「北欧のジャズ」という言葉があやふやになる昨今、感性という意味で100%ピッタリくる作品だ。1970年代初頭ECMの登場によって、“響き、空気、音の色彩”が語られるようになり、黒人たちのジャズと異なる“ジャズ”が広がった。しかし、ミュージシャンたちのグローバル化やツールの進歩によって、地域の個性は薄められた一面もあった。しかし、ハーヴィスト・トリオの音には頑固な個性が結実している。一騎当千の音楽素養を持った三人が奏でる音の色彩感は、「バルト海の乙女」と謳われる国土を想起させる。ムーミン、マリメッコといったキャラを思い浮かべるとマイナー調が多い演奏も明るく聴こえてくる。