Page 6 / 8 1ページ目から読む

[Alexandros]

ロックスターの風格漂わせる熱演で、フェスのムードを掌握

朝から降り続いた雨で場内は少し肌寒かったが、[Alexandros]の奏でるハイブリッドなロック・サウンドはこんなシチュエーションにも良く映える。フォークロア風のSEに導かれてメンバーが登場したかと思えば、川上洋平(ヴォーカル/ギター)がおもむろにギターを掻き鳴らした瞬間に空気が一変、性急なドラム・ビートと切れ味鋭いリフが叩き付けられる“Kill Me If You Can”、けたたましいサイレンと共にステージが真っ赤に染まる“Girl A”のアタマ2曲で、彼らは〈DPF〉を完全に掌握してしまった。

サングラス姿の川上が〈(声が)聴こえねーぞっ!!〉とオーディエンスを煽ると、アコギとエレキが火花を散らす“Waitress, Waitress!”を投下し、バンドはさらにギアを上げるべく8月24日にリリースされる新曲“Swan”をプレイ。イントロのオートチューンを噛ませた歌声はどこか切なげだが、ナイン・インチ・ネイルズを思わせる庄村聡泰(ドラムス)のドラム・ビートと、サビに向かって疾走していく多幸感は〈新たなアンセム誕生か!?〉と興奮を禁じ得なかった。続く“Kick&Spin”ではエレクトロな上モノにメタルもヒップホップも大胆に呑み込んでモッシュを誘発していたが、観るたびにアレンジの変わるサウンド、一度耳にしたら忘れられないパンチラインを持つ川上のソングライティングは、やはり天才的と言うほかない。アウトロにレッド・ツェッペリンの“Whole Lotta Love”のフレーズを差し込む余裕にも、世界を相手にするロック・スターとしての風格を感じさせた。

〈あまり公言してなかったんですけど、僕らもSiMと同じく神奈川で育ったんですよ〉と念願の〈DPF〉出演が叶ったことの感謝を述べると、最後はもちろん“ワタリドリ”。超満員のオーディエンスが両手を挙げて大合唱する光景は実に壮観で、確かな手応えを感じた川上は〈お前らサイコーだ。ありがとう!〉と言い放ちステージを後にした。 *上野功平

SET LIST
1. Kill Me If You Can
2. Girl A
3. Waitress, Waitress!
4. Swan
5. Kick&Spin
6. ワタリドリ