澄みきった大空へフライトする彼女も、ナミダのスコールをバーストさせる彼女も。〈PiNK〉と〈BLACK〉、両極の先で見つけた新たな扉は、自身の内側に…… 

〈可愛い〉に対するストッパー

 5月に発表した5枚目のシングル“Rising Hope”がオリコンのシングル・チャートで4位を獲得。6月から7月にかけては昨年リリースされた2枚目のフル・アルバム『LANDSPACE』をセットリストの中心とする全国ライヴハウス・ツアー〈LiVE is Smile Always ~LANDSPACE~〉を開催し、その後に富士急ハイランド・コニファーフォレストで2度目の野外ライヴを成功させるなど、さらに勢いを増しているLiSAからニュー・シングル『BRiGHT FLiGHT / L.Miranic』が届けられた。アニメの主題歌といったいわゆるタイアップ作品ではない――彼女自身が〈LiSAタイアップ〉と形容する本作のテーマは、〈PiNK〉と〈BLACK〉。ダンサブルなポップ・チューンとなった前者とヘヴィー・ロックのテイストを大胆に採り入れた後者を対比させた2曲には、彼女のヴィヴィッドな魅力が両極で反映されている。

 「前回の〈LiSAタイアップ〉は“best day, best way”(2013年)で、そのときのテーマは〈今日もいい日だっ!〉だったんですけど、デビューから3年、いろいろな活動をやってきて、〈ポップとロックの両方を表現できるのが、LiSAという人の魅力だな〉と思えるようになったんですよね。〈今日もいい日だっ!〉と明るく振る舞っている自分もいるけど、ひとりで悔しい思いをしたり、〈勝ちたい〉という気持ちになっている自分もいる。ポップとロック、それぞれの延長線上にある楽曲を入れることで、その両方が表現できるんじゃないかなって」。

LiSA 『BRiGHT FLiGHT / L.Miranic』 アニプレックス(2014)

 〈PiNK〉サイドの“BRiGHT FLiGHT”は「これまでにもポップな曲を歌ったことはあるんですけど、そこからさらに進んで、みんなが楽しめる曲を作りたかった」ということで制作されたナンバー。YUKIやゆず、でんぱ組.incなどの楽曲を手掛ける野間康介(agehasprings)によるカラフルなバンド・サウンドと〈ワクワクしながら明日に向かおう!〉という気分を描いた歌がひとつになったこの曲は、LiSAのポップな魅力を端的に示したものと言えるだろう。

 「夏のツアーでも歌ったんですけど、こちらの気持ちはちゃんと伝わってましたね。みんながジャンプしたり、手を振ったりして、純粋に音楽として楽しんでくれている雰囲気がすごく印象的だったんです。その光景を見たとき、〈この曲の正解がここにあるな〉と思いましたね」。

 キュートでポジティヴな表情が伝わるヴォーカルも、“BRiGHT FLiGHT”の大きな魅力。しかし、彼女は「以前は〈可愛い〉と言われることに否定的だった」という。

 「もともとバンドをやっていたこともあって、〈カッコイイ〉って言われたかったんですよね。〈可愛い〉と言われることで、男の人のバンドと対等に並べてない気がして。でも、アニメの世界に関わらせてもらって、Girls Dead Monster(アニメ『Angel Beats!』の劇中バンド)で可愛いイメージの歌を歌ったとき、思った以上に上手くハマって。そこからストッパーが外れたというか、自分が可愛い部分を持ち合わせているのなら、それも使えるようになりたいと思うようになったんですよね。いまは、可愛い曲を〈可愛いでしょ?〉って思いながら歌ってます(笑)。考えてみたら私、子供の頃はモーニング娘。や松浦亜弥さんの曲が大好きだったんですよ。自分はそっちに行けないなと思っていただけで」。