もうすぐイギー御大も69歳になるという。ライヴでのあのパフォーマンスを観る限り、彼が私達と同じように歳を重ねているのか疑問だが、4年ぶりの新作を聴きなおさらその疑問は深まるばかり。アークティック・モンキーズ等をプロデュースしたことで知られるジョシュ・ホーミと共に作り上げた本作。どことなく、デヴィッド・ボウイのベルリン時代を思わせ、ルー・リードの持つ退廃の美学を漂わせる印象の中に、今までとは違ったアプローチで作品全体の高みを目指している感すらある。破天荒なイメージが先行しがちな彼が、ここまで音の緻密さを追求した作品は初だろう。心からボウイに聴かせたかった。