5月10日に発表された新曲“Elevator Girl”は、ほんの少し大人の声になったSU-METALが聴ける。コンサートではすでに聴いていた曲だが、最近リリースされたCD未収録の新曲――2018年5月の“Distortion”、2018年10月の“Starlight”との3曲の中では、 “Starlight”が大きくインパクトがあったので、こちらの曲は個人的には二の次の印象になってしまっていた。そんな時にシングルとして発表されたので、じっくり聴き、向き合うことができて、ファンとしてはありがたい。“Starlight”の印象が強くなってしまっていたのは、大会場で光線が伸びるステージ演出とSU-METALのロングトーンの合体があまりにも神々しく、自己表現のコンサートというよりはいよいよ巫女のような、何か捧げもののような、われわれの手を離れた何かになっていたような実感があったからだ。

“Elevator Girl”は、最初にまず1つだけ、どうしても不満に思うことがある。短い。2分45秒しかない。かといって、これが長かったらいいのかというと、そうでもない。曲を構成するパーツは、少ない。しかし、〈Hey Lady〜〉から始まるメロディーは、3つの違うパターンの上で歌われることでそれぞれ違う表情を見せたり、少ないパーツと時間で最大に効果を見せたりと、短距離走のようだ。歌本編が始まるAメロでは、歌は少しのブルーノートやピッチの揺らぎのある歌唱、ギターを退かせ、ベースラインとピアノで、シンプルなものをクールに、若干のアダルトさも感じさせつつ聴かせる。一転して、Bメロ〈上へ参ります〜〉はいつものSU-METALの突き抜けるような真っ直ぐな歌へ。マイナーと見せかけてメジャーへ、メジャーと見せかけてマイナーに戻りと行ったり来たりするのも、ヘヴィーさと身軽さを自由に行き来するBABYMETALサウンドの面目躍如である(若干のツンデレも感じる)。この、ヘヴィーさと身軽さ、マイナーとメジャーを行ったり来たりするのも、〈Elevator〉に引っ掛けているのだろうか。深読みしすぎか。

歌詞を聴けば、いつものBABYMETALでホッとする。〈上へ参ります〉〈閉まるドアにお気をつけください〉。こんなヘヴィーなサウンドに乗せる言葉ではない。

ファンとしては、〈曲が短い〉とか〈早くアルバムが聴きたい〉とか〈もっとMOAMETALの声を〉とかいろいろ思いつつ、与えられたものに納得しなければならない。BABYMETALファンは、ひたすら与えられるものを待つ、修行みたいなものだ。

“Starlight”は、ほぼドレミファソだけで出来ているメロディーを、まっすぐに突き抜けるロングトーンで正面突破した一曲だった。一方で“Elevator Girl”は、少しのパーツかつ短時間でBABYMETALの魅力を凝縮した一曲だ。ここら辺で、“THE ONE”や“紅月 -アカツキ-”のような、手の込んだ大曲も聴きたいところだ。

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