INTERVIEW

HOWL BE QUIET『Mr. HOLIC』 クールになれない男の本性を告白! 赤裸々に想い曝け出した、バンド新章告げる新作を語る

HOWL BE QUIET『Mr. HOLIC』 クールになれない男の本性を告白! 赤裸々に想い曝け出した、バンド新章告げる新作を語る

束縛、独占欲、クールになれない男の本性がついに曝け出された。試行錯誤を経て演奏の楽しさに回帰した渾身のニュー・アルバム――中毒になる覚悟はできてる?

 

一周回った自分たちらしさ

 HOWL BE QUIETという名を聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべるだろう?――ポップでカラフルなピアノ・ロックの新星。J-Popなメロディーとバンド・サウンドの絶妙なバランス。イメージ豊かな表現で、映像が浮かぶ歌詞……どれも正解。メジャー・デビュー曲“MONSTER WORLD”と、TVアニメ「DAYS」オープニング曲のセカンド・シングル“Wake We Up”は、ピアノ・ロックにデジタル・エフェクトを盛り込んだ、明るく攻撃性に溢れた曲。若いバンドらしい大きな野心を見せつける、強烈なストレート・パンチだった。

 そんな風向きが変わったのは、サード・シングル“サネカズラ”の時だ。バンドのソングライターである竹縄航太の胸の内を生々しくさらけ出す、痛々しいほどに無防備な、それゆえに美しく輝くロスト・ラヴ・バラード。HOWL BE QUIETに何が起きたのか?

 「とにかく俺の中のすごくパーソナルなことを歌おうと思っていて、“サネカズラ”を作った時にすごくしっくりきたんですよ。いろんなことを歌ってきたけど、自分の中で個人的なことをグダグダ言ってるのが好きなんだなって、改めて気付けたのがすごく大きかった。そうやって個人的なことを歌う気持ち良さをただただ書いていたら、アルバムができた……という感覚ですね」(竹縄航太、ヴォーカル/ギター/ピアノ)。

HOWL BE QUIET Mr. HOLIC ポニーキャニオン(2017)

 そしていま目の前にあるのが、メジャー・ファースト・フル・アルバム『Mr. HOLIC』だ。シングル3枚のリード曲、TVアニメ「DAYS」のオープニング曲“Higher Climber”を含むカップリング、ライヴのみで披露されてきたナンバー、そして完全な新曲と、選曲は現時点でのベストと言ってもいい。

 「一周回ったナマ感というか。メジャーになってからシンセ・ベースにチャレンジしたり、イマドキな電子音とかにも行ったりしたんですけど、今回の作品で竹ちゃん(竹縄)のリアルを伝えていく時に、独特の人間味を出したほうがメッセージが伝わるんじゃないかと思って、ベースは生がほとんどなんですよね」(橋本佳紀、ベース)。

 「基本的にクロ(黒木健志)が全部アレンジをして、僕とはっしー(橋本)がそれを聴いて自分の中に落とし込んで、レコーディングではナマで叩くというシンプルなやり方だったんですけど。その場でクロが〈ここはボンボン!っていう感じで〉とか、擬音で会話したりして、みんなでワイワイしながら作ったので本当に楽しかった」(岩野亨、ドラムス)。

 

かっこつけないこと

 竹縄が曲を書き、黒木がアレンジを整え、橋本と岩野がそれに素早くレスポンスして全体像を作り上げてゆく。それぞれの役割が明確になったことで、サウンドのヴァリエーションが一気に広がったのも、前作からの大きな前進だ。

 「バンドとして単純に演奏力が上がったのは大きいです。今回はギターが多く入ってるんですけど、いまのHOWLは楽器を演奏することの楽しさに回帰したところがあるので。そこに対してDTMでどこまでできるか、3枚のシングルで身につけたものを付与していく感じがありましたね」(黒木健志、ギター)。

 軽快な4つ打ちビートの冒頭曲“ラブフェチ”から、モータウン・ポップ調の“にたものどうし”、ヒップホップ・ビートにラップ風の歌を合わせた“My name is...”など、前半はアッパーな曲が中心。壮大なバラード“サネカズラ”を経て、中盤にはクールなダンス・ロック“PERFECT LOSER”、ダークでメッセージ性の強い“矛盾のおれ様”。後半にはポップに煌めくダンス・チューン“Higher Climber”、ピアノと弦のバラード“208”、ラストにはアイリッシュ・ムード漂う“ファーストレディー”と、それぞれが強烈な個性を主張する曲ばかり。飽きるという言葉は、このアルバムには存在しない。

 「僕のお気に入りは“ギブアンドテイク”。歌詞はズタボロなのに、心の闇の中に光が射すようにみんなで合唱する感じが好きで、毎朝これをリピートで聴いてます」(橋本)。

 「リズム隊に携わる者としては、“矛盾のおれ様”はけっこうおもしろいことをしていて。リズムをカホンで叩いたり、鹿の爪っていう民族楽器を使ったり、〈こんなんやっちゃったらおもしろくね?〉っていうことがたくさんできて満足してます」(岩野)。

 「〈かっこつけない〉ということがみんなの共通認識だったんですよ。そもそもそういう人たちじゃないし、ちょっとファニーで、〈これ、ちょっとおもしろくない?〉っていうほうが俺らっぽいんで。そこでそんなエフェクトかけるか?とか、タムの音が異常にデカいとか、ギターがヴォーカルと同じくらい出てるとか、ミックスも全然整えてない。“ギブアンドテイク”とか、サビの音圧よりBメロの音圧のほうが大きくて、そこが普通じゃなくてドキドキするんですよ。印象付けるフレーズをはっきり出せたので、どの曲も聴いててすごくおもしろいと思います」(黒木)。

 

我ながらよく書けた

 サウンドでたっぷり楽しんだあとは、竹縄の描く超パーソナルな、それでいてなぜか共感を誘う歌詞の世界にどっぷりと浸ろう。人生にも恋愛にもわがままで、愛され願望も嫉妬も人一倍、自己中心で寂しがり屋で……それって、いまこれを読んでいるあなたにも似ているところがある気がしませんか?

 「自分で言うのもなんですけど、かまってほしいんですよ。ちゃんと自分という人を認識しておいてほしい。LINEで既読無視されると落ち込むとか、細かいことも含めて、プライヴェートも仕事も恋愛も、いろんな部分でそういうことがあって。特に恋愛はそうで、“208”でも歌ってますけど、追いかけてほしいから突き放すことってあると思うんですね。俺はそういう矛盾をめちゃめちゃしちゃってるなと思うし、それを矛盾とわかっていて書いたのが“矛盾のおれ様”の歌詞です。“ラブフェチ”も、俺の中では〈ついに言ったった〉感がすごくありますね。〈自分がその女性にとって初めての男でありたい〉という、めちゃめちゃわがままな感情ですけど、それを包み隠さず自分の言葉で出せたので、我ながらよく書けたと思います」(竹縄)。

〈依存〉〈中毒〉を意味する言葉をタイトルに冠した『Mr. HOLIC』は、竹縄航太にとって、バンドにとって、もしかしてすべての男性たちにも通じるかもしれない、人それぞれの愛し方のサンプルのような作品。世界にひとつだけの〈HOWL BE QUIET〉というパーソナリティーを曝け出したこのアルバムは、バンドにとって新たな始まりの一歩になるはずだ。

 「アルバムを聴いて、ライヴに来てほしいですね。ライヴに来て〈共感した〉と言ってもらえると最高に嬉しいです」(竹縄)。

2016年にリリースされたHOWL BE QUIETのシングル。

 

HOWL BE QUIETの過去作を紹介。

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