相反するというか、わりと彼はヌメヌメしている感じなんですけど、田口くんはパキッと角を出すので、自分が(リズムを)よれちゃうと、ズレがばれちゃうんです。なので、自分が田口くんのベースにきっちり合わせようと心掛けて、いい緊張感を持ってプレイに取り組めました。いまもそうなんですけど、レコーディングしていた期間が、ドラムという楽器に対していろいろ考えていた時期だったんですよね」

――というと?

mabanua「ここ1年くらい〈ドラムって、そもそもどういう楽器なんだろう?〉と改めて考えていて。やっぱりドラムは曲の良し悪しを制覇する楽器だと思うんです。だから、サビに向かってドーンと行けるか行けないかも、ドラムがしっかりしていないとダメだし、その日のセッションを〈良かったね〉と言わせるかどうかも、ドラムに懸かっているなと」

――なるほど。

mabanua「そんなことを考えながらレコーディングに取り組んで、“レイディ・ブルース”を録り終えてみんなで聴いたときに、近越(文紀)さんが小声で〈やっぱドラムだなぁ〉って言ったんですよ(笑)。それを聞いて、〈やっぱりそうですよね〉と思う自分もいたし、そう言ってもらえる演奏がその日はできたということで、すごくホッとしたりもしました」

※LUCKY TAPESが所属するレーベル=RALLYEの代表

――類家さんは普段ジャズのセッションで吹く場合と、今回のようなポップスで吹く場合とでは当然アプローチが変わってくると思うのですが、どんなことを意識されましたか?

類家「セクションで吹くときは、タイトに吹かないとハマらないんですよね。この間WUJA BIN BINのレコーディングがあったんですけど、それもほとんどセクションのパートばっかりで、自分の意識としてはタイトに吹いたつもりでも、普段はジャズのセッションが多いせいか、クリックより後ろにいることが多かったんです。でもセクションでやる場合、トランペットはクリックのトップにいないと綺麗にサウンドしないので、それは意識しました。まあ、今回に関しては両脇に慣れた方々がいたので、その人たちに付いていくような形でやったんですけど、細かいアーティキュレーションやニュアンスまで揃えないと、3本で吹いたときに上手く響かないので、そこは毎回考えてやりましたね」

類家が参加したWUJA BIN BINの2016年のライヴ映像
 

「レコーディング当日、無茶振りで1曲ソロを吹いていただいたんです」

――それって“レイディ・ブルース”ですか?

健介「そうです。最初はギター・ソロが入る予定だったんですけど、サックスの大ちゃん(村上大輔)が、〈ここはペットのソロのほうがいいよ〉と提案してくれて、それでやってもらったらバッチリで。“夜想曲”にもギター・ソロが入る予定だったんですけど、そこもサポートの方にソロをお願いして、そのおかげでアルバムの幅が広がったと思います」

「類家さんがソロを吹いた瞬間、急に色気が増して曲が大人になった。モニタールームでみんなして〈これだ!〉って大はしゃぎしましたよ(笑)」

――そういえば、『Cigarette & Alcohol』というタイトルは、大人になることを意味してるんですよね?

「そうです。実際には、自分は煙草やお酒は苦手なんですけど(笑)。ただ、〈煙草が吸える、お酒が飲める=大人になる〉ではなく、お酒を呑む場で繰り広げられることや、煙草を吸うときに感じることや考えること、そういった煙草/お酒を取り巻く世界で起こることを知ることが大人になるということでもあるんじゃないかなって。自分自身も20代半ばになって、同級生が結婚したり、子供ができたりする人もいて。それに加えてバンドとしても、これまでは盲目的になっていたところもあったので、もう少し開けて、一回り大きくなるタイミングだという意味も込めて」

――〈盲目的だった〉というのは、どういうことですか?

「去年リリースした『The SHOW』のときなんかは、海外や国内のインディーから影響を受けていて、ちょっとひねくれたことや、実験的なことをやるのがカッコイイと思っていて、メロディーも難しいところに持っていってたりしました。でも、知り合いの方から〈LUCKY TAPESはもっと歌メロをシンプルに、J-Popっぽくしても成り立つんじゃないか〉と言われて、それをきっかけに“MOON”を作ってみたら、手応えがあって。〈王道はダサイ〉と思っていた頃もあったけど、キャッチーで王道でありながらもカッコイイことはできるんだと気付かされました」

――では最後に、念願叶って今年初出場となる〈フジロック〉に向けて、一言いただけますか。初日(7月22日)の〈RED MARQUEE〉の一発目に登場ということで、午前中からお客さんを集められるようなコメントをぜひ(笑)。

「この間の〈TAICOCLUB'16〉でも早朝一発目の出番だったんですけど、そのときにお客さんから〈インディー界一朝の似合うバンド〉という声を多数いただいたので(笑)。〈フジロック〉も一発目ですが、最高のスタートを切れるようにグッとくる構成や演出を考えているので、初っ端からベスト・アクトを取りにいくつもりで演奏します! 観なきゃ損!」

 


FUJI ROCK FESTIVAL '16
日時/会場:7月22日(金)~24日(日) 新潟・湯沢町苗場スキー場
LUCKY TAPESは7月22日に、類家心平はdCprGの一員として7月24日にそれぞれ出演
★詳細はこちら

◎LUCKY TAPES
AWESOME LOVE TAPES
日時/会場:8月10日(水) 東京・渋谷WWW
共演:Awesome City Club/lovefilm
開場/開演:18:00/19:00
料金(1D別):前売り/3,300円
★詳細はこちら

BAYCAMP2016 TGIF
日時/会場:9月2日(金)神奈川・川崎市東扇島東公園
★詳細はこちら

『Cigarette & Alcohol』全国ツアー
9月23日(金) 東京キネマ倶楽部(ワンマン公演)
10月7日(金) 愛知・池下CLUB UPSET 
共演:南波志帆
10月28日(金) 広島・CAVE-BE 
共演:王舟
10月29日(土) 福岡・LIVE HOUSE Queblick
共演:ポルカドットスティングレイ
11月4日(金)宮城・仙台enn 2nd
共演:Awesome City Club
11月13日(日)北海道・札幌BESSIE HALL
共演:Awesome City Club
11月18日(金)大阪・梅田Shangri-La
共演:YeYe
★詳細はこちら

◎mabanua
Gotch & The Good New Times Tour 2016 “Good New Times”
ツアーにドラマーとして参加!
9月6日(火)東京・渋谷CLUB QUATTRO
9月8日(木)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
9月13 日(火)宮城・仙台 Rensa
9月16日(金) 福岡・DRUM LOGOS
9月17日(土) 広島・CLUB QUATTRO
9月20 日(火) 石川・金沢 EIGHT HALL
9月21日(水) 愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
9月23 日(金) 北海道・札幌 PENNY LANE 24
9月27 日(火) 大阪・BIG CAT
9月29 日(木) 東京・渋谷 TSUTAYA O-EAST
★詳細はこちら

◎類家心平
〈MFTM x RS5pb〉
After Midnight & UNDA Wリリースパーティー!

日時/会場:7月17日 東京・青山月見る君想フ
出演:RS5pb(類家心平 5 piece band)、MUSIC FROM THE MARS
オープニング・アクト:Ryo Hamamoto
★その他のライヴ詳細はこちら

関連アーティスト