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【特集:ZOKKON OF THE YEAR 18→19】人間味を抉るWACKのドキュメンタリー映画「世界でいちばん悲しいオーディション」

【特集:ZOKKON OF THE YEAR 18→19】人間味を抉るWACKのドキュメンタリー映画「世界でいちばん悲しいオーディション」

WACKオーディションがまたまた劇場公開——悲しいのは誰ですか?

 世間的な動きも巻き込みながら余念のない話題作りによってシーンに動きを与えているWACK。その恒例行事となっている合宿式オーディション審査の模様がまたも映画になった。これまで製作された「劇場版 アイドルキャノンボール2017」などは撮影サイドのゲーム性を軸にした作品だったが、このたび公開された「世界でいちばん悲しいオーディション」は、俯瞰した視点でオーディションそのものの様子を捉えた直球のドキュメンタリー作品になっている。

 監督は「遭難フリーター」「モッシュピット」など数々のドキュメンタリーやMV仕事でも知られ、以前のWACK映画でも撮影者/プレイヤーとして奮闘してきた岩淵弘樹。彼はただ傍観者であるかのように、状況の変化に応じて変わる候補者たちの発言や振る舞いを撮影し続ける。キャッチに〈少女達が傷つきながら夢をみて駆け抜けた1週間!〉とあるように、合宿フォーマットの体裁は「ASAYAN」ながら、映画自体が描くのは往年のAKB映画の残酷さにも近いかもしれない。

 作中では〈変わりたい自分〉〈ありのままの自分〉のような言葉が多用されるが、カメラが回れば〈虚勢を張る自分〉〈自分に酔う自分〉が姿を現し、誰もが無意識に〈候補者〉〈落選者〉などの役割を自分自身に与えていくことになる。その、取り繕えない無様な人間味を浮き彫りにしてしまう様こそが、この種のドキュメンタリーのいちばんおもしろい部分だろう。特に無惨な〈死体〉を映す監督の視線はクールで、そこにグッとくるし、悲しい。ともかく、その意味で今回いちばん意識的に自身の役割を全うしているのが〈オーディション主催者〉であることは、本編を観ればすぐにわかるはずだ。もちろん、候補者や現役アイドルたちの舞台裏を愛でるために観たままを楽しむのもアリだが。

 


「世界でいちばん悲しいオーディション」
監督/岩淵弘樹
プロデューサー/渡辺淳之介
撮影/バクシーシ山下、西光祐輔、白鳥勇輝、エリザベス宮地
出演/オーディション参加者、モモコグミカンパニー(BiSH)、パン・ルナリーフィ(BiS)、ペリ・ウブ(BiS)、キャン・GP・マイカ(GANG PARADE)、BiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiRE 他
製作/WACK INC.
配給/松竹メディア事業部
全国順次公開中 詳細は〈www.sekakana-movie.jp

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