旭日双光章の授与やヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞の獲得もあるアレクサンドル・ソクーロフ監督が、各国で上映禁止になっている問題作を制作した。既存の映像を使用し、再構築して新しい作品を作るファウンド・フッテージの技法を駆使し、独裁者たちが死後の世界で天国へも地獄へも行けずにギュスターヴ・ドレの挿絵のような映像美の中で、生前と同じように互いを罵り合い、亡者の群衆の熱狂に陶酔しながら永遠に彷徨い続ける姿を描いたアートフィルム。同じロシアの作家ウラジーミル・ソローキンも「青い脂」で独裁者たちをパラレルワールドの中で過激に共演させていて、扱い方は違うが共鳴するものを感じる。