COLUMN

桑原あいが提示する別次元のジャズ―スティーヴ・ガッド&ウィル・リーの豪華リズム隊が新たなインスピレーション与えた新作

桑原あい『Somehow, Someday, Somewhere』

(C) Masami Adachi

 

2年ぶりの新作は、スティーヴ・ガッド、ウィル・リーという超強力プレーヤーと共に

 2012年にデビュー・アルバム『from here to there』をリリースした翌年秋には、桑原あいは東京JAZZのステージに立ち、その時、デヴィッド・サンボーンボブ・ジェームス・バンドのメンバーとして来日していたスティーヴ・ガッドと出会った。それが今回のアルバムの始まりだった。その後も彼女はキャリアを邁進、2015年にはスイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァルのソロ・ピアノ・コンペティションに出場、そして何かに導かれるようにクインシー・ジョーンズと巡り会い、自身のアルバムは4枚目を数え、2016年にはLAでの単独公演を成功させ、多忙な日々の中、ふと気づけば、NYのシアー・サウンド・スタジオの中で、ピアノの前に座っていた。ウィル・リースティーヴ・ガッドとともに。

桑原あい,STEVE GADD,WILL LEE Somehow, Someday, Somewhere T.O.M(2017)

 約2年ぶりの新作であり5作目となった本作はこの超豪華なリズム・セクションを得て、9曲中5曲は自身のオリジナル、残りの4曲は、ペトルチアーニバーンスタインビル・エヴァンス、そしてボブ・ディランという、ユニークなカヴァー曲群が聴きどころだ。桑原あいはアコースティック・ピアノはもちろん、1曲でフェンダー・ローズもプレイし、躍動的かつアグレッシヴでいながら、狭間でチラつかせる繊細さが彼女独特のピアニズムを感じさせる。その桑原のピアノのフレーズや響きに呼応し、どの瞬間もいちいちカッコいいウィル・リーとスティーヴ・ガッドのプレイは圧巻。3者による絶妙なトライアングルが生み出すミラクルなヴァイヴがピアノ・トリオというフォーマットを超えて別次元のジャズをクリエイトしてゆく。ちなみに2曲でガッドのドラム・ソロも聴けますよ。今回はメンバーがメンバーだけに、それが桑原あいに新たなインスピレーションを与えたともいえるが、何よりも彼女自身の成長した姿が十分伝わってくるアルバムでもある。願わくは、このメンバーでのライヴ実現!

 


LIVE INFORMATION

桑原あい新宿ピットイン5Days "5 Souls"
○4/2(日)4/3(月)4/7(金)4/8(土)4/9(日)
出演:桑原あい(p)菊地成孔(sax)大儀見元(perc.)徳澤青弦(vc)須川崇志(wb)織原良次(flb)吉田篤貴(vn)森田悠介(eb)吉田沙良(vo)山田玲(ds)石若駿(ds)ermhoi(electronics)
www.pit-inn.com/

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