INTERVIEW

指揮者・湯浅卓雄が語る、玉置浩二とオーケストラの宿命的な出会い 〈billboard classics 玉置浩二 PREMIUM SYMPHONIC CONERT 2019〉

指揮者・湯浅卓雄が語る、玉置浩二とオーケストラの宿命的な出会い 〈billboard classics 玉置浩二 PREMIUM SYMPHONIC CONERT 2019〉

湯浅卓雄〈指揮者〉が語る、玉置浩二〈歌手〉とオーケストラの宿命的な出会い

 玉置浩二ほど、同業者から畏敬の念を抱かれている歌手はそう多くないだろう。山下達郎からいきものがかりまで、世代を問わず称賛され、J-Popに計り知れない影響を与えた真に偉大なミュージシャンなのだ。そんな玉置は2015年からオーケストラとの共演に力を注ぐ。その反響はすさまじく、今年3~4月の公演は全国8公演すべて完売。会場では正真正銘、スタンディングオベーションの嵐が巻き起こっているのだ。日本一と称される圧倒的な歌唱力に加え、コンサートホールだからこそ堪能できる玉置の繊細な表現は至福そのもの。

 そして、この公演は共演する指揮者にとっても特別なものなのだと語ってくれたのは巨匠、湯浅卓雄だ。「歌と踊りこそ、音楽の原点」と語る湯浅だが、J-Popの歌手との共演は玉置が初。その歌唱力に魅せられ、共演を決意したという。

 「最初お話をいただいた時はスケジュールが合わなかったんですよ。そもそも僕は主に海外で活動していたので、玉置さんのお名前しか存じ上げなかったんですが、彼がオケと共演した映像を拝見したら、素晴らしい歌をうたわれていらっしゃって。次にお話をいただいた際にお引き受けしました」

 やるならば、玉置とオケ、双方の良さを発揮できなければ意味がない。そのために湯浅は、リハーサルでどう音楽づくりを進めたのか。

 「玉置さんは歌を自由にうたわれ、表現は非常にしなやかですよね。そこに硬派なオケが、如何にしなやかに対応するのか。その部分に気を使っています。縦を合わせるというよりも、横のラインで盛り上がりを作っていくんです」

 その結果、鳴り響いたのは、これまでに聴いたことのない新鮮な音楽だった。

 「ジャンルこそ違えど玉置さんが感動的な歌をうたってくださり、オケも良いところを聴かせられる――これは新しいジャンルになってるんじゃないかなって気がしますね」「玉置さんにとっても、オケとやることで新しいフィーリングのようなものを感じられてるんじゃないでしょうか。低音から鳴る倍音や、減衰しない弦楽器の響きに乗っかれる気持ちの良さ。そこから、普段の玉置さんとは別の魅力が引き出せるんじゃないかと。私にとっても楽しいですよ(笑)」

 この充実したオーケストラ・サウンドを支えているのが、テレビや映画の音楽でお馴染みの作曲家、山下康介を中心とするアレンジャー陣だ。

 「私なりの言い方でいえば、無駄のない〈風通しの良いスコア〉ですね。玉置さんがブレスをする間、アレンジャーの方々の発想でオケがふわっと出てくるところに非常に美しい瞬間が多いですし、オケならではの分厚いフォルテッシモが味わえる巧みな編曲です」

 こうした見事な編曲のなかでも、とりわけ公演を盛り上げていたのは97年の6thアルバムのタイトル・チューン“JUNK LAND”である。

 「それまではスローでリリカルな曲が多かったんですけど、“JUNK LAND”で早めのテンポになって、オケでもヴィオラがノリの良いフレーズを繰り返しながら、玉置さんとギブ・アンド・テイクしながら歌いやすいテンポをつくっていくんです」

 どちらかが合わせるのではなく、互いを高め合う最上の関係を発揮できていることが、湯浅の言葉から伝わってくる。もちろん他にも、バンド安全地帯での代表曲である“ワインレッドの心”や、ソロのヒット曲“行かないで”など、玉置のこれまで手がけてきた数々の名曲が、新鮮に生まれ変わっていくのだから、ファンならずともたまらない。玉置自身「音楽の宿命的出会い」と語っているのは決して大袈裟ではないのだ。

 本編ラストを飾ったのは、井上陽水と安全地帯が共演した名曲“夏の終りのハーモニー”。ここまでファルセット(裏声)やスキャットなども駆使した多様な歌唱で、観客を魅了してきた玉置だが、なんと最後にはコンサートホールに生声を響かせた。

 「聴衆にとって突然マイクを使わないで生声になるのは、感動的な衝撃になりますよね」

 湯浅がそう語るように、ボリュームは下がってしまうが、心にはより深く沁み込んでくる。このシリーズの最も感動的な瞬間だ。そしてアンコールでは、皆さまご存知の玉置にとって最大のヒット曲“田園”が登場。この曲には仕掛けが施されており、なんとベートーヴェンの交響曲第6番「田園」とミックスされるのだ!

 「クラシックの音楽家は皆、ベートーヴェンをやる時には気を引き締めるのですが、行き着く先がいつもとは違うんです(笑)。これは編曲者のクレバーなアイデアですし、玉置さんがオケと共演するひとつのシンボルですね」

 次回ツアーは6~7月に迫っているが、湯浅の心意気は十分。

 「“JUNK LAND”のようなギブ・アンド・テイクを玉置さんとその都度やることで、毎回活き活きとした音楽を届けたいです。楽しみにしていてください」

 完売必至の公演だけに、チケット発売日を忘れずチェックしておいてほしい。

 

PHOTO:2019 年3 月22 日 Bunkamura オーチャードホール 東京フィルハーモニー交響楽団(指揮:湯浅卓雄)フォトスタジオアライ 豊嶋良仁


Live Information
玉置浩二 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2019
THE EURASIAN RENAISSANCE “ромашка”

6月24日(月)福岡・博多 福岡サンパレス
6月26日(水)大阪 フェスティバルホール
6月27日(木)大阪 フェスティバルホール
6月29日(土)埼玉 大宮ソニックシティ
7月4日(木)北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
7月8日(月)東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
7月12日(金)東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
7月13日(土)神奈川・横浜 神奈川県民ホール大ホール
7月15日(月・祝)愛知・名古屋 愛知県芸術劇場大ホール
チケット:12,000円(税込/全席指定)       
※特製プログラム付
※未就学児入場不可
一般販売:5月18日(土)10:00~
http://billboard-cc.com/classics/tamaki2019-romashka/

 


湯浅 卓雄
Takuo Yuasa (Conductor)
現代作品を含む幅広いレパートリーで国際的な活躍を続ける湯浅卓雄は、大阪に生まれ、アメリカ、オーストリアで研鑽を積んだ。これまでに群馬交響楽団指揮者、BBCスコットランド交響楽団首席客演指揮者、英国・アルスター管弦楽団首席客演指揮者を歴任。世界有数の流通量を誇る〈ナクソス〉と専属契約を結び次々とCDを発表している。

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