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ハイム『Something To Tell You』 ブレイク後の戸惑いも曝け出しながら、持ち前の美麗なコーラスを存分に披露した3姉妹の第二章

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  • 2017.08.16
ハイム『Something To Tell You』 ブレイク後の戸惑いも曝け出しながら、持ち前の美麗なコーラスを存分に披露した3姉妹の第二章

What Haim Is it?
2013年にアルバム・デビューを飾るや、その直後からひっきりなしに客演オファーが舞い込むなど、スターダムを駆け上がったハイム。突然の成功に戸惑いつつ、それでも3姉妹は自分たちの個性を見失うことなく、着実に次の一歩を踏み出した!

HAIM Something To Tell You Polydor/ユニバーサル(2017)

ファンの期待に120%応える堅実なセカンド・ステップ

 アルバム・チャートNo.1を記録したUK、6位と大健闘した本国USのみならず、世界各国で支持を集めたデビュー作『Days Are Gone』からの約4年間、ハイムは順風満帆だった。グラミーへのノミネートに加え、メジャー・レイザーやカルヴィン・ハリスをはじめとする膨大な客演仕事、そしてテイラー・スウィフトのツアー・サポートを通じ、3姉妹は新時代のポップスターという立ち位置をより明確に示したように思う。と同時に、求められるものが大きくなったことにプレッシャーも感じていたらしく、何事にも物怖じしなかった彼女たちがこのたびのセカンド・アルバム『Something To Tell You』では、メランコリックなバラード“Night So Long”など、少しだけ弱気な面も披露していて興味深い。もっとも、前作で打ち出した魅力――フリートウッド・マックからTLC、そして今作にも曲作りに関与したブラッド・オレンジことデヴ・ハインズまで、幅広いリスナー層を刺激するサウンド・プロダクションと、躍動する3人のハーモニー――をさらに深化させた楽曲群は、ファンの期待に120%応えるもの。前作を手掛け、次女ダニエルの恋人でもあるプロデューサーのアリエル・リヒトシェイドが、変化よりも彼女たちの個性を大事した結果なのだろう。堅実な作りにとても好感が持てる。 *山口智男

 

越境性に磨きを掛けつつ、メロウでダークな新しい表情も!

 ハイムの曲を聴くと、それがロックなのか何なのか、オルタナなのかメインストリームなのかと論じることがバカらしくなってくる。そういう越境性に磨きを掛けると共に、果敢に実験を行って、彼女たちは手堅いセカンド・アルバム『Something To Tell You』を作り上げた。コラボ相手にしても、引き続き全面的に関わるアリエル・リヒトシェイドにロスタム・バトマングリにデヴ・ハインズに……と、クロスオーヴァーの達人たちを起用。70年代のUS西海岸ロック×90年代のR&B×先端の極上プロダクションという基本形を維持しつつ、オーウェン・パレットらによるストリングス、ホーン、スラップ・ベースなどなど、技アリな音を散りばめ、作り込み度を格段にアップさせている。なのに、重さを感じさせないバランス感の妙に驚嘆せずにいられないが、主役はやっぱり3人の阿吽のバンド・アンサンブルであり、声のハーモニーであり、曲に現れる強烈なキャラだ。しかも、すべてが原色で塗られていたかのような前作『Days Are Gone』から一転、メロウでダークな表情を随所で覗かせて、ラヴとハートブレイクの物語をより細い筆で繊細に描写。なかでもとびきり切ない、深いリヴァーブに包まれたフィナーレを迎える頃には、早くも次章への期待を抱かせる。 *新谷洋子

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