INTERVIEW

大橋トリオ 『STEREO』 〈ダンス〉というテーマを超え、より自由に〈新しさ〉を求めて

大橋トリオ 『STEREO』 〈ダンス〉というテーマを超え、より自由に〈新しさ〉を求めて

刺激と美しさの新境地へ。作曲やアレンジはもちろん、レコーディングの際の演奏まで、ほとんどを自らこなすマルチプレイヤーとして、活動10周年を迎え、新たな歩みを踏みだした大橋トリオ。オリジナルフルアルバム『STEREO』を遂にリリース。

 

美しくも刺激的。昨年、活動10周年を迎えた大橋トリオのニューアルバム『STEREO』はまさにそう形容したくなる一枚だ。CMでもおなじみの“SHE”、デジタルシングル曲“鳥のように”(TBS系テレビ「世界遺産」テーマ曲)など、今作にも収録されている既発ナンバーを作り終えた辺りから、彼の頭にあったアルバムのテーマは、〈ダンス〉。

「クラジカルなダンスとかジャジーなものはもういいかなと思ってたので、しっかりビートが決まってるもの……つまり、四つ打ちを意識しながらなんとかやれないかなと思って、アルバムを作り始めたんです」

もともと音楽大学のジャズコースで学んだこともあり、スウィンギングなダンスナンバーなどは彼の得意分野。だからこそ、その対極とも言えるビート感のあるダンスを追求することで、ループするギターリフと軽快なビートが刺激的な“VENUS”のようなポップ曲が誕生。E-girlsメンバーの楓と大橋トリオの共演がスタイリッシュなMVも注目の1曲である。

「“VENUS”という曲名がつく前に、この曲のキーワードとしてスタッフの中で共有してたのが、〈ポリス〉。ポリスと言えば、ドラムが軽くて、だけどグルーヴィーっていうイメージというか。ただ、アプローチはポリスだとしても、それを自分の作品に落とし込む自信があったからあえてそんな風に言ってたわけなんですけど、ミックスでだいぶ、がつっとした仕上がりになりましたね」

大橋氏がそう語るように、歌声やギターが絶妙に歪むダンサブルな“VENUS”は、グラミー賞受賞作品も手がける英国の著名エンジニア、ダン・パリーがミックス。それ以外も、いわゆる四つ打ちを軸に進む曲が印象的だが、四つ打ちとは言え、あくまでもそれは刺激的なスパイス。どの曲にも大橋トリオらしいノーブルさはしっかりと貫かれている。

「“VENUS”もそうですし、布袋寅泰さんがギターで参加してくださった“Embark”とか“双子の約束”とか、言ってしまえば“鳥のように”もダンスの一環だと思うんです」

当初はそのまま〈ダンス〉をテーマに制作を進める予定だったが、限られた時間内でアルバム全体の統一感を取ることの難しさもあり、結果、〈ダンス〉の枠を超え、より自由に〈新しさ〉を求めて制作。ツアーメンバーでもあるギタリスト、THE CHARM PARKが作詞したタイトル曲“ STEREO”、「自分の中での新しいアプローチ」と語る、ピアノとギターが悲しいほど美しく折り重なる“birth”のような楽曲が次々と生まれた。

「“birth”では今後の自分のイメージというものが作れたというか。最初は、大丈夫かなってちょっと思ってたんですけどね(笑)。“STEREO”の歌詞は英語詞の曲なんで、チャームくん(THE CHARM PARK)が仮歌を入れてくれたんです。そしたら、〈間奏のところにギターを入れたくなっちゃったんですけど〉って、“STEREO”の後半に入ってくるギターソロ入りの仮歌音源が送られてきたんです。予期せぬものだったけど、すごくいいものだったのでそのまま採用しました」

大橋氏がマルチプレイヤーということもあり、基本的にほぼすべての楽器は大橋トリオ自身が演奏している。だが今作は先述の通り、“Embark”に布袋寅泰がギターで参加している他、さらに、「ドラムだけは音源ではなく絶対生じゃなきゃいけない」という大橋トリオ流のポリシーから、長年のツアーメンバーでもあるドラムの神谷洵平が、今作でも“VENUS”などの数曲で演奏している。

「ギターに関しては、本来はチャームくんが弾く必要はないんですけど、〈こんなギター入れたらどうですか?〉って、自主的に工夫してくれる人って僕、すごく好きなんですよ。神谷くんもそういうタイプなんですけど、愛だなっていうか(笑)。気づいたら今のツアーメンバーってみんなそういう感じなんです。だから鍵盤以外は、“SHE”と“鳥のように”もツアーメンバーで録ったものなんです」

Blu-ray/DVD付き商品には、そんなツアーメンバーと共に東京国際フォーラムで開催した、10周年記念公演の映像が収められており、当日のスペシャルゲスト、持田香織(Every Little Thing)や、それまで見たこともなかった大橋トリオが目撃出来た布袋寅泰とのギター競演も収録。10周年を経て、最高のメンバーと共に新たな境地を歌い奏でる大橋トリオの軌跡と今が堪能出来る逸品となっている。