tricot
出演キャンセルとなった2014年の雪辱戦、超絶技巧のアンサンブルでダイヴも!
〈今日は、あの時のぶんまで全力でやりたいと思います〉という中嶋イッキュウ(ヴォーカル/ギター)のMCで幕開けしたtricot。そう、彼女たちは2014年の〈DPF〉に出演予定だったが、中嶋のインフルエンザによりキャンセルとなっていたため、今回のステージは雪辱戦である。
そのせいか、ポスト・ロック/マス・ロック的な変拍子がバシバシとキマる1曲目“99.974℃”からして尋常ならざる気迫に満ちており、〈かかってこいやー!〉と絶叫する中嶋に負けじと、バンドの演奏もグルーヴもグングン熱を帯びていく。〈新曲でもいいですか?〉と告げて披露されたのは最新作『KABUKU EP』収録曲“節約家”。スティーヴ・アルビニも彷彿とさせるキレッキレのギター・カッティングと、まったく先の読めないスリリングな展開が壮絶だ。時にエモーショナルに、時にコケティッシュに絡み付くヴォーカルはどこまでもキャッチーだし、海外フェスでも場数を踏んできた実力はダテじゃない。
続いて、セカンド・アルバム『A N D』(2015年)からラップのようにまくしたてる“庭”をプレイすると、客席からは自然とダイヴや手拍子が湧き起こり、中盤ではマラカスやホイッスルがけたたましく鳴り響くパーティー・タイムへ突入。キダ モティフォ(ギター/コーラス)の合図で客席を3分割し、〈デッド!〉〈ポップ!〉〈フェス!〉のコール&レスポンスを強制させるシーンも含めて楽しすぎる。雨に濡れたオーディエンスをしっかり温めてくれたtricotだが、ラストの“青い癖”まで緊張感を保ちつつ駆け抜ける超絶技巧のアンサンブルは、〈このままずっと観ていたい!〉と思わせるほど格好良かった。 *上野功平
SET LIST
1. 99.974℃
2. スーパーサマー
3. 節約家
4. 庭
5. 青い癖