上に上に行こうとしても戻されちゃう状況? 崖っぷちのなかで完成を見たニュー・アルバムが占うグループの未来――新たな仲間を加えてパレードは続いていく!

 

こういう状況になるけど

 7月のシングル“WE ARE the IDOL”を機にPOPからGANG PARADEに改名するも……シグサワアオが8月のTIF出演をもって脱退、さらにイヌカイマアヤが9月の活動休止を経て10月1日に脱退。そんななか、10月2日には新メンバーのキャン・マイカを加えた新たな4人体制をお披露目し、そのままGANG PARADE名義で初のアルバム『Barely Last』が登場することとなった。

GANG PARADE Barely Last T-Palette(2016)

――9月に3人になった時は、流石にかつてない危機感があったんじゃないですか?

ヤママチミキ「えっ、いま!?……みたいな」

カミヤサキ「ライヴ直前に知らされたから、3人のフォーメーションも2日ぐらいで覚えて。でもポジティヴに考えれば、それが団結に繋がったというか……気持ちがひとつになって、みんな強くなったかな」

ユメノユア「遊び人(GANG PARADEファンの総称)の方に〈しっかりしてきたね〉ってよく言われるんですよ。それは嬉しいんですけど、状況の変化が目まぐるしくて本当の自分がどこにいるのか見失いかけるときがあって」

――その時期にマイカさんの加入はもう決まっていたんですね。

キャン・マイカ「はい。前からギャンパレの曲が好きで、ライヴも観たことがあるし、入りたいなって思ってオーディションを受けてたんです。まさか合格していきなりこういう展開になるとは!……でした。でも、予想外のことが起こるのも少しは想定していたし(笑)、楽しんでいこうって」

ミキ「適応能力がすごいんですよ」

サキ「ホント、ありがたいなと思ってて。マイカちゃんの加入を発表する前に、イヌカイの休止は決まってたので、状況を見て辞退することもできたんですけどね」

マイカ「一応〈こういう状況になるけど、どうしますか?〉って訊かれたんですけど、そこは1ミリも悩まなかったです(笑)」

――とはいえ、モチベーションの上がってる3人の中に入っていくのは、かなりの気合いが必要だったんじゃないかと思います。

マイカ「そうですね。3人で大変な練習をしているところも見てましたし、3人でがんばって高めてきたものを私が崩すことはできないなって思ったので、もう、がむしゃらについていきました」

サキ「むしろ頼りにしてる部分もありました。練習についてくる感じが頼もしいぐらいすごかったので、けっこう安心してて」

ユア「なんか、ずっと前からいる感じ」

ミキ「ダンスも歌も上手だから、4人でのバランスがすごくイイなと思いました。ユアが言ったように、ずっと一緒にやってきたみたいに溶け込んできてくれたのが嬉しいし、心強いなって」

――それにしても、このタイミングでアルバムが出るというのもすごいですね。

サキ「実はこの状況でアルバム作ろうっていうのではなくて、アルバムは5人の時から決まってたことなんですよ」

ミキ「レコーディングを始めた時点では4人で、そこにマイカが加わったんですけど、全部終わった後にマアヤの脱退が決まってしまったので、本当は5人の声が入る予定だったんです。5人でのフォーメーションも組んでましたね」

 

思ってることが詞に出てる

 ゴール目前で振り出しに戻るという非常事態のなかで完成されたアルバム『Barely Last』は、ライヴで盛り上がり必至のハイパーなナンバーから、ミステリアスなエレクトロ・ポップまで、POP名義での前作『P.O.P』よりも豊富なアプローチを見せるサウンドが印象的。既発のシングル曲も4人ヴァージョンで歌い直し、作詞もマイカを除く3人が分けている。

サキ「タイトル曲の“Barely Last”はめっちゃ暗い歌詞なんです。私の書く歌詞は前向きなものが多かったんですけど、〈いろいろあっても最後はがんばる!みたいな詞はもう要らなくない?〉って渡辺(淳之介:マネージャー)さんに言われたこともあって、これはとことん暗い、救いようのない歌詞にしてみました。書いたのは8月の初め頃……シグサワが脱退してどうなるかなって時期で、いまは心境も変わってきてますけど、他人にあまり見せたことがない部分にも踏み込んでみようと思って」

ミキ「メンバーの思ってることが歌詞に出てたりもするので、そういう部分で私たちのことをもっと知ってもらえると思います。私が担当した“テヲノバス”は、大好きな某〈夢の国〉のことを書かせてもらってます。悲しいことがあっても辛いことがあっても、そこに入った瞬間にすべてがパンッと弾けてなくなるんです。ただ、ずっと楽しいことを書いてる感じでもなくて、夜のパレードが終わって〈ああ、夢が覚める……〉って時の儚い気分も書いてたり」

ユア「私の場合、いまの自分の感情を歌詞にぶつけるというより、音を聴いたイメージから乗せたい雰囲気の言葉を考えていくことが多いんです。例えば、オープニングの“sugar”はデモを聴いてすぐ〈夢〉の曲にしようと思ったんです」

サキ「夜というか、夜明けっぽい曲だよね」

ミキ「〈ユメノユア〉って感じ(笑)」

サキ「私は他に“ISSIN ITTAI”も書かせてもらってるんですけど、“crazy night”だけは音のイメージから詞を膨らませました。これは浮気してる男の話しか思い浮かばないなと思って(笑)、悪い女性と悪い男性を想像しながら。いままでのギャンパレにこういうタイプのセクシーなサウンドはなかったから、そういう歌詞はいままでひとつもなかったし、今回はオトナなギャンパレもしっとり聴かせようと(笑)」

ミキ「無縁だなあ、セクシーとか(笑)」

マイカ「いろんな要素や音のジャンルが一枚にギュッとなってるから、すごく楽しんでもらえるアルバムになったなと思います。今回私は曲が固まった段階から参加したので作詞に参加はしてないんですけど、作詞もできるすごい人たちと活動してるなって思いました……自分からこういう言葉は出てこない(笑)。私にとっても初めて自分の声が入ったアルバムになっているので、ひとりでも多くの人に聴いてほしいです」

サキ「4人時代の最初で最後、4人だけの声はこの『Barely Last』でしか聴けないので、ぜひ聴いてほしいです」

 

何かが変わる

 逆境のなかで胸を張れるアルバムを完成させたGANG PARADEだが……〈4人時代の最初で最後のアルバム〉という言葉通り、ここでさらなるニュース、いや、ハプニング、サプライズ!? さらなる追加メンバーとして、ココ・パーティン・ココテラシマユウカユイ・ガ・ドクソンの加入が10月6日の夜に急遽発表――公式に明言はされていないが、彼女たちは先立っての初ライヴ翌日に活動中止となった某ユニットにいた3人。アルバムを引っ提げた11月13日@新宿BLAZEでのワンマンは、結果的に7人体制でのお披露目も兼ねることとなった。

――昨日の夜にいきなり発表されて、驚きました(註:取材日は10月7日)。

サキ「実は、私たちも全員で顔合わせしたのは今日の朝なんです(笑)。最初に知らされたのは9月の終わりで、4人のアーティスト写真を撮影する日だったんですけど……自分より3人がどう受け止めてるのか、そこがいちばん気がかりでした。特にマイカはそういう免疫がないだろうから」

ユア「最初に聞いたとき、号泣して。撮影場所までの移動中もずっと涙が止まらなくて。でも、撮影があるし目が腫れちゃうから泣いちゃダメだダメだって思って何とか乗り切ったんですけど……。ギャンパレのためを思って決めてくださったのは頭ではわかってるんですけど、4人でがんばっていこうと思ってたばかりだったから、心がついていけなくて。でも、いまはいかに良いパフォーマンスを観てもらうかっていうのを考えるほうが大切だから、モヤモヤしてたのは最初のうちだけでした」

ミキ「じゃあ、その先のこと考えなくちゃいけないな、って切り替わって」

マイカ「けっこうメンタルは強いほうだと思ってるんですけど……これがWACKか!と思いましたね(笑)」

サキ「現メンバーの不安もあるし、逆に入ってくる3人の不安ももちろんあるはずだから。いまは、ギャンパレが良くなっていくために何をすべきなんだろう?って常に考えてますね」

――ただ、マイカさんは、早くも〈新メンバー〉とは言われなくなるという。

マイカ「もう後輩ができてしまいました(笑)。遊び人の皆さんは優しくて、私は最初のお披露目で受け入れてもらえたと思ってるんですけど、新メンバーが入るとその新鮮味も薄れていくと思うので、いまのうちにチヤホヤされたいですね(笑)。もちろん負けたくないっていう気持ちですし、自分も覚えることが多くてパンクしそうですけど、先輩風を吹かせます(笑)」

ミキ「イイ相乗効果になりそう。4人と7人のフォーメーションを同時に覚えるのは大変ですけどね。3人ヴァージョンも身体が覚えてしまってなかなか消去できなかったから(笑)」

サキ「これがチャンスだと言ってくれる人もいるし、〈4人で良かったのに〉って思う人もいるだろうけど、7人になって良かったっていうことを、初お披露目となる11月13日のパフォーマンスで証明したいです。これは言葉で言うよりも、実際に観て、感じていただけたらなって思います」

ユア「7人でのパフォーマンスもワンマンに向けてしっかりと準備して、楽しいライヴにするので、ぜひ遊びに来てください!」

マイカ「会場の新宿BLAZEはとても広いんですけど、全員で感動とか楽しさを共有できたらなって思います」

ミキ「きっと楽しい、7人でしか見せられないライヴにしたいと思います!」

サキ「ハードルは高いけど、それを越えたときに、大きくても小さくても何かが変わる場所だと思ってるので、必ずその瞬間を目撃しにきてほしいです」