デビュー35周年に産み落とされた23作目。幻想的な哀愁のアルペジオと〈逃げられない〉という苦悶の声がこだまする“SCARECROW”のような、B-T然とした耽美な闇を湛えた楽曲もさることながら、ウーアーコーラスが軽やかな“Campanella 花束を君に”や、〈南風〉という歌詞が象徴する爽やかさのある“無限 LOOP -IZORA-”といった、ポップな手触りの楽曲が印象的。しかし、それらもどこか音使いが歪だったり、綴られる言葉たちは不穏で、混沌とした現実世界を映し出していたり……。それでいて、そこからは慈愛に満ちたささやかな祈りも感じられる。とにかく圧巻の全14曲が並ぶ、これぞ〈アルバム〉。