SiM
すべての観客の心を激しく揺さぶる感動的なステージ
雨はすっかり止み、日も暮れて夜風が心地良く感じられる。野外では2度目となる〈DEAD POP FESTiVAL 2016〉の初日、ヘッドライナーを務めるSiMの出番がやってきた。サイレンの音が鳴り響くなか、SHOW-HATE(ギター)、SIN(ベース)、GODRi(ドラムス)の3人が所定の位置に付くと、最後にゆっくりと歩きながらMAH(ヴォーカル)が姿を見せ、“ANTHEM”でショウは始まった。〈手を上げろ!〉〈ジャンプ!〉と観客を焚き付け、早くも熱い盛り上がりを見せる。そこにライヴの定番である人気曲“JACK.B”“KiLLiNG ME”を畳み掛け、緩急のダイナミズム溢れるサウンドで観客は大騒ぎ。SHOW-HATEとSINは楽器をブンブン振り回すお馴染みのパフォーマンスを披露し、キャッチーな“Amy”へとバトンを繋ぐ。ノイジーなエレクトロ・パートではSINがお立ち台に上がり、観客の視線を集めていた。
そして“Blah Blah Blah”でひときわ大きなシンガロングが起こり、〈モンキー・ダンスしようぜ!〉とMAHが呼びかけると“GUNSHOTS”へ。SHOW-HATEが鍵盤を弾く煌びやかなサウンドは野外で格段に映える。〈晴れたね。俺らは晴れ男だから。昼、夕方と(雨で)大変だったと思うけど、最後まで付いてきてくれてありがと〉とMAHは観客をねぎらい、〈俺らは幸せよりも、苦しみや悲しみを誰かと共有したい。だけど、いまはこの幸せを共有したくて〉と付け加えて“Life is Beautiful”をプレイ。MAHのエモーショナルな歌声や楽曲に込めた想いは、会場にいる多くの人たちにも伝わっているようだった。
さて、残すは2曲。“MAKE ME DEAD!”“f.a.i.t.h”とアグレッシヴなナンバーを立て続けにプレイし、ウォール・オブ・デスも勃発する大炎上っぷり。鳴り止まないアンコールの声に応え、ふたたびメンバーがステージに現れると、〈今日楽しかったら、スタッフにも「ありがとう」と言ってください〉とMAHが告げ、“EXiSTENCE”で幕を閉じる。ヘヴィネスと壮大なスケール感を兼ね備えた曲調は、すべての観客の心を激しく揺さぶる感動的なステージとなった。 *荒金良介