自衛隊の音楽をもっと身近に! 懐かしの正義のヒーローが大集結!!

 近年、歌と吹奏楽という新たな活動で話題の海上自衛隊東京音楽隊。中でも、2009年からヴォーカリストを務める三宅由佳莉は、海自の歌姫として多くの支持を得ている。そんな彼らの最新盤が、『響け!ブラバン・ヒーローズ』。往年の人気アニメや特撮の主題歌を大迫力の吹奏楽版にアレンジした1枚だ。今回は、三宅と音楽隊長&指揮者の手塚裕之に、当盤制作の軌跡や聴きどころを訊いた。

海上自衛隊東京音楽隊, 三宅由佳莉 『響け!ブラバン・ヒーローズ』 ユニバーサル(2016)

 収録曲は、メドレーを含む全13曲(トラックは29)。その多くが吹奏楽のみの演奏だ。

 「山口哲人さんや福島弘和さんら、現役で活躍する方々が実にみごとな編曲を施してくださいました。特に感服したのが、藤野浩一さん編曲の《仮面ライダー・メドレー》。原曲の魅力を活かしながら、音楽が進むにつれてテンポが徐々に上がっていくのが素晴らしいです」(手塚)

 一方、歌入りの7曲は、三宅ともう一人のヴォーカルである川上良司の歌唱を収録。

 「“キューティーハニー”や“残酷な天使のテーゼ”など、私が歌った5曲は、公演でよく取り上げる“無限に広がる大宇宙”以外はすべて初挑戦。オリジナルを何度も聴いて、〈本物へのこだわり〉を最優先に取り組みました」(三宅)

 いつにも増して熱く充実した演奏を楽しめる当盤は、団員の世代も大きく関係しているという。

 「現在の団員はこれらの作品をリアルタイムで観ていた30~40代が中心。そのため、録音は常にテンションが高くて。例えば、トランペットに超ハイトーンが出てくる“デビルマンのうた”も、〈あえて、そのままでお願いします!!〉といった熱の入りようでしたね。また、ヴォーカルの川上も同じ世代なので、今回は“無限に~”や“宇宙戦艦ヤマト”の編曲も担当。さらに三宅の歌にまで色々アドバイスをしていたようです(笑)」(手塚)

 また今回は、音楽以外にも大きなこだわりが。

 「ジャケットは、人気イラストレーターの菊池政治さんのデザイン。私の姿も可愛く、しかも制服や左手でマイクを持つ癖などを正確に書いてくださったりして本当に嬉しかったです。あと、画像の中央下にも素敵な絵があるので、ぜひご注目ください(笑)」(三宅)

 そんな正義の主題歌がたっぷり詰まった当盤は、平和を守る海自に属する彼らにこの上なくふさわしい。だが実は、手塚と三宅は、共に今回の収録曲とは微妙に異なる世代。インタビュー終盤には、それぞれがリアルタイムで愛したアニメや特撮を挙げながら、次回作に向けた話に華を咲かせていた。

 


LIVE INFORMATION
2016年5月30日(月)豊橋演奏会 会場:ライフポートとよはし
2016年5月31日(火)名古屋演奏会 会場:愛知県芸術劇場
2016年6月1日(水)オアシス21演奏会 会場:栄オアシスイベントエリア
2016年6月2日(木)大阪演奏会 会場:ザ・シンフォニーホー
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