ROTH BART BARONの〈ロット熊戦記〉

来日間近なロンドンのフォーク・シンガー、ルーシー・ローズ(Lucy Rose)にROTH BART BARON三船がインタヴュー!

ロットバルトバロン三船雅也がお届けする世界音楽〈熊〉紀行:第五話

すっかり寒くなってきたと思ったら暖かい、変な気温が続いています。
東京は街の人も何を着て外に出たらいいのかといった感じでバラバラです。
一方でアメリカの友達はみんな、動揺を隠せないといった感じでザワザワしています。民主主義ならではの苦しみというものを肌で実感している、目まぐるしい初冬です。

さて今回は特別企画、祝来日記念! 三船が11月17日(木)に東京・新代田FEVERで共演するルーシー・ローズ(Lucy Rose)にメール・インタヴューを行いました。
三船がずっと会いたかったソングライターの1人です。

2015年作『Work It Out』収録曲“My Life”
 

筆者はボンベイ・バイシクル・クラブ(Bombay Bicycle Club)と共演していた動画を見て、彼女を知ったのです。素朴で、落ち着いていて、気品があり、声に非凡なものを感じました。

ルーシー・ローズが参加したボンベイ・バイシクルの2011年のパフォーマンス映像
 

気になってはいたものの、あまり深入りせずに流していたのですが、2014年にアニメーション「蟲師」のオープニングで彼女の歌が使われているのを聴いて、思い出したように彼女の作品を聴きはじめました。そして今回、彼女の初来日ツアーで共演する機会をいただいたので〈ぜひインタヴューをさせて下さい〉とお願いしたところ、快くOKしてくれました。Lucy、ありがとう!

熊戦記初のインタヴューです、和訳に加えて彼女の英文もそのまま載せてみましたのでどうぞお楽しみください。

このようなインタヴューの機会をいただいてとても光栄です!
初めての来日ツアー前に、少しでも日本のオーディエンスにあなたのことを知ってもらおうといろいろ質問を考えてきました。よろしくおねがいします。

――あなたは2014年に漆原友紀原作のアニメーション「蟲師」の主題歌に“Shiver”を提供していますね。僕は子供の頃から非常に多くのアニメーションに影響を受けて育ってきたアニメ・フリークです。あなたの楽曲もこのアニメで知ることになったのですが、作品とあなたの音楽の世界観が合っていてとても印象的でした。作品はご覧になりましたか? またあなたのお気に入りのアニメーション作品はありますか?

The song “shiver" was used for Japanese animation “MUSHISHI” in 2014. I’ve been a big fan of animation and actually that’s how I got to know you. I felt that "shiver" made a good match with the animation. Have you seen the animation ”MUSHISHI”? Also is there any animation you really like?

「本当にごめんなさい。まだ観ていないの。でも、素晴らしい作品だと聞いているし、本当にたくさんの人に私の音楽を知ってもらうきっかけになった作品なので、絶対に観ようと思ってる。『千と千尋の神隠し』は大好きな映画の1つかな」

"I'm sorry to say I have watched the anime yet but I must because so many people have told me that it's really wonderful and it's helped so many people discover my music, so I'm so grateful they used 'Shiver'. I've watched "Spirited Away" which is one of my favorite films."

2015年作『Work It Out』収録曲で「蟲師」のオープニング・テーマに使用された“Shiver”
 

――セカンド・アルバムの『Work It Out』では、アコースティック・ギター弾き語りの曲でアルバムを締めくくっていてとても良いと思いました。僕は高校生の頃にアメリカのフォーク・ソングをたくさん聴き、自分もアコースティック・ギターを演奏するようになったんです。あなたがアコギを持つようになったきっかけや影響を受けたアーティストなどを教えて下さい。

As for your first album, it was really great. Especially the end with acoustic songs.
When I was at high school, I started to play an acoustic guitar after listening to a lot of American folk music. Could you tell us how you started to play an acoustic guitar? Also is there any artists that you’ve been influenced?

「ありがとう。そう言ってくれると嬉しい。15歳の時にお金を貯めて、ギターを買ったの。当時はどうやって弾いたら良いかも分からなかったから、チューニングもずれてたけど自己流で学んだ。ジョニ・ミッチェルニール・ヤングトム・ウェイツニコキャロル・キングにはとても影響を受けたと思う。いつも彼らのような音楽を作れるように努力をしているのよ」

"Thank you, I'm glad you liked them. I saved up to buy a guitar at 15 years old and I taught myself, hence most my songs are in strange tunings as I really didn't know what I was doing. I think I've been heavily influenced by artists like Joni Mitchell, Neil Young, Tom Waits, Nico and Carole King. I strive to write songs like theirs."

2012年作『Like I Used To』のレコーディング映像
 

――あなたのFacebookの写真はどれも素敵ですね! ライヴや街角で撮られていて、色合いなどがとても魅力的です。僕も写真は好きで、ウィリアム・エグルストンや最近だとジェイミー・ホークスワースがお気に入りです。あなたは写真が好きですか? また好きな写真家がいたら教えてください。

I like the photos on your Facebook. There are so many beautiful photos on it. l personally like William Eggleston. Younger one is Jamie Hawkeworth.
Do you like photography? Do you have any favorite photographer?

「そうそう! 写真が大好き。でも写真の知識はほとんど無いけどね。〈ナショナル・ジオグラフィック〉の写真家の作品が好きでよく観てる。私の友達や家族もたくさん写真を撮っていて、私の旦那さんもその1人。私がアップしているほとんどの写真は彼が撮ったものよ」

"I absolutely love photography, but my knowledge is pretty limited. I follow nearly every National Geographic photographer and I have a lot of talented friends and family who are good at photography. My husband actually takes most the photos that I post online and he just does it as a hobby."

――ロンドンという都会で生活していながら、あなたの音楽のはどこか自然や原風景みたいなものを感じます。これはどうしてなのでしょう? 幼い頃から都会で暮らしていたカウンターなのか? それとも自然の中で遊ぶのはあなたにとって当たり前のことなのか?

Although you live in London I can see landscape of nature and grassland from you. Do you know why? Is that because you’ve been living in the city, so your desire of being with nature reflect to your music? or is it natural for you to be part of nature?

「自然へと引き込まれているように見えるのは、田舎のほうで育ったからかもしれない。ロンドンにいても、外に出るのが好きだし、飼っている犬と公園に行くのが好き。ロンドンは素晴らしい場所。全てが揃う大都市で過ごすことは楽しく感じるし。でも、もっと住宅地みたいなところに住むことで、騒がしい都会から逃げ出せるんじゃないかと感じることもある」

"I grew up in the countryside so that maybe why I'm so drawn to it. Even in London I love being outside, walking in one of the many parks we have here with my dog. London is brilliant because I do enjoy living in a big city and having everything around me but living in a more residential area I feel like I can escape the busy streets as well."

 2015年作『Work It Out』収録曲“Into The Wild”のパフォーマンス映像
 

――『Work It Out』はアコースティックなサウンドが主体だった前作『Like I Used To』と比較して、バンド・サウンドに挑むなど挑戦に富んだ楽曲を収録しています。“Koln”という曲はツアー中にバンドで作り上げていったそうですね。僕自身の経験ですが、ツアーを重ねると音楽はどんどん肉体的になってきます。ツアーはあなたの音楽にどんな影響を与えたのでしょうか?

It seems that you challenged a lot musically on your second album “Work It Out”. There are a wide variety of music on it. You made a song “koln" through your tour. From my experience, music becomes strong and tough through tours. What do you think about that? What does tour give you? Does creating new music have something to do with tour?

「たしかにそうかもね、あなたの言うとおりかも! 自分でも、どうしてバンドでツアーしたのをきっかけに違った音楽性の曲を書き始めたか不思議に感じていたの。たぶん、そういった実験的な経験も必要で、もっとアップビートの音楽を探求したいという好奇心から来たと思うな。私はアコースティックの楽曲を作るのが好きだけど、書いてきたのはいつも悲しいことについてだった。だから、『Work It Out』が出来上がったとき、はじめて音楽の中で生きていると感じられたし、これが私の音楽キャリアの始まりなんだと感じた。すごく嬉しかったな」

"Yeah you might be right! I always wonder why I created such different music once I started touring and had a band but I think it came from a need to experiment and a curiosity I had to explore a more upbeat avenue musically. Even though I love writing acoustic songs, for a time it got me down always writing about sad things and I wanted my music to represent how happy I felt at that time. I was very happy when I wrote my second record because for the first time in my life I was able to play music as my living and I felt like it was the beginning of my career."

2015年のライヴ映像。“Koln”は4分35秒頃から演奏されている
 

――あなたのSpotifyのプレイリストにはロウウォーペイントステイヴスからフューチャー・アイランズまで選ばれていて、ヴァリエーション豊かですね! なかでもニック・ドレイクを見つけて嬉しくなりました。あなたにインスピレーションを与えてくれる、いまお気に入りのアーティストはいますか?

There are songs of Low, Warpaint, The Staves, Future Islands on your playlist of spotify. For some reason, I was happy to see Nick Drake on it. Is there any artist that you’ve been influenced lately?

「ニック・ドレイクは本当に大好き。私の音楽人生に大きな影響を与えてくれて、彼の楽曲“Pink Moon”はいつも私を落ち着かせてくれたり、安心させてくれたりするの。最近はホセ・ゴンザレスもよく聴くな。いまお気に入りのアーティストね」

"I love Nick Drake so so much! He's a huge influence to me, and Pink Moon will always be my goal to album to calm me down and make me feel safe. I've also been listening to a lot of Jose Gonzalez recently, he's my favorite current artist."

ニック・ドレイクの72年作『Pink Moon』収録曲“Pink Moon”
 

――僕はロンドンに行ったことがまだありません。僕の祖母は輸入の仕事をしていて、古いイギリスの妖精の本やロバート・ウェストールの文学を幼い時に読んできたので、あなたの国にはとても親しみがあり魅力的に思っています。あなたから見て最近のイギリスの音楽シーンはどう映るのでしょう? また今後ロンドンに行くときに訪ねてみたいので、あなたがお気に入りのアート・スペースやクリエイティヴな活動が行なわれている地域、若者が集まるクールなヴェニューがあれば教えてください。

I’ve never been to London. But my grandmother used to import old British books. So I used to read old British books about fairy and Robert Westall’s books when I was younger. Therefore, I have a real affinity with England. What do you think about English music scene, maybe British music scene as well? I’m planning to visit London in near future. It there any cool art spots and venues to check out?

「なんか不思議なんだけど、私はもちろんロンドンが好きで、大人になってからはずっと住んでいるんだけど、もし三船さんが少しの間だけロンドンで過ごすのなら、この街や文化をそこまで溺愛することにはならないかも。音楽に関しては、本当にたくさんのライヴが毎晩行われていて、新しいバンドを見ることができる。毎週火曜日の10時からトロイ・バー(Troy Bar)というところで、ヒップホップやR&Bの飛び入り参加ができるオープンマイク・ナイトがあるんだけど、ライヴハウスのバンドを従えて、誰でも好きな曲を歌うことができるの。機会があったら、ぜひそこに行って欲しいな、本当に素晴らしいミュージシャンが出てるから」

"It's funny because I of course love London, it's my home and where I've spent all my adult life but I worry that if you were just visiting for a short time you wouldn't be able to fully fall in love with the city and the cultural scene. When it comes to music, there is a copious amount, gigs every night, new bands forming every day and a pub on every corner with an open mic. There are so many cool spots to check out, every Tuesday night there is a hip-hop/r&b open mic night at Troy Bar in Old Street starting from 10pm with a live house band that can play any song you want to sing. They are truly awesome musicians, so definitely go there if you have a chance."

 


メールで話しただけの印象ですがとてもフレンドリーで面倒臭い質問にも快く答えてくれました。Lucy、忙しいなか質問に答えてくれてありがとう。当日演奏できるのをとても楽しみにしています!

彼女の来日公演は2016年11月16日(水)に渋谷7th FLOOR で、2016年11月17日(木)に新代田FEVER です。きっと楽しい夜になりますよ。

2015年作『Work It Out』収録曲“Our Eyes”のパフォーマンス映像
 

〈Lucy Rose Japan Tour 2016〉
2016年11月16日(水)@東京・渋谷7th FLOOR
OPEN 19:00/START 19:30
共演:KUDANZ
★詳細はこちら
2016年11月17日(木)@東京・新代田FEVER
OPEN 19:00/START 19:30
共演:三船雅也ROTH BART BARON
★詳細はこちら

それでは、また次の熊戦記でお会いしましょう。
そうそう僕らは〈BEARNIGHT〉に向けて大忙しです。こちらも是非遊びに来てくださいね。

〈BEARNIGHT〉
2016年12月20日(火)@東京・恵比寿LIQUIDROOM
ぴあ
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★詳細はこちら

【プロフィール】
三船 雅也

三船 雅也 (みふねまさや)

日本、東京出身。フォーク・ロック・バンド、ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)のヴォーカル、作詞作曲、演奏、録音、プロデュース。2014年、アメリカのフィラデルフィアで大寒波に襲われながら制作したファースト・アルバム『ロットバルトバロンの氷河期』はその年のベスト・ディスクに数多く選ばれ、注目を集める。日本、アメリカを回る〈氷河期ツアー〉を行う。2015年、レコーディングのためカナダ・モントリオールへ。同年にSFをテーマにした1年半ぶりのセカンド・アルバム『ATOM』をリリース。音楽とヒグマをこよなく愛す。

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