INTERVIEW

EASTOKLABが心機一転の環境で完成させたセルフ・タイトル作。そのなかに広がる美しい陰影の背景をフロントマンの日置が語る

EASTOKLABが心機一転の環境で完成させたセルフ・タイトル作。そのなかに広がる美しい陰影の背景をフロントマンの日置が語る

 名古屋を拠点に活動する4人組、EASTOKLABが初のミニ・アルバム『EASTOKLAB』を完成させた。The Skateboard Kidsからの改名、メンバー・チェンジを経て、下北沢の名門レーベル〈DAIZAWA RECORDS〉からのリリースとなる。

 「前のレーベルから離れるにあたって、一回リセットしようと思ってバンド名を変えたんです。そんななか、今の担当の方からリリースしたいとメールが来て、〈DAIZAWAじゃん!〉ってなりました。THE NOVEMBERSがすごく好きで、名古屋でワンマンがあったらほぼ欠かさず観に行ってたんですけど、メールをくれたのがTHE NOVEMBERSを担当されていた方で、〈大変なことが起きたぞ〉って。音楽に集中できる環境がまたもらえたのは、自分にとってすごく大きなことでした」(日置逸人:以下同)。

 シューゲイザー、ポスト・ロック、ドリーム・ポップなどからの影響を受けた美しい陰影を湛える彼らのサウンド。日本語で歌われるメロディーからは、確かなポップセンスも感じられる。フェイヴァリットにはディアハンターやブロンド・レッドヘッドの名前を挙げている通り、アート・ロックの系譜に連なるバンドだと言えよう。

 「自分たちの軸をちゃんと持ったまま、常に変わり続け、チャレンジし続けるバンドが好きですし、バンドはそうあるべきだと思います。あと自分は〈美しさ〉がすごく大事だと思っていて、それもただのきれいな景色とかではなく、何もないところに一輪の花が咲いているような、〈脆さ〉を含んだ美しさというか。そういう音楽は作り手の日常が反映されている気がして、自分もそういう作り方がフィットするんです」。

EASTOKLAB EASTOKLAB DAIZAWA(2019)

 エレクトロ・シューゲイザーな“In Boredom”を筆頭に、『EASTOKLAB』ではシンセ・ベースやドラム・パッドを導入し、立体的で広がりのある音像を展開。日置は個人でレコーディング・エンジニアとしても活動し、音の帯域を把握して楽器のアンサンブルを積み上げ、芸術性の高い楽曲を作り上げている。

 「ビートのなかにデジタルな音を混ぜたり、シンセ・ベースを使うことで、エレキ・ベースとは全然違うロウ感やアタックを出せたので、“In Boredom”が出来たときはメンバー全員興奮して、その後の曲作りの基盤になりました。今回の作品にはリリースが決まった嬉しさやメンバーが変わっての新鮮な気持ちから生まれた昂揚感が反映されてると思うんですけど、1曲目の“Fireworks”はファルセットをフィーチャーしつつ、全部の楽器がちゃんと(聴こえるように)鳴っていて、〈音が前に飛ぶ〉という感覚を大事にしました」。

 近年の傾向として、バンド内のプロデューサー的な存在がDTMでデモを作り込み、それをバンドで再現するという流れもあるが、日置はあえてデモを作り込まず、頭のなかにあるアイデアを口で伝えることで、メンバーの個性を尊重しているという。

 「演奏している人間の性格はプレイに出るし、出なきゃいけないと思うんです。これまでギターはリヴァーブとかディレイで曲に溶かしていく感じだったけど、“Tumble”は新しいギターの西尾(大祐)君ががっつりリフを弾いてて、ギターのカッコ良さに改めて気付かせてくれました。ドラムの田保(友規)君は僕が今まで出会ったなかで一番変な人なんですけど(笑)、真っ当な8ビートはほとんど叩かない。逆にベースの岡(大樹)君は優等生なベースを弾きつつ、自分のプライドやこだわりはちゃんとあって、要所で効果的なフレーズを入れてくる。メンバー4人の25%ずつをちゃんと楽曲に落とし込みたいと思っています」。

 日常のなかで起こる些細な、しかし特別な一瞬を楽曲として昇華することによって、永遠の美しさへと転換させるEASTOKLAB。日置が今作へ寄せた〈僕はずっと、この作品を作りながら、もっと高く、速く、自由に飛べそうな気がしていた〉というコメント通り、ここから大きく飛躍していくに違いない。

 


EASTOKLAB
日置逸人(ヴォーカル/シンセサイザー/ギター)、西尾大祐(ギター)、岡大樹(ベース/シンセサイザー)、田保友規(ドラムス)から成る4人組バンド。名古屋を拠点に活動。前身バンドから改名/ギタリストの交代を経て現体制となる。結成当初に発表したカセットテープはソールドアウト。Bandcampでは海外からの支持も受け、USのラジオでもオンエアされる。これまでにエヴァーソンズ、ラー・ラー、エルウィンズ、フラストレーション、ブライト・ライク・ザ・サン、VOOID、ライダー・ハヴデイルらのジャパン・ツアーにおけるオープニング・アクトへ抜擢。2枚の自主制作盤に続き、このたび、ファースト・ミニ・アルバム『EASTOKLAB』(DAIZAWA)を6月5日にリリース予定。

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