今ブルーグラスを語るならパンチ・ブラザーズと周辺の活躍に注目するのは当然ながら、かつてヤンダー・マウンテン・ストリング・バンドなどでブルーグラスの面白さを知った身としては彼らの様なジャム・グラスの音も捨て難い。昨年のフジロックでまさかの初来日、務めたフィールド・オブ・ヘヴンでオオトリの熱狂冷めやらぬうちに届いた約3年ぶりの新作は諧謔精神溢れる意匠に、3~5分の現代的センスとソングライティング力の高さが光る良曲を並べ、歌心で魅せる。もちろん要所要所でスパークするグラスの超絶技巧は思わず声を上げる程素晴らしく彼らのライヴバンドとしての矜持と作品への拘りが現れている。