自分がファンであること、それ自体が共演する理由にはならない(小林)

――ここのところのThe Birthdayは、非常に状態がいいように思います。

チバ「うん、すごくいいと思ってる。演奏するのをすごく楽しんでるというか。よりゴチャゴチャ考えなくなっている感じはあるかな。

――演奏するのがあまり楽しくなかった時期もあったということですか。

チバ「あったよ」

――でもここ最近は違う。

チバ「違う」

――何が良くなったんですか。

チバ「何が良かったんだろうねえ……」

――チバさん自身か、周りの状況か。

チバ「両方じゃない? オレが周りに及ぼす影響もあるし、オレが周りから受ける影響もあるし。そのへんがいまは上手いこといってるんじゃないかな」

――小林さんはThe Birthdayのいまの状態をどう見ています?

小林「僕は福岡でご一緒した時にライヴを観ましたけど、その時はメチャクチャ格好良かったから、状態はいいってことですよね。ライヴって、自分たちとしてはすごくいいと思っても、外から見るとそうでもなかったり、その逆もあるじゃないですか。僕は見てる側からしか言えないけど、ステージ上にあるものは、すごく格好良かったなぁ」

チバ「(そういうギャップは)たまにはあるけどね。でもそういうこともあまり考えなくなったというか(笑)」

The Birthdayの2015年6月のライヴ・ダイジェスト映像
 

――今年の〈フジロック〉もそうでしたけど、いまのThe Birthdayのライヴは観た人全員ほぼ例外なく絶賛している。チバさんの音楽人生で、いまが一番いい時期なんじゃないですか。

小林「僕の友だちもみんな言ってましたね、いまが一番カッコイイって。ケンゴもそう言ってました(笑)」

チバ「じゃあこっから落ちていくの、オレ(笑)?」

――ロックって〈若さ〉と切り離せないイメージがありますが、もう長いキャリアのあるチバさんが、いまが一番いいということは、〈若さ〉はあまり関係ないってことですね。

小林「肉体的な若さは関係ないですね。でも、例えば60代の人でも〈心の10代性〉みたいなもの――ティーンエイジャーの心というか、何をしても楽しめる心、新鮮な驚きだったり、ワクワクする気持ちを持てる人と、いろんなことに慣れすぎちゃって、そういう感覚が持てなくなっている人がいると思うんですよ。それが持てるかどうかが、本当の〈若さ〉かなと思う。世の中で言われている〈若さ〉って、実際は関係ない。老いるというのは肉体が老化することじゃなくて、心が衰えるってことだと思う。歳を重ねてもどんな心でいられるか。ヤマジさんなんかもそうだけど、〈なんでこの歳でこんなに冒険心があるんだろう?〉って驚かされますからね。自分がワクワクすることに貪欲な人って、周りに何もなかったら自分でワクワクするものを作るだろうし、探しに行くだろうし。それができる人とできない人がいるんじゃないかと思います」

――チバさんは何にワクワクしますか?

チバ「いまワクワクすること? あんまないな……」

小林「ハハハハハ!」

――何をやってるときが一番楽しいですか?

チバ「いまはあんまし……(長い沈黙)。あ、この間大阪の野外で、豪雨で雷ドカンドカンのなかで(ライヴを)やって。それは楽しかった(笑)」

――肉体的に歳を重ねても、心の柔軟さがあれば若くいられるんだと小林さんは言ってます。チバさんはどう思われますか。

チバ「うーん……ようやく柔軟になってきたかな、いま思えば」

――確かにチバさんはここ数年、〈変わらないんだけど柔軟になってきた〉という気がします。

チバ「うん、なんか人の意見を聞くようになったというか。へっへっへっ(笑)。聞かないけど(笑)。一応聞くけど、結局聞かない」

THE NOVEMBERS Hallelujah MAGNIPH/HOSTESS(2016)

――チバさんはTHE NOVEMBERSの新しいアルバムは聴いたんですか。

チバ「聴いた聴いた。なんて言うかな……前に聴いたやつとちょっと印象が違って。THE NOVEMBERSの魅力って、あんまし上手く説明できないんだよね。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやらソニック・ユースやらがチラホラいたり……。ちょっと違うかもしれないけどさ、80年代の……ウルトラヴォックスとか」

小林「ああ(笑)」

チバ「声は……小林君はいろんな声で歌うんだよね。シャウトもあるしファルセットもあるし。すごくおもしろい」

――ああいう叙情的なニューウェイヴの感じって、The Birthdayにもあるでしょう。

チバ「うん。そんなところもある気がする。おもしろい」

THE NOVEMBERSのニュー・アルバム『Hallelujah』収録曲“黒い虹”
 

――今回はセッションやレパートリー交換とか、そういう特別な趣向はあるんですか。

小林「今回はないですね。ただ対バンするだけが一番いいかなと。今回は2バンドなので、真っ向から対バンして、自分たちの一番カッコイイところをストレートに見せたいです」

――負けたくないっていう気持ちはあるんですか。

小林「フフフフ、もちろんそうなんですけど。自分が一番カッコイイと思ってステージに立たないとダメじゃないですか。ステージ上で、次に出てくる人たちのほうがカッコイイとか思いながらやる人なんていないわけで。自分が憧れの人と共演する時に一番気を付けたいのがそこなんです。ただのファンとして関われるわけじゃない。もちろん自分がファンであるのは(共演の)きっかけとしてはあるけど、それ自体が共演する理由にはならないというか。自分が影響を受けて、圧倒的だと思っている相手に、〈自分が得意なものを見てくれ〉って言えるかどうかが大事なので」

――そうですね。

小林「だから当日は、堂々と迎えたいですね」

――チバさんも、若い頃に憧れていた人と共演する機会もあったと思うんですが。

チバ「うん、いま小林君が言った通りだよね。憧れ……って感覚じゃないんだよね、自分がバンドを始めていたら。特にプロになっていたりしたら余計にね。でも、カッコイイなぁと思いながら見てたよ。ジョー(・ストラマー)ヘッドコーツとかね。彼らを聴いて育ったからさ。ちょっと不思議な感覚ではあったよね、〈一緒にやってんだなぁ、オレ〉って」

――別世界の人だと思っていた人と。

チバ「うん。そうだね。だから今回は逆に楽しみだよ。聴かせてもらったレコードの曲がライヴではどんな感じで聴こえるのか、どんな感じで表現するんだろうとか。アルバムを聴かせてもらったから、余計に楽しめるなと」

――なるほど。では最後に、当日に向けての意気込みをお聞かせください。

小林「いつも通りの自分たちで、堂々とステージに立ちたいと思います」

チバ「自分たちの演奏よりも、THE NOVEMBERSのライヴを楽しみにしてます(笑)」

 


THE NOVEMBERS presents 首 vol.13 – Redder Than Red -
2016年9月11日(日) 東京・渋谷CLUB QUATTRO ★SOLD OUT!
共演:The Birthday
開場/開演:17:00/18:00
★公演詳細はこちら


~THE NOVEMBERSからのお知らせ~

YUCK JAPAN TOUR 2016(広島公演)
2016年9月23日(金) 広島QLUB QUATTRO
共演:ヤックLuby Sparks
★ツアー詳細はこちら

indigo la End presents 「インディゴラブストーリー vol.1」
2016年10月19日(水)東京・渋谷CLUB QUATTRO
共演:indigo la End

11th Anniversary & 6th Album Release Tour - Hallelujah –
2016年9月30日(金) 大阪・心斎橋JANUS
2016年10月2日(日) 愛知・池下CLUB UPSET
2016年10月4日(火)石川・金沢van van V4
2016年10月6日(木) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2016年10月13日(木)宮城・仙台enn 2nd
2016年10月23日(日) 栃木・宇都宮HEAVENS ROCK VJ-2

11th Anniversary & 6th Album Release Live 「Hallelujah」
2016年11月11日(金) 東京・新木場STUDIO COAST

★ライヴ詳細はこちら


~The Birthdayからのお知らせ~

The Birthday “シャム猫の絶叫” TOUR 2016
11月 8 日(火) 静岡・浜松窓枠
11月 9 日(水) 滋賀B-FLAT
11月 11 日(金) 新潟LOTS
11月13 日(日) 宮城・仙台PIT
11月15 日(火) 北海道・札幌PENNY LANE24
11月21 日(月) 島根・出雲APOLLO
11月23 日(水・祝) 福岡BEAT STATION
11月25 日(金) 香川・高松MONSTER
11月26 日(土) 徳島club GRINDHOUSE
11月30 日(水) 大阪Namba Hatch
12月 1 日(木) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
12月 4 日(日) 東京・豊洲PIT
★ツアー詳細はこちら