COLUMN

もっともポップでとにかく踊れる! オヴァルが解放的に音と戯れる新作『Popp』に窺える彼流のロマンティシズム

もっともポップでとにかく踊れる! オヴァルが解放的に音と戯れる新作『Popp』に窺える彼流のロマンティシズム

とにかく踊れる! “オヴァル流のダンス・ミュージック”

 自身の名が冠せられた久方ぶりの新作『Popp』はオヴァルことマーカス・ポップの仕事のうちで、(言葉遊びではなく)紛れもなく最も“ポップ”なアルバムだ。冒頭から情報の洪水のように溢れ出すビート、カットアップされたヴォーカルはまるで、当世風のハウシーなクラブ/ベース・ミュージックのそれである。かくも快楽的なリズムが横溢する本アルバムはとにかく“踊れる”のである。

 聴き手の可聴領域を拡げるような音響作品―。意図的にダメージを与えたCDのスキップ音、所謂“グリッチ・ノイズ”と呼ばれる擦過音をサンプリングし、1994年『Systemisch』、続く95年『94diskont.』での革新的な制作プロセスによってラップトップ・ミュージック/エレクトロニカの先駆をなしたオヴァル。音楽家の主観性やクリエイティヴィティに対する徹底的な批評意識は世紀を跨いだ2001年 『Ovalcommers』で頂点を極め、長き沈黙期間を経た後、約9年ぶりの復活作『O』は自ら楽器を演奏するという、これまでになくラディカルかつストレートな音楽への愛を刻んだものであった。

 近作では南米のアーティストとのコラボ作を立て続けにリリースしており、微細な電子音とミナス・サウンドにも似たふくよかな歌声が有機的に絡み合う、どちらも不思議な温かみに満ちた作品である。

OVAL Popp oval 2/HEADZ(2016)

 そして今作『Popp』での、解放的なまでに音と戯れるオヴァルはどうだ。これを進化と見るか変節とみるかはさておき、現行の“オヴァル・サウンド”は最早、エモーショナルであることを隠そうともしない。思い出してみよう、かつて佐々木敦氏がそのキャリアの最初期に見抜いていたように、音楽におけるメロディを「装飾的デザインの一要素」と喝破した理論家はしかし、究極のロマンティストでもあった事を。

 


LIVE INFORMATION

『OVAL Live in Japan 2016』
東京公演

2016年12月20日(火)
@TSUTAYA O-nest
http://www.shibuya-o.com
開場:19:00 / 開演:20:00
前売:3,500円 + 1D / 当日:4,000円 + 1D
LIVE:OVAL

京都公演
2016年12月22日(木)
@京都METRO
http://www.metro.ne.jp/
開場:18:30 / 開演:19:30
前売:3,500円 + 1D / 当日:4,000円 + 1D
LIVE:OVAL
Selector:Ken'ichi Itoi(ex.PsysEx)

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