2018年結成の〈ほくろっくび〉と読む東京の3ピース・バンドが、この2作目でメジャー進出。3ピースでは珍しいアコースティック・ギターを弾きながら歌う堀胃あげはは、たとえるなら椎名林檎のような記名性の高い歌いぶりで作品の世界を率直に表し、あいみょんのように心の移ろいを感受性豊かに描き出す。ただしそれらの先人と違うのは、あくまでバンドという表現形態であること。みと(ベース)と田中そい光(ドラムス)のリズム隊は阿吽の呼吸で音を抜き差しし、歌を引き立てつつ展開の緩急と感情の揺らぎを巧みに演出していく。とてもポップでいてオルタナティヴな存在感もあるのは、前作以上に鍵盤や弦楽、打ち込みなどを活用し、バンドという枠の中で自由自在に音楽性を拡張する野心にもよるのだろう。