さる4月13日(月)、東京・丸の内COTTON CLUBにて、ジャズ界のトップ・ドラマーであるアントニオ・サンチェスの記者会見が行われた。サンチェスは、第87回アカデミー賞で作品賞など4冠に輝いたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の最新映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で音楽を担当しており、今回の会見は同映画に関するもの。サンチェスによるドラム・ソロのみでの鮮烈なサウンドトラックは作品内で強烈なインパクトを放っていた。

まず会見に先駆けて菊地成孔が登場。「誰でも楽しめる娯楽映画であり、文学的にも美術的にも先鋭的なアートでもある」「完全なドラム・ソロを音楽に使うというマッシュの斬新さにおいて比類なきものがある」「常に合衆国のアングロ・サクソン文化に対して批判的であろうとする移民のカルチャーが、久しぶりにハリウッド映画界に与えた会心の一撃」などの絶賛とともに鋭い分析を聞かせた。

続いていよいよ登場したサンチェスは、「バードマン」の数シーンに合わせてドラムを生演奏。凄まじいテクニック/表現力、映像/演技との絶妙なマッチングを見せつけ会場の大喝采を浴びる。質疑応答では、若いころに同じメキシコシティ出身であるイニャリトゥ監督がDJを務めていたラジオ番組のリスナーだったこと、後に活動を共にするパット・メセニーの音楽を初めて聴いたのはその番組だったこと、パット・メセニー・グループのライヴ終演後の楽屋でイニャリトゥ監督に初めて会ったときの様子など、貴重なエピソードも披露した。

最後に菊地凛子が花束を持って登場すると、サンチェスは「大ファンなんです! (イニャリトゥ監督の映画で菊地凛子が出演した)〈バベル〉は自分の生涯でベストに入る作品」と喜び、「役者として接したときにイニャリトゥ監督は厳しかったですか?」と〈逆質問〉をぶつける。改めて菊地凛子からイニャリトゥ監督について訊かれると、「彼はすごいエネルギーを持っているだけではなく、それが回りに広がっていくので、当然それに自分も巻き込まれるし、最高の力を出さなければならない、と思わせられる人物です」「本当に自分やりたいことを自由にやらせてくれるし、その場所を与えてくれた。お互いのやりたいことが寄り添っていた」と手応えを滲ませつつ今回のコラボを振り返った。

 

そんなサンチェスは現在、自身のグループ〈アントニオ・サンチェス&マイグレーション〉での初の来日ツアーを開催中。残す公演は東京・丸の内COTTON CLUBで本日4月16日(木)と4月17(金)に行われる2日間で、サンチェスが率いるメンバーはベン・ウェンデルジョン・エスクリートマット・ブリューワーという気鋭のミュージシャンたち。ノリにノッているスーパー・ドラマーの〈いま〉をお見逃しなく!

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MOVIE INFORMATION

映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

監督・編集・脚本:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
ドラム・スコア:アントニオ・サンチェス
出演:マイケル・キートンザック・ガリフィナーキスエドワード・ノートンアンドレア・ライズブローエイミー・ライアンエマ・ストーンナオミ・ワッツ
配給:20世紀フォックス映画 PG12(2014年 アメリカ 120分)
◎4/10(金)、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー!
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