平安時代末~鎌倉時代初期に描かれたとされる「鳥獣戯画」は、京都・栂尾山高山寺に伝わる絵巻作品。一番有名な甲巻をはじめ全四巻から成り、相当な技術を持つ複数の絵師によると推測されるが具体的な絵師像は明らかになっていない。本書は2022年4月に東京国立博物館で開催された連続講座〈鳥獣戯画研究の最前線〉に基づき、十二人もの講師による熱い議論をまとめた読み応えのある1冊だ。平成の修理の意義、成立の文化史的背景(〈動物たちはどこから来たのか?〉他)、同時代の絵画作品との比較検討(宮廷絵師説の可能性、線描や場面展開の妙技 他)、明恵上人の寺である高山寺という〈場〉の重要性など。「鳥獣戯画」を愛する人にぜひ。
土屋貴裕「鳥獣戯画研究の最前線」12人の講師による東京国立博物館の熱い連続講座をまとめた読み応えのある一冊
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