DISC GUIDE

看板シンガーのベティ・ライトや今日的なアーバン耳でも◎なミルトン・ライトなど復刻進むTK盤/本編とは関係ないリイシュー

【IN THE SHADOW OF SOUL:ソウル・ミュージックの光と影】[第93回]夏だからTK Pt.2

ヘンリー・ストーンが築いた帝国と、多くの才を生んだマイアミ・サウンドの真髄
★Pt.1はこちら


ESSENTIALS
復刻の進むTKのディスコグラフィー

BETTY WRIGHT Danger -High Voltage Alston/Solid(1974)

TK軍団の看板シンガーとなる才女の通算4作目。ディスコ・ブームの到来を予見したかのようなダンス・ヒット“Where Is The Love”やアラン・トゥーサン作のイナタい“Shoorah! Shoorah!”などが混在するなか、いわゆる初体験の思い出を品のあるタッチで歌った“Tonight Is The Night”など同性リスナーの琴線に触れるマイルドさは彼女ならではだ。全体の軽みが快い佳作。 *出嶌

 

TIMMY THOMAS You're The Song I've Always Wanted To Sing Glades/Solid(1974)

全米ヒット“Why Can't We Live Together”(72年)を生んだ初作に続いて、オルガンとリズムボックス、味のある歌唱の組み合わせから独特の妙を生む個性を、さらにメロウに推進した傑作だ。チープな演奏の駆動力はいまも有効。リトル・ビーヴァーベティ・ライトクラレンス・リードKCらがソングライトを分け合う布陣も当時のTKらしいファミリー感を覗かせる。 *出嶌

 

JACKIE MOORE Make Me Feel Like A Woman Kayvette/Solid(1975)

フィリー録音曲を含んだ前作に続き、フロリダの歌姫がブラッド・シャピロ主宰のケイヴェット入りしてサザン・ソウルに注力したセカンド。“Precious, Precious”路線となるクラレンス・リード作の表題曲(キャリア最大のヒット)などでの力強く包容力のある歌に魅せられる名作で、ミリー・ジャクソンで知られるバラードも味わい深い。モダンな疾走系ダンサーも登場。 *林

 

MILTON WRIGHT Complete Friends And Buddies AOTN(1975)

ベティ・ライトの兄弟がアルストンに残した75年作で、このコンプリート盤は内容の違う2種のマスターをまとめて収録したもの。音像の違いも聴きどころではあるが、いずれにせよ、一般に出回ったセカンド・プレスにのみ収録の“Keep It Up”が本作に対する後世の高評価を促したのは確かだ。今日的なアーバン文脈の耳にもジャストで馴染む哀愁メロウ・ソウルの傑作。 *出嶌

 

THE BEGINNING OF THE END Beginning Of The End Alston/Solid(1976)

“Funky Nassau”(71年)の全米ヒットがあまりにも有名な、バハマはナッソー発のマニングス兄弟を中心とするバンド。同曲を含む初作に対して長らくレアだったこの2作目は、名匠テディ・ランダッツォの采配が従来のカリブ色に洗練の黒みを注いだ隠れ名盤だ。冒頭をファンキーに駆ける“Super Woman”をはじめ、AORの洒脱さとパーカッシヴなグルーヴが共存している。 *出嶌

 

IRENE REID Two Of Us Glades/Solid(1976)

60年代前半からソロ作を出しているジャズ・シンガー(2008年に他界)。彼女と同じNYにいたバディ・スコットのフロリダ移住もあってのグレイズ入りと思われ、ボブ・バビットら腕利きを従えて、エスター・フィリップスグローリア・リンに通じる人懐っこい声で歌うソウル・ジャズ盤だ。NYブロードウェイ感覚の洒落た“You Made Me Want To Dance”が人気。 *林

 

TIMMY THOMAS The Magician Glades/Solid(1976)

TKサウンドを支えた鍵盤奏者/シンガーによるグレイズ発の3作目。ウィリー・クラークの制作で、表題曲を筆頭に、自身が弾くエレピのメロウネスを肝としながらKC・アンド・ザ・サンシャイン・バンド譲りのディスコ・マナーに沿った内容は当時のTKならでは。出世曲“Why Can't We Live Together”のディスコ解釈的なインスト“Stone To The Bone”も微笑ましい。 *林

 

BETTY WRIGHT This Time For Real Alston/Solid(1977)

TKを代表する歌姫のアルストン第5弾(通算6作目)は、自身の成長に伴ってかクラーク&リードとのタッグを解消。プロデュースはスティーヴ・アレイモで、前半と後半ではディスコと程良く距離を置いて明るく洗練されたアップを、中盤ではモダンなバラードを、それぞれ成熟したヴォーカルで伸び伸びと歌い上げた快作だ。マイアミ的なディープネスはもちろんキープ。 *林

 

THE FACTS OF LIFE Sometimes Kayvette(1977)

タイロン・デイヴィスの妹を含む男女混声トリオのケイヴェット第1弾。制作は後見人でもあるミリー・ジャクソンで、バンクス&ハンプトン作の必殺サザン・バラード“Caught In The Act(Of Getting It On)”を含むマッスル・ショールズ録音の名盤だ。濃厚なヴォーカルはスロウで映えるが、男女入り乱れて豪快に歌い倒すダンサブル&グルーヴィーなアップも快演。 *林

 

FUNKY BROWN These Songs Will Last Forever Glades/Solid(1977)

ジャマイカの歌い手が前年に出していた2作目をグレイズがライセンスしたUS盤で、直接の関与はないものの、同時期にチョーズン・フュー『In Miami』(76年)を援護していたTKらしい一枚とも言えよう。レゲエでなくUSのソウル曲を朗々と取り上げた中身は、トロピカル仕立てのメロウ・ナンバーが絶妙な心地良さを運ぶものだ。演奏にはウィリー・リンドらが参加。 *出嶌

 

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