オペラ「サロメ」「エレクトラ」を上演するのに欠かせない、2024年に来日予定もあるひっぱりだこのソプラノのグリゴリアンが「4つの最後の歌」をオーケストラとピアノ伴奏でそれぞれ歌い分ける一風変わった、しかし自信がないと組み合わせられないアルバムを成立させている。シュヴァルツコップ&セル、ヤノヴィッツ&カラヤンの名盤が存在する曲を一本勝負で敢えて披露する凄みを感じさせる。細身のイメージとは裏腹に中低音が豊かで、高音になってもヴィブラートの少ない凛とした歌声が魅力。ピアノ伴奏版はバーバラ・ボニーが歌った盤が大変な名演だった。その達観の境地のボニーとは異なる情熱を感じさせる。