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【ハマ・オカモトの自由時間】第14回 〈伝説の(笑)〉バンド、ズットズレテルズとはなんだったのか…ついにその真相に迫る!

ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル~ファンクを自由に紹介する連載、第2章

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  • 2016.02.25
【ハマ・オカモトの自由時間】第14回 〈伝説の(笑)〉バンド、ズットズレテルズとはなんだったのか…ついにその真相に迫る!

今回の課題盤

ズットズレテルズ 第一集 redrec(2009)

――今日はぜひハマくんも所属するズットズレテルズの話をしてもらえないかなと思っているんですよ。先日、ファースト・アルバム『第一集』(2009年)がLP化したということもあるので。

「そうしましょうか。他で(ズレテルズのことを)きちんと話したことがないので、個人的には嬉しいです」


~ズットズレテルズとは~

ドカットカット(MC)、リョフ呂布:MC)、セイマンラキタ:ヴォーカル/ギター)、ひでちゃん(ギター)、ヒゲメガネ(ハマ・オカモト:ベース)、スコポン(オカモトレイジ、ドラムス)、皿・粉(オカモトショウ:パーカッション)から成る7人組。2008年に同じ高校の同級生を中心に結成。2009年に行われた10代限定のロック・フェス〈閃光ライオット〉に出場して注目を集めるが、その決勝大会のステージで解散を発表。その後ファースト・アルバム『第1集』をリリースする。2012年の〈JAPAN JAM〉で再結成するが、それ以降はステージを踏んでいない。2015年にドカットが急逝。


――プロフィールが思いっきり短いですが、ズットズレテルズのあらましから教えてください。

「僕とラキタとレイジとショウで一度だけライヴをしたバンドの名前で、その少し後に俺らの高校の卒業式の〈アフター・パーティー〉という名目のイヴェントをやることが決まって、そのために呂布やドカットも交えた形でズットズレテルズとして出ることになりました、確か……(笑)。レッドクロス(東京・新宿のライヴハウス)でやったそのパーティーには、僕がすでに加入していたOKAMOTO’Sに、呂布とドカットがいたBankRoll、ラキタの弾き語りもあったかな。ズレテルズはそのパーティーでだけ演奏する予定だったんですが、そのライヴの後がちょうど〈閃光ライオット〉が開催されるタイミングだったんです。〈そこで優勝したら100万円もらえるらしい〉という話で盛り上がりまして……」

※ハマ氏はOKAMOTO’Sのオリジナル・メンバーではなく2代目ベーシスト。2009年の初作『Here are OKAMOTO’S』には参加していない

――お!

「それで、1回限りのライヴで解散するのもなんだから、ズレテルズで出てみないかという話になったんです。その応募にあたっては音源が3曲くらい必要だったのですが、曲が足りないのでスタジオに入って、ジャムって作りました」

――生演奏なんだけど〈さんピンCAMP〉的な雰囲気もありつつ、一方で物凄くメロディアスな歌ものもあったりして、なんかよくわからないけどおもしろい、というのが当時の印象でした。

「〈さんピン〉はもちろんリアルタイムではないですが、それはよく言われていました。ズレテルズのラッパー勢と僕は、もともと仲が良かったわけではなくて。でもなぜこうやってバンドを組むことになったかというと、僕が当時好きになりはじめていた黒人音楽を彼らもすごく好きだったというのが大きいですね。ドカットや呂布から出てくる言葉が、スタックスアイザック・ヘイズ、『スーパー・フライ』といったものに加えて、BUDDHA BRANDあたりだったんです。その流れで〈さんピン〉のVHSをみんなで一緒に観たのがきっかけで」

BUDDHA BRANDの96年のシングル“人間発電所”

 

――ほ~。

「その時に初めて日本のヒップホップというものに触れて、パイオニアと呼ばれた人たちはこんなにも(ネタを)モロ使いするんだ、ということを知りました。レコードからの音を切り貼りしているとはいえ、演奏者としても盛り上がれるし、カッコイイと思えた。そういうところで(MC勢と)リンクできたので一緒になった、というのはかなり大きいです」

――そこで共通言語が生まれたんですね。

「そうです。みんなでレコードを聴いて、〈このフレーズ弾いてよ〉と言われてコピーして弾くと、〈弾けんだ、ヤベー〉みたいな。〈レコードなくてもイケるんだ!〉と訳のわからないことを言ったりしていましたね(笑)」

――ハハハハハ、ピュア(笑)。

「そういう異文化コミュニケーションが生まれたことによって、モロにネタを持ってくるようなスタイルが出来た。サンプリングを人力でやる――ルーツのようなヒップホップ・バンドがいることは後から知ることになるんですが、当時はまったくそういう人たちの存在を知らなかったので。でも、すごくオールド・スクールなヒップホップの感じがしつつも、バンドの演奏にソロ・パートがあったりするので一体なんなんだ……と言われましたね」

ルーツの96年作『Illadelph Halflife』収録曲“What They Do”

 

――いわゆるヒップホップ・バンドかというとそういう感じでもないし、っていうことなんですかね。

「日本のヒップホップ史はまったく詳しくないのですが、〈さんピンCAMP〉だけは何度も観せられているので、むしろ僕のなかでのヒップホップは〈さんピン〉しかないし、BUDDHA BRANDしかない、くらいに止まっちゃっています(笑)。(BUDDHA BRANDの)レコードも全部持っていますよ。だから僕やレイジが話しているヒップホップの方々が、主に90年代のレジェンドだったりする理由はそこにあるんです、実は」

――なるほど、そういうことだったんですね。ではせっかくなので、『第一集』を1曲ずつ解説してもらえたらなと!

※すでにアルバムを持っているという人は、聴きながら読むといい感じ!

 

【1. 僕の果汁】

――〈これからパーティー・ターイム! アーイェー〉が頭から離れない、ズレテルズと言えば!な曲ですね。

「思い返すと、基本的なコード進行などは僕とラキタで曲を作っていたのですが、この曲が足りないから作ろうということで最初に作った曲です。ベース・ラインが最初に出来て、〈このメイン・リフ、ダサ!〉なんて言いながら作っていて。それで、遅れてきたラップの人たちがそのリフを〈めっちゃカッコイイ〉と言いはじめたので、こんなんでいいんだ……と思った記憶があります(笑)。これは最初からこの音源の感じでラップしていたので、10分くらいで出来ちゃいました。それが結果的にはいちばん知られる曲になり、テーマソング的な楽曲になりました」

――そういう後々に残る名曲は、実はあっという間に出来たものだった、という話をよく聞きますよ。

「自分たちにとってはそのくらいの思い出なので……でもキャッチーだなとは思いますね。当時、この曲を僕らが演奏している動画がYouTubeに上がっていて、そのコメント欄に〈これはスゴイ曲だ〉〈リフがヤバイ!〉ということをさまざまな人が書き込んでいて、〈なにを言っているんだろう、この人たち……〉と思ったくらいで(笑)。その当時はテクニカルなものが流行っていたので、こんなものはまったく受け入れられないと思っていたので。新鮮だったのかな……。例えばレッチリの“Can’t Stop”は本当にどうってことないリフなのに大ヒットしたわけじゃないですか。すごく良く言うとそういう感じなのかなと」

レッド・ホット・チリ・ペッパーズの2002年作『By The Way』収録曲“Can't Stop”

 

――あー、そういうことかもしれませんね(笑)。ちなみにタイトルは……?

オハイオ・プレイヤーズじゃないですけど、〈蜜〉のような、エロいし黒い……というイメージで果汁にしました。〈果汁100%グルーヴ〉というのがワードとしてヤバイよね、という話になって、〈俺の果汁〉にするか〈僕の果汁〉にするかで、くだらない喧嘩をしたのを覚えていますね(笑)」

オハイオ・プレイヤーズの〈蜜盤〉、75年作『Honey』収録曲“Sweet Sticky Thing”

 

【2. Good Shit ~思うようにさせるな!~】

「これはランDMCの某曲をそのまま拝借しました(笑)。〈ダッダダッダッダッダダ〉という基本を守りつつ、もっとラップしやすいようにしようと作りはじめた気がします。もっとラップしたいと言われたからこんなに抑えめにしているのに、〈お腹すいた〉と言い出したりして全然最後まで決めなかったので、曲の途中でソロ回しになってしまうんですけど(笑)、このテイクはすごく気に入ってます」

――わざとではなく、やむを得ずソロが入っていたんですね(笑)。でもカッコ良くまとまって良かった!

「ラキタのようなギターを弾く人はいないですからね。ちなみにこれは〈せーの〉で一発で録りました。タイトルの〈Good Shit〉自体はよくある言葉で、〈思うようにさせるな!〉という副題はドカットが付けました。歌詞にもあるこのフレーズをみんなで〈ヤバイね〉と言っていた日に、〈音楽をわかったフリしているような奴ら、ダサイ奴らの思うようにしちゃダメなんだ〉ということを言っていたのを覚えています。とはいえ、歌(ラップ)に関して僕は完全にノータッチだったので、何について歌っているのかは最後までわからないままのものも結構あるんです」

 

【3. バジャイナ バジャイナ】

「絶対に誰も気付かないと思いますが、この曲、僕ら的にはかなりナンバーガールだと思ってやっています。ハハハハハ(笑)」

ナンバーガールの99年作『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』収録曲“透明少女”

 

――ハハハハハハ(爆笑)。でも、言われればわかるかも!

「何小節で切り替わるかわからない感じや、ギターの感じですよね。こういうバカ7人の考えるナンバーガール、向井秀徳感のようなものを意識して作った記憶があります。ズレテルズのレパートリーのなかではこの曲がいちばん難しい。ちなみに最後のほうに出てくるラキタのギター・フレーズ(速弾きしているところ)は、〈ハッチポッチステーショーン♪〉から来ています(笑)。これをいかに音数多く弾くか、という」

※NHK教育テレビで放送していた子ども向け番組「ハッチポッチステーション」のオープニング曲

 

【4. 地球のへそ】

「これは唯一ラキタがソロの曲として書いていた楽曲です。とても気に入っていたので、ズレテルズでもやりたいということで入れました。日本語の歌詞を付けなよと言いましたが、結局最後まで〈ラキタ語〉で歌うことになって。これは僕とレイジ、ラキタを中心に作っています。このBメロと言うんですかね、これは僕が初めて曲に対してとても良いベース・ラインを弾けたと感じられたものなので、すごく思い入れがあります」

――本当に素敵な曲ですよね。

「これまでの楽曲から考えると、とても同じバンドとは思えない(笑)。僕はラキタのことを〈乳酸菌系〉と呼んでいて。牧草感とでも言うか、干し草が舞っているような、緑豊かな感じがするんです」

――東京育ちが作る曲ではないなというのは感じますね。

「そう、彼は沖縄に住んでいるので。この曲がないとアルバムの見え方がちょっと変わるなと思いますね。演奏もすごく好きですし、歌のテイクもこれがいちばんいい。この後、ラキタがソロで歌っているのも観ましたけど、いかんせんラキタ語なので毎回言ってることが違うのですが、その詞と音のハマりを考えても、これがいちばん。ちなみに、俺と呂布による幻のミックスがこの曲にはあるので、それもいつか出せればいいなと思っています」

ラキタの2011年作『フライングロック』収録曲“ふりむけば”

 

【5. Nis!(!は逆さに表記)】

「これは話すことがたくさんありますよ。タイトルは〈ニシ!〉と読みます」

――ノイ!(Neu!)ならぬ(笑)。

「もろにノイ!の“Hallogallo”を拝借しています。これがなぜ〈Nis!〉かと言うと、レコーディングの現場に〈西アメリカ〉という愛称で呼ばれていた当時毛皮のマリーズ越川(和磨)くんが来てくれて。僕らもマリーズもレッドクロスにお世話になっていたので当時から仲が良くて、僕らがレコーディングをしているということで差し入れを持ってきてくれたんです。それで〈ニシくんがいるから、ノイ!にちなんでタイトルは“ニシ”でしょう〉という話になりました。!マークを逆さにして〈i〉と読ませるアイデアで当時18歳の僕らは盛り上がりました、〈おしゃれだ〉って(笑)」

ノイ!の72年作『Neu!』収録曲“Hallogallo”

 

――おしゃれ(笑)!

「それ以外はなんてことない楽曲なんですよ。ただノイ!の“Hallogallo”をやりたかっただけの長いインスト。メンバー内でいちばん盛り上がっていたのはレイジで、彼はシンセを入れて喜んでいました。ずっと僕らにCで演奏させて、自分はシンセを入れ続けるだけ。だからいつまでたっても終わらない(笑)。OKAMOTO’Sのアルバムでもずっとシンセを入れたがっていた時期があったのですが、その始まりはこの曲(笑)。とはいえ、“Nis!”はラキタのギターがおもしろいから聴けるなと」

――そうですね、ここでも乳酸菌な感じがあります。ちなみに、越川さんは実際に参加している曲なんですか?

「この楽曲には直接参加していなくて、“K-Town Is Burning”にヒロティ(栗本ヒロコ、元・毛皮のマリーズのベーシスト)さんと参加してくれています」

 

【6. アウトサイドは濡れていた】

「これはバンド演奏をしていなくて、ドカットが自分でサンプリングしてビートを組んだものです。呂布とドカットが2人で作っていて、演奏陣はタイトルを聞いて、〈下ネタじゃん、いいね〉くらいの(笑)。今回の『第一集』のLPは2枚組になっていて、1枚目のA面は45回転で2曲、B面は33回転でそれ以外の楽曲を収録していて、45回転のほうにはテーマ曲の“僕の果汁”と、ドカットへの追悼としてこの“アウトサイドは濡れていた”を入れています」

――すごい仕様になっているんですね。

「そうなんです。そのへんのことに関して僕は噛んでいなくて、レイジがやっています。僕は(その仕様になることが)ほぼ決定してから聞きました……ずっとそういう感じなんです、勝手に何かが決まっていて、気付いたら世に出ていたりする(笑)。ちなみにこの楽曲は解散ライヴの時に1回演奏したことがあります。このトラックをコピーして。なのでこれは2人(ドカットと呂布)が本領を発揮した感じですね」

 

【7. ズレテルリズムアンドブルウス】

――だいぶアグレッシヴな一曲です。

「これね(笑)。前の楽曲がラッパー2人だけだとしたら、こっちは演奏陣のみで作りました。ただのブルース進行の速いインストで、こういう楽曲になったのもOKAMOTO’Sをやっていたから、というだけですね(笑)。僕はOKAMOTO’Sのアルバム・レコーディングをする前に、ズレテルズでこういうOKAMOTO’S的なアプローチをしていたことになりますね。そもそもはメンバー紹介をここでしたいという話があったのか、ソロ回しがあるんです。ショウもパーカッションだけではなくてハープも吹きたい、ということだったんですかね……。ちなみに、ギターのヒデちゃんはツェッペリン狂で、ラキタよりも正統派の演奏が上手かったんです。ちゃんとしたギターが弾ける(笑)。ソロ回しではそういうところにも注目してみてください」

※OKAMOTO’Sにハマ氏が加入して初のアルバム『10’S』(2010年)より前にズレテルズのアルバムがリリースされている。

レッド・ツェッペリン“Whole Lotta Love”のライヴ映像

 

【8. 真っ赤な目っから】

「これは問題曲ですね。チルアウト曲が欲しいというオーダーがあって、こういう浮遊感のある楽曲が1曲くらいあってもいいんじゃないかと、スタジオ・セッションで作りました。みんなこういった音楽を通っていないのに、よくこんなにいい雰囲気に仕上げられたなと。これにもレイジのシンセが入っていますね。全部に入れたがっていたので(笑)」

――ハハハ、でもなかでも打ってつけの曲ですよね(笑)。

「しかもこれをライヴの1曲目にやっていました。そういえばこの楽曲は、テイク1ですごく良い演奏ができたと思ったら、まったく音が録れていなかったという事件がありましたね…〈はぁ?〉となりながらも、団結してもう1回やろうと録り直したものです。8分くらいあるのに……」

――気を取り直して(笑)。それにしても、この前の“ズレテルリズムアンドブルウス”からどうしてこういう曲に行く?って感じですよ。

「そうですね。ここからB面という意識があったのかもしれません」

――実際にLP盤ではDisc2のB面の冒頭曲ですし。

「そうですね。正直、演奏は好きなんですけど、リリックは何を言っているのか全然わからない(笑)。ラキタにこういうギターを弾かせると、やっぱり良い」

 

【9. ワーメン・ビーツ】

「これこそ“Shaft”です」

★本連載の前身にあたるbounce連載期にハマ氏が取り上げた『Shaft』の記事はこちら

――ハマくんが大フィーチャーされているインスト曲ですね。完全に“Shaft”を意識して?

「イントロのハイハットの雰囲気はそうですね。きっと。これはリズムから作っていって、それに乗せて適当にセッションして出来ました。〈アルバムに入れる曲が必要だから作らなきゃいけない〉という状況で、だんだん作曲が嫌になってきている時ですね。とはいえ上手いことやってますよ、いま聴いても」

アイザック・ヘイズの71年作『Shaft』収録曲“Shaft”

 

――ところで〈ワーメン・ビーツ〉ってなんなんですかね?

「何から来てるかはわからないです。僕以外の人は覚えてるかもしれませんが、何かの造語だった気がします。これはライヴでやったことがないかもしれません、再結成の時もやってない」

 

【10. HがAとかYからYo!】

「ここでは〈スラップをしてくれ〉と言われまして。スラップ演奏の入ったものがやりたいというので作りました。楽曲としてはどうしようもない、ただのセッション曲。僕がよくメンバーに、もっとああしろこうしろと文句を言っていて、それに対してラップ勢の〈お前はあれこれ言って面倒臭い〉という気持ちがタイトルに表れています」

――これリリックの感じも含めてハマくんの曲、という感じですね(笑)。

「そう、なぜかテーマ曲みたいになっています。バンドの関係性がよくわかる歌詞ですよね。僕以外のメンバーはこの楽曲が好きで、ライヴでやりたがっていた記憶があります」

 

【11. K-Town Is Burning】

「〈K-Town〉というのは喜多見(東京・世田谷)のことです(笑)。僕らが喜多見周辺に住んでいた、ということで。これは呂布の曲という感じです。演奏もカッコイイですが、呂布がラップするとグッとポップになります。でも中盤に突然テンポが落ちる感じがものすごくウザイ(笑)。この曲の途中でコーラスしてくれているのが越川さんとヒロティさんです」

呂布を擁するBankRoll“LOST MY MIND”

 

【12. 世田谷’90のテーマ】

――ついにラストの曲です。

「完全にボ・ディドリーの“Mona”。このへんはもう作曲を諦めてるんですよ(笑)。みんなでやっているコーラスも、全員でいっぺんに録ったのでまったくハモれなくてモメた記憶があります。この曲では、90年生まれの世田谷から出てきた僕たちの総称を〈世田谷’90〉と呼んでいました。その言葉をタイトルに付けた曲を最後に持ってきたのも、意識的だったと思います」

ボ・ディドリーの57年の楽曲“Mona” ライヴ映像

 

――ほほ~。

「曲中の会話はすごくアドリブ風に入れていますが、すごくがんばって台本を作って、誰が何を言うかを決めてしまったが故に何度もNGを出してしまい、かなり険悪なムードになりました……朝4時くらいに(笑)」

――すぐモメる(笑)。

「仲はいいんですけど、くだらない言い争いは年中していましたね――ざっくりになってしまいましたが、いまアルバムを聴きながら思い出せることをバーッと話してみました」

★★★★★★★★

――当時のことを振り返って、どうですか?

「うーん……これをおもしろがってもらえたということが奇跡に近いですよね。〈内輪ノリ〉とはこういうことを言うんだぞ、という感じなので。ズットズレテルズの存在が著名な人にまで届いていたというのは後になって知るんですが、改めていま聴いてもカッコ悪いことはしてないなと思います。でも、『第一集』をリリースしてから7年くらい経って、やっと大丈夫になりました」

――大丈夫というのは、これまで聴けなかったということ?

「いやいや、アルバムは好きでしたが、〈格好良いバンドをやってましたね!〉と言われて、〈そうなんですよ〉と答えていいのかなと思っていたので。いま、当時の僕らくらいの歳のバンドが出てきていて、そういう人たちの音源を聴くにつけ、ズレテルズのようなバンドを18くらいでやっていたなんて相当パンチが効いているなと感じているんです。それでようやく自分たちを認められたというか。かなりやりたいことをやっているし、個人的にも演奏がすごく好きなアルバムです」

――個人的にも、この作品がリリースされた際に取材する機会を得られなかったので、約7年越しにお話が伺えて光栄です(笑)。

「取材は全部断ってくれと言っていましたからね、偉そうに(笑)。ライヴの出演依頼も全部断ってもらいました。後から聞いたら、SAKEROCKのイヴェントや〈WORLD HAPPINESS〉なんかも断っていたらしいです」

――超大物ですね(笑)。

「ハハハ、ですね。ズレテルズは勝手に一人歩きして、伝説のようになったらいいんですよ(笑)」

――もはやそうなってると思いますよ。

「なってますかね? でもいまだにズレテルズのことを良く言ってもらえることが多いので嬉しいです。〈伝説の(笑)〉という感じですかね」

――それだ! 〈伝説の(笑)〉。

「本当にやったもん勝ち。アートワークなどもセンス良くやったなと思いますし。入っていいのかわからない工事現場に入って写真を撮ったり……いろいろスレスレですが(笑)。昔のものだと思わないで聴いてもらえたら嬉しいです」

 

PROFILE:ハマ・オカモト


OKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。バンド活動の傍ら、ラジオのパーソナリティーや数多くのアーティストの楽曲に参加するなど、忙しい毎日を送る好青年。2015年に発表したOKAMOTO'Sの最新作『OPERA』はロック・オペラ風のコンセプチュアルな作品として話題を呼び、追って発表されたシングル“Beautiful Days”は同作の続編とも言える一曲。次のライヴ予定は5月8日(日)に閉館する福岡・Zepp Fukuokaにて〈Zepp福岡ByeByeバイ〉へ出演。ハマ単独では、ももいろクローバーZの新アルバム『白金の夜明け』収録曲“マホロバケーション”に参加している。そのほか最新情報は、OKAMOTO'Sのオフィシャルサイトへ!

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