バージニア州リッチモンドを拠点とするアーティストのファースト・フル・アルバムは、人の成長や変化が豊富な語彙で描かれた作品だ。たおやかで温かい歌声という魅力は滋味が増す一方で、J・ディラが一瞬脳裏に浮かぶ“Things Change”ではラップを披露するなど、表現方法に制限を設けない風通しの良さが光る。軽快なロック・チューン“Insensitive”を筆頭に、エレポップ色が濃かったこれまでの作品と比べてギター・サウンドが増えているのも特徴だ。より深く自身の弱さに踏み込み、内観的視座を強めた歌詞は聴き応えがあり、言葉選びのおもしろさを見い出せる。