INTERVIEW

脇田もなり『AHEAD!』 よりエモーショナルに前進したニュー・アルバムで彼女が歌いたかったこと

脇田もなり『AHEAD!』 よりエモーショナルに前進したニュー・アルバムで彼女が歌いたかったこと

天真爛漫で情熱的なこの夏のポップ・スタンダード

 脇田もなりには〈赤〉が似合う。白を基調とした最新のヴィジュアルを前にして言うのもなんだけれど、彼女自身も好んでいる色みたいだし、なんてったってグループで活動している頃に〈ヤンチャなファンキー・ヴォイス〉と呼ばれたぐらい、天真爛漫で情熱的……とくれば、赤。そんな彼女が、ソロ始動からちょうど1年を迎えた昨年秋よりバンド・セットでのライヴを始めたのだが、これが彼女の中の〈赤〉をさらに燃え上がらせた。バンド・セットでやるアイドルは昨今珍しくはないが、ラブアンリミテッドしまだん(Healthy Dynamite Club)をバンマスに、同世代のメンバーで構成されたバンドとの相性は格別で、元気ハツラツとした彼女に会えるのがそれまで以上に楽しみになった。

 「バンドは本当に楽しいです! 直にグルーヴがくるのでめっちゃノレるし、勝手に身体が動きます。DJセットでのライヴも楽しいですけど、やはりバンドはいつも以上にテンションが上がりますね(ニッコリ)」。

脇田もなり AHEAD! HIGH CONTRAST/ヴィヴィド(2018)

 そして今年もやってきた彼女の夏。ファースト・アルバム『I am ONLY』から1年ぶりに届いたニュー・アルバム『AHEAD!』は〈より前に、より先に〉を意味するタイトルからも窺えるように、ハイなテンションに裏付けられた充実のライヴ活動がまさに実を結んだと言える出来映え。

 「『I am ONLY』を聴いた後に今回のアルバムをじっくり聴くと、いやあ、成長したなって(笑)。ファーストはアッパーな曲も多くて、ライヴで盛り上げるぞ!って感じのものが多かったんですけど、今回は大人っぽい雰囲気の曲が多くて、自分でも大人っぽさを意識して歌いました。自分自身から出てくる言葉をしっかりと歌うことができたんじゃないかなっていう充実感もあって……例えば1曲目の“Callin' You”とかは、詞を書いてくださった前園直樹さんに〈こういうことを伝えたいんです!〉って直接お話をしたんですけど、そこで前園さんが〈閃いた!〉って、次の日には出来上がってきた詞で。私の気持ちもしっかり入ってるし、かつ前園さんの世界観も出ているし。同じく冗談伯爵の新井俊也さんとも長く制作を一緒にさせてもらっているので、私のイイ音域とかもわかってくださってて、そこを軸に違う音域のレパートリーにも挑ませてもらったり……愛を感じましたね(笑)」。

 夏めいた陽気なポップ・チューンとなった“Callin' You”、ライト・メロウな“愛のデカダンス”、サンバ・テイストの艶っぽいナンバー“遊星からのアイラビュー oh! oh!”、そしてシングルとして発表済みのラテン・ファンク“WINGSCAPE”、アーバン・フィーリングの“TAKE IT LUCKY!!!!”、ニュー・ジャック・スウィング“PEPPERMINT RAINBOW”といった新井曲のほか、ラブアンリミテッドしまだんによる“Dear”……。

 「いまは違う道を進んでいる友達とも、久しぶりに会えたら〈あの時は楽しかったね〉とか〈いまはどんな夢を追いかけてるの?〉っておしゃべりをして……そういうことが日々楽しんで生きていける力になるみたいな。私の中から出てくる言葉だけでできた初めての詞です」。

 さらに、マイクロスター作のポップ・バラード“走る僕”、Illicit TsuboiとYUI(バクバクドキン)によるアンニュイな逸品“LEMON”、赤丸急上昇中のファンキー・フェロー、shunské G & The Peasによるソウル・バラード“青の夢”など、冗談伯爵の2人を中心に、作家陣は初作から引き続いての顔ぶれがほとんどだが、お互いをわかり合ったうえでのより濃密なコラボレーションを展開。どこをとっても真新しさを感じさせてくれる。そして、ブラコン風情の“Gozigen Lover-Joi”、アコースティック・フィーリングのR&B“CUTi-BiL”では、MISIAら数々のプロデュース・ワークで知られる佐々木潤と初の手合わせ。

 「佐々木潤さんが作られたMISIAさんの“陽のあたる場所”は、歌をはじめた頃にボイトレでよく練習してたんです。ライヴでもカヴァーしましたしね。まさかその曲を作ってくださった方に2曲もいただけるとは!……です。“CUTi-BiL”の歌詞は、ひふみかおりさんが亡くなられる前に書かれていたもので、佐々木さんも思い入れのある曲、すごく大事な曲だって言われてたので、レコーディングでは泣きそうになるぐらい昂ぶって……完成したときに泣きました」。

 前作よりも〈横揺れ〉成分の高いサウンド観で、ある意味〈夏向け〉な様子も窺わせる『AHEAD!』。「私がやってみたいと思っていた音のイメージを全部伝えて、作家さんそれぞれがやりたいものもミックスされて……絶妙なバランスで出来上がったアルバム。すごくイイです!」と自画自賛も躊躇ないこのアルバムに季節を限定してしまうのも乱暴な話だが、何年経っても夏になると聴きたくなるアルバムともなれば、それもひとつのスタンダード。そんな予感もあながち的外れじゃなさそうなこのアルバムを、まずはこの夏存分に楽しみたい。

『AHEAD!』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

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