INTERVIEW

〈歌とギター〉という最小限の編成だからこそ実現した荘厳なゴシック・メタル。SCREEN modeのクリエイティヴィティーを雅友が語る

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  • 2017.07.26
〈歌とギター〉という最小限の編成だからこそ実現した荘厳なゴシック・メタル。SCREEN modeのクリエイティヴィティーを雅友が語る

〈歌とギター〉という最小限の編成だからこそ実現した荘厳なゴシック・メタル。
自身のエンターテイメントを求めて、二人は無限とも言える高みをめざす――

 声優/俳優として活動している勇-YOU-こと林勇(ヴォーカル)と、サウンド・プロデューサーの太田雅友(ギター)によるバンド、SCREEN mode。彼らのニュー・シングル“MYSTERIUM”は、ゴシック・メタルとゴスペル~クワイアなどの教会音楽の要素を融合させた、ダークかつファンタジックなロック・ナンバー。アニメソングのフィールドにおいて、〈歌とギター〉という最小限の編成を軸にしながら独創的なロック・サウンドを生み出してきた彼らは、活動スタートから4年目を迎え、その音楽性を確実に広げ続けている。今回は作曲/編曲を担当している雅友に、“MYSTERIUM”の制作からSCREEN modeのクリエイティヴィティーまでを語ってもらった。

SCREEN mode MYSTERIUM ランティス(2017)

最小単位だからこそ

――新曲“MYSTERIUM”はゴシック・メタルのテイストが反映された楽曲だと思います。どんなイメージで制作されたんですか?

「『バチカン奇跡調査官』というアニメのオープニングなんですが、3年くらい前、たまたまバチカン市国に行ったことがあって。そのときの印象も少し楽曲に反映しているんですよね。スタッフからは〈ゴシック・メタルが合うんじゃないか〉という話があったんだけど、それだけだとちょっと雰囲気に合わないと思って、教会音楽の要素を加えたり、クワイアの合唱団に参加してもらって。ギターはかなり激しく入ってますけどね」

――雅友さんのハードなギター・サウンド、勇-YOU-さんの歌がSCREEN modeの両輪ですからね。

「そうですね。僕はB'zが好きなんですけど、この前〈B'zが稲葉(浩志)さんの地元(岡山県津山市)でライヴをやった〉というニュースをネットで見ていたら、デビュー当時のツアー・パンフレットに〈歌とギターだけは、コンピューターが発達しても再現できない。人間にしかできない最小単位(の楽器)で構成されているのがB'zだ〉みたいなことが書いてあったらしくて。そのときに〈俺たちもそうだな〉と思ったんですよね。あと、ドラムやベースがいるバンドだったら“MYSTERIUM”みたいな曲はできないと思うんですよ。この曲のドラムは人力では叩けないようなフレーズなので。そういう音楽的なトライができるのも、自分たちの特徴でしょうね」

――しかも“MYSTERIUM”はクラシックを思わせるような、非常に複雑な構成になっていて。編曲は雅友さん、キーボーディストのEFFYさんの連名ですね。

「もともと僕は楽曲のゴールを見据えて制作に入るタイプで、デモの段階で曲のイメージが固まったら、あとはゴールをめざして積み上げていくだけなんです。ただ、今回の曲に関しては、EFFYと楽曲データのやり取りをしているうちに、当初は思ってもみなかったところに着地した感じがあって。EFFYはずっとライヴのサポートをしてくれているんですが、彼と一緒にやっていなかったら“MYSTERIUM”はいまの形になっていなかった。だから編曲のクレジットを連名にしたんです。求めるサウンドを実現するためには、自分ひとりでアレンジして迷路に入り込んでしまうよりも、外部に発注したほうがいいというのが僕の考え。その割り切り方も僕の特徴かもしれないですね」

――あくまでも楽曲のクォリティーを上げることが大事と。

「はい。僕自身は基本的にメロディーメイカーという自覚があって、新しいアレンジの手法に関しては、ある程度若いクリエイターに任せたほうがいいと思ってるんです。あとは〈歌〉ですよね。ヴァイオリン、サックス、トランペットなど、リードを取れる楽器はいろいろありますが、ヴォーカルは特別だと思うんですよ。例えば電話の声を聞くだけで〈ちょっと元気がないな〉とか〈調子良さそうだな〉ってわかるじゃないですか。歌い方、音程の動かし方によって、細部まで表現できる声という楽器は、僕にとっていちばん尊いものなんです」

 

無限の高みをめざして

――SCREEN modeがスタートして4年になりますが、勇-YOU-というヴォーカリストに対しては、どんな印象を持っていますか?

「すべてのクリエイターには、技術力と自分を解放する能力が求められると思ってるんですけど、勇-YOU-はそのバランスが取れるようになってきたんじゃないかな。以前はもっと極端で、〈上手く歌おう〉と意識的に歌ってしまうときと、逆に感情に任せるままの表現に振り切ってしまうときがあったんですが、いまはその二つを上手く使い分けることができるようになってきて、良いヴォーカリストになったと思います」

――“MYSTERIUM”の作詞は、アニソンやアイドルなどの楽曲で優れた作品を発表し続けている畑亜貴さんですが、今回はどんなやり取りがあったんですか?

「畑さんは以前から〈SCREEN modeに歌詞を書きたい〉と言ってくれていて、今回ようやく実現したという感じです。畑さんは『バチカン奇跡調査官』の原作をすでに読んでいて、〈資料は要らない〉って言われたから、歌詞に関してはノー発注ですね(笑)。畑さんとはもともと交流があって、SCREEN modeが置かれている状況もわかってくれていて。この歌詞を見ると、もちろん作品のストーリーにも寄り添っているんですが、僕たちに対する手紙のようにも感じられるんですよ。本当に素晴らしい歌詞だし、こういう歌詞が世の中にはもっと必要だなとも思います。阿久悠さんの本を読むと、世相や社会のこと、そのなかでの歌い手の役割をすごく考えたうえで歌詞を書かれているんですよ。“MYSTERIUM”の歌詞からも同じことを感じたし、アーティストと作詞家の関係は、本来こうあるべきだなと」

──2曲目の“無限と零”はまさに〈歌とギター〉を中心に据えたロック・バラード。歌詞は畑さんと勇-YOU-さんの共作ですね。

「“MYSTERIUM”がダークな雰囲気の曲ということもあって、畑さんが〈カップリングでは聖なる勇-YOU-くんが見たい〉と言ってくれて。こちらの歌詞もすごく良いんですよ。〈∞に憧れ/遠くに 手を伸ばしていた〉〈届く筈などないと知ってても〉っていう……。特に勇-YOU-は子役としてこの世界に入って、歌だけじゃなくて、役者、声優としても活動しながら、まさに無限とも言える高みをめざしていると思うんです。僕も作曲家として高みをめざしているわけですが、届くはずがないとわかっていても、めざさずにはいられないんですよね。この歌詞にはそういうことも含まれているし、勇-YOU-が歌うことで深みが増すんですよ。いまの林勇にしか歌えない歌だと思います」

――まのSCREEN modeがめざしている場所はどこなんですか?

「しっかりしたエンターテインメントを供給したいという目的地はあるんですが、どういう道筋、どういうスタイルでそこに向かうかを提示できてない気がしていて。自分たちのやり方を見つけられるように模索していきたいです」

 

SCREEN modeの作品。

 

太田雅友が参加した近作を紹介。

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