COLUMN

ENO・HYDE 『High Life』

前作をさらに先鋭化した実験の理想型

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  • 2014.08.11
ENO・HYDE 『High Life』

 ロキシー・ミュージックにおける、イーノのノイジーなシンセサイザーテープレコーダーの使用は、それまでとは異質なロックンロールの感触をバンドにもたらした。以来、多くのアーティストがイーノと仕事をし、プロデュースを依頼した。また、少なくないアーティストがイーノによってより多くの聴衆へと紹介された。レコーディングにおける実験的なアイデアや録音手法の数々など、イーノとの共同作業とは、従来の方法論を打開してくれる触媒のようなものであるにちがいない。しかし、イーノのほぼすべての仕事に言えるもっとも特徴的なこととは、実験的なことがポピュラリティと相反しない、ということだろう。オブスキュア・レーベルで英国実験音楽をポピュラー音楽界に紹介したり、ボウイベルリン時代、アンビエント・ミュージックなどは時代に先んじた仕事と言っていい。しかし、実験的な試みを提示しつつも、それらを難解なままに終わらせないのがイーノの手腕だろう。その他多くのバンドとのコラボレーションも、かつて実験的なものとして聴かれていた要素が、現在ではよりポピュラー音楽というフォーマットの中で昇華されることで、表向きは実験的と感じさせないことさえある。

ENO・HYDE High Life Warp/BEAT(2014)

 イーノ・ハイドの前作もそうした作品であった。レコーディングにおける、セオリーどおりではない、ある意味いつものイーノのスタジオワークの様子がメディアで伝えられてはいたが、それらは純粋に音楽として楽しむことができ、彼らにしかないスタイルを確立してもいた。それらはアルバムとしてまとめられたが、さらに彼らはスタジオでの実験をやめず、早くも二作目がリリースされることになった。前作から引き続いたコンセプトは「ライクティ(スティーヴ・ライヒフェラ・クティ)」である。トーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』やバーン&イーノによる『ブッシュ・オブ・ゴースツ』、近年ではシェウン・クティのプロデュースが思い起こされるだろう。しかし、今作はそれをさらに明確に前面に押し出した、それらのコンセプトをより先鋭化した最新型ともいえる意欲作であることはまちがいない。イーノの実験の理想型があるように思える。

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