イメージの型が出来上がってしまったハイパーポップという言葉をどう用いていいのかというのはさておいて、そのあたりの陳腐な形容も悩み無用な新世代プロデューサー、エイプリル・ハーパー・グレイのプロジェクトがマム+ポップ経由でセカンド・アルバムを完成した。ウォールソケットという街を舞台にしたコンセプチュアルな内容で、フューチャー・ベースやシンセ・ポップ的な音色使いを軸に、リズミックなラップやチアフルな歌声などの要素を独特の奇妙なカットアップ感覚でまとめ上げてくる。まったくBGMにならない不安さを孕みつつ、切り取ればどの断片もポップなのがおもしろくて怖い注目作。