今世紀最高のピアニストのひとりと称されるマルタ・アルゲリッチの実の娘ステファニー・アルゲリッチが、素顔の母親に迫る映画「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」を作り上げた。ステファニーは監督を務め、自ら出演し、ナレーターも担当している。
映画は音楽ドキュメンタリーの形をとり、全編にアルゲリッチの日常が映し出され、ステファニーの父親であるピアニストのスティーヴン・コヴァセヴィッチも出演。さらにアルゲリッチの長女であり、中国人指揮者ロバート・チェンとの間に生まれたリダ・チェン(ヴィオラ奏者)と、指揮者シャルル・デュトワとの間に生まれた次女アニー・デュトワも登場し、映画は家族の確執や絆、各人の複雑な心境までをも浮き彫りにしていく。
「私の母は真のスターであり、聖なる怪物でもある。子ども時代から私はふつうの家庭とは異なる環境のなかで、大変な人生を送ってきた。父との関係も難しい。でも、それらを自分の視点から解き明かし、家族とは何か、本当の人生とは何かを見出したかった。この映画を製作することにより、自分自身の迷いにひとつの答えが見つかることを願って……」
ステファニーはこう語る。
映画にはアルゲリッチの演奏シーンやショパン国際ピアノ・コンクールの優勝時の様子などがフラッシュバックのように挟み込まれていくが、大半は彼女の精神的な悩みやひとりごと、繊細かつ内気な性格が顔をのぞかせ、エネルギッシュでエキサイティングなピアノとのギャップに驚かされる。実の娘だから撮影できた映像は、貴重な記録であり、アルゲリッチもまたひとりの人間だということを思い知らされる。苦悩し、迷い、人間関係にとまどう。そこに光をもたらすのは、音楽であり、家族の愛であり、自身の演奏に対する限りない欲求と愛情と信念と情熱である。
映画はアルゲリッチの生地アルゼンチン、現在の拠点であるスイスとフランスとベルギー、さらに日本、イタリア、イギリス、ポーランドなどさまざまな土地へと彼女を追っていく。そのなかでピアニストとして、ひとりの女性としての素顔に肉薄する。これはアルゲリッチとステファニーの関係を通して家族というものを考え、女性の生き方を見据え、自分の人生を見直すことを促す映画。もちろん、男性も自身の母親との関係や子どもとの絆を見つめ直すに違いない。ステファニーの真の意図は、実はそこにあるのではないだろうか。
MOVIE INFORMATION
映画「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」
音楽との関係は愛と同じ。
今世紀最高のピアニスト、マルタ・アルゲリッチ。人の心を打ち、深い感動を呼ぶ奇跡の演奏はどうやって生み出されるのか? 彼女はいかにして〈生ける伝説〉となったのか? 家族だけが知る〈女神〉の素顔に実の娘がカメラを向け、母と娘たちの関係を織り交ぜながら見せていく、音楽ドキュメンタリー映画の決定版。
監督:ステファニー・アルゲリッチ
製作:ピエール・オリヴィエ・バルデ/リュック・ピーター
出演:マルタ・アルゲリッチ/スティーヴン・コヴァセヴィッチ/ロバート・チェン/シャルル・デュトワ/ステファニー・アルゲリッチ 他
配給:ショウゲート
(2012年 フランス・スイス 96分)
https://www.argerich-movie.jp/
2014年秋、Bunkamuraル・シネマ他にてロードショー!
INFORMATION
intoxicate presents 特別試写会
映画「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」
特別試写会に25組50名様をご招待!
2014年9月17日(水)都内試写室
開場/開映:18:00/18:30
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