INTERVIEW

松たか子 『明日はどこから』 デビュー20周年に放つ、「わろてんか」や「カルテット」の主題歌含む8年ぶりアルバム

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  • 2017.12.06
松たか子 『明日はどこから』 デビュー20周年に放つ、「わろてんか」や「カルテット」の主題歌含む8年ぶりアルバム

松たか子にとって、前作『Time for music』以来、8年ぶりの新作となる『明日はどこから』が完成した。そして今回も、前作同様、彼女に〈音楽のための時間〉が訪れたからこそのリリ-スだ。NHK連続テレビ小説「わろてんか」主題歌(表題曲)はもちろん、ドラマ「カルテット」で話題となった“おとなの掟”、映画「嘘を愛する女」主題歌など、聴きどころ満載だ。

 

実は今年、松たか子は『明日、春が来たら』でデビュー以来、20周年にあたる。活動は多岐に渡る彼女だが、音楽に関していえば、メモリアルな年でもあるわけだ。

「それもあって、〈何か形に出来ればいいな〉、というのは思っていましたね。自分の曲も少しずつ溜まってはいたし、デビュー曲の作詞をして頂いた脚本家の坂元裕二さんにも、この機会に〈何かお願い出来たら〉って話してたんですけどね」

有言実行され、映画「嘘を愛する女」(1月20日公開)の主題歌『つなぐもの』が生まれた(作詞は坂元、曲は彼女が担当)。さらに坂元といえば、TBS系 火曜ドラマ「カルテット」の脚本も手がけたが、その主題歌、椎名林檎作の“おとなの掟”が収録されたのも、このアルバムの話題のひとつだろう。

「ドラマのなかでは〈Doughnuts Hole〉という番組内のユニット(松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平)で歌ったのですが、今回、私のソロ・ヴァージョンもMaki Maki(役名の巻真紀にひっかけたもの)の名前で録音したんです(ボ-ナス・トラックとして収録)。でもこの曲に関しては、椎名林檎さんに優しく厳しく引っ張って頂きましたね。彼女の世界に巻き込まれていくというか、むしろそのことが、楽しくもありました」

ここはぜひ、聞き比べてみるのも一興だろう。すると、歌詞の意味合いも、少し違って聞こえるのが不思議でもある。 そしてもちろん、NHK連続テレビ小説「わろてんか」主題歌の“明日はどこから”にも注目だ。彼女の作詞・作曲だが、そもそも〈明日〉という言葉に込めた想いは何だったのだろうか。

「実は最初、吉本の創業者の話だと伺った時、笑いの裏には様々な苦労もあったのだろうと思って、〈涙はどこから〉というタイトルを思いつきました。でも、さすがに「わろてんか」の主題歌に涙はどうなのでしょう…、ということになり、それに代わる言葉ということで明日にしました。でもそれは、何処からでもやってくるものなんだと思うんです。特に自分の子供なんかを見ていると、ほんと、そう思いますね。今日は疲れたから明日はお休み、なんてことないわけで、人生は止まることなどなく、日々の積み重ねが未来へと繋がっていくわけですから…」

ポップ・ソングの本質を理解したアレンジは、佐橋佳幸によるもので、アルバム全体のプロデュースも彼である。彼女の自作曲以外では、ザ・コレクターズの加藤ひさし、キンモクセイの伊藤俊吾、さらに大貫妙子などが、この作品のために書き下ろした提供曲も光っている。細野晴臣のカバーである“三時の子守唄”も、出色の出来映えとなった。

“明日はどこから”は、松たか子のボーカリストとしての幅広さを示すものでもある。囁くように歌う“おとなの掟”と、ロックのシャウトが要求される“恋のサークルアラウンド”では、まったくタイプが違うが、彼女が歌うと、まさに彼女の色になった。大貫妙子作の“空とぶペンギン”も、〈囚われずに、好きに歌っていい〉という大貫のアドバイスもあり、作者の個性を感じつつも、松たか子ならではの景色が浮かぶ仕上がりだ。

「中には〈私に歌い切ることができるのかな?〉、という作品もありましたが、直接、ご指導を頂いたり、バンドの演奏にも助けられ、アルバムを完成することが出来ました。でも先輩達が書いてくださった曲というのは、歌やメロディに〈時間の経過〉があるというか、だからグッとくるんでしょうね。今回、そうした作品も歌うことが出来て、本当に幸せでしたね」

さらにこのアルバムを聴いていると、彼女のステージが観たくもなる。特に“奇跡のオト”という作品は、曲のテーマからして、そうなのである。

「前回のツアーの時、最後にステージで新曲を演奏出来たらいいなぁ、そんな話をしつつ作ってみた曲だったんですよ。でもその時点では、まだ歌詞が完全じゃなかった。それを今回、仕上げてレコ-ディングしました。でもまさに、ツアーの時の、心境そのものをを描いたものなんです。これまでの私にはなかったタイプの曲でもあり、それがやっと、形になりました」

となれば近い将来…、ということも期待してしまう。

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