〈壁を壊す〉を合言葉に、SiMの声掛けのもと、百戦錬磨のライヴ・バンドが音楽ジャンルも世代も越えて一堂に会すイヴェント〈DEAD POP FESTiVAL 2016〉が、昨年に引き続き神奈川・川崎市東扇島東公園でスタートしました。〈CAVE STAGE〉と〈CHAOS STAGE〉の2ステージにそれぞれ7組ずつ=計14組が出演。初日となる今日の〈CHAOS STAGE〉は、赤い公園やtricotといったガールズ・バンドから、レイドバックした心地良い歌を届けるRickie-G、ハードコア・バンドのSANDまで、まさに合言葉通りのメンツが揃い踏み。朝からあいにくの雨模様ですが、そんな天気をものともしないオーディエンスが数多く詰めかけています。
さっそく盛り上がっている会場から、オープニング・アクトのENTHからラストのSiMまで、すべてのアクトをリアルタイムでレポートしていきますよ! ここでは〈CHAOS STAGE〉でのパフォーマンスをお届け! *Mikiki編集部
〈DPF 2016〉2日目のレポート
★〈CAVE STAGE〉
★〈CHAOS STAGE〉
【レポート目次】
★ENTH
★tricot
★赤い公園
★Rickie-G
★MEANING
★SAND
★SHANK





ENTH
一般公募を勝ち抜いたスリー・ピースの熱演で開幕!
SiMが主催するライヴ・イベント〈DEAD POP FESTiVAL 2016〉初日はあいにくの雨に見舞われ、風もやや強く吹きつけていたが、無事にオープン。現地には早い時間からレインコートを着た多くの観客が駆けつけ、厚い雲の下、フェスの開演をいまかいまかとワクワク待ちわびていた。


そんななか、一般公募オーディションを勝ち抜いてオープニング・アクトの座を勝ち取った、名古屋発のメロディック・パンク・バンド、ENTHの3人が元気に飛び跳ねながら〈CHAOS STAGE〉へ登場! まずは挨拶代わりに〈Get Started Together〉をブチかますと、daipon(ヴォーカル/ギター)が〈遠慮すんなよ! 雨降ってたってなんだって、どうにだってなるから。遊ぼうぜ!!〉と呼びかけ、“Bong! Café’ au lait! Acoustic guitar!”へ雪崩れ込む。Naoki(ギター)がメタリックなフレーズを轟かせ、今年4月に新加入したtakumi(ドラムス)も快調に飛ばし、一気にモッシュが生まれていった。


〈楽しみたいヤツ、手を上げろ!〉というdaiponの先導で、最初は控えめだったオーディエンスの手もどんどん突き上がるなか、加速しまくる3人のバンド・サウンド。〈生意気やけど、選ばれたからにはタダでは帰らないんで〉〈おい、CAVE STAGE聞こえてるか!?〉と最後まで強気に駆け抜けたENTHは、ラストに“Crime in my mind”を投下! 本フェス出演を果たした勢いと実力を存分に見せつけ、〈DPF〉の幕開けを華やかに飾ってみせたのだった。 *田山雄士
SETLIST
1. Get Started Together
2. Bong! Cafe’ au lait! Acoustic guitar!
3. NO FATE
4. Let it die(t)~まこっつ走れ~
5. ムーンレイカー
6. Crime in my mind
tricot
出演キャンセルとなった2014年の雪辱戦、超絶技巧のアンサンブルでダイヴも!
〈今日は、あの時のぶんまで全力でやりたいと思います〉という中嶋イッキュウ(ヴォーカル/ギター)のMCで幕開けしたtricot。そう、彼女たちは2014年の〈DPF〉に出演予定だったが、中嶋のインフルエンザによりキャンセルとなっていたため、今回のステージは雪辱戦である。
そのせいか、ポスト・ロック/マス・ロック的な変拍子がバシバシとキマる1曲目“99.974℃”からして尋常ならざる気迫に満ちており、〈かかってこいやー!〉と絶叫する中嶋に負けじと、バンドの演奏もグルーヴもグングン熱を帯びていく。〈新曲でもいいですか?〉と告げて披露されたのは最新作『KABUKU EP』収録曲“節約家”。スティーヴ・アルビニも彷彿とさせるキレッキレのギター・カッティングと、まったく先の読めないスリリングな展開が壮絶だ。時にエモーショナルに、時にコケティッシュに絡み付くヴォーカルはどこまでもキャッチーだし、海外フェスでも場数を踏んできた実力はダテじゃない。
続いて、セカンド・アルバム『A N D』(2015年)からラップのようにまくしたてる“庭”をプレイすると、客席からは自然とダイヴや手拍子が湧き起こり、中盤ではマラカスやホイッスルがけたたましく鳴り響くパーティー・タイムへ突入。キダ モティフォ(ギター/コーラス)の合図で客席を3分割し、〈デッド!〉〈ポップ!〉〈フェス!〉のコール&レスポンスを強制させるシーンも含めて楽しすぎる。雨に濡れたオーディエンスをしっかり温めてくれたtricotだが、ラストの“青い癖”まで緊張感を保ちつつ駆け抜ける超絶技巧のアンサンブルは、〈このままずっと観ていたい!〉と思わせるほど格好良かった。 *上野功平
SETLIST
1. 99.974℃
2. スーパーサマー
3. 節約家
4. 庭
5. 青い癖

赤い公園
泣きメロで突っ走る無敵のパフォーマンス
tricotに続いて〈CHAOS STAGE〉に爽やかな風を吹き込んでくれたのは、東京・立川出身の4人組、赤い公園だ。全国16か所を巡るワンマン・ツアーを完遂したばかりとあってバンドの演奏は脂が乗りまくっており、〈DEAD POPいけますかー!〉という佐藤千明(ヴォーカル)の合図で始まった1曲目“喧嘩”からキラー・チューンを連発。〈DPF〉初出演なのが信じられないほど堂に入ったパフォーマンスだ。


そのまま間髪入れずに“絶対的な関係”。ぐわんぐわん唸るギターとホイッスルを合図に、歌川菜穂(ドラムス)がキメのフレーズを叩き出すと、佐藤が〈YEAH!!!〉と絶叫しつつも安定感のあるハイトーン・ヴォーカルで会場を赤い公園ワールドに引き込んでいく。ハイライトはやはり、彼女たちを一躍スターダムへ押し上げた“NOW ON AIR”で、津野米咲(ギター)にしか作れない泣きメロと昂揚感溢れるサビで突っ走る様は、もう〈無敵〉としか言いようがない。


〈まだまだいけるー!?〉と佐藤が呼び掛けると、彼女たちがハードコア/ポスト・ロック畑でも通用することを痛感させる“14”や人気曲“KOIKI”も飛び出し、チリチリと鳴るグリッチ・ノイズから美しいストリングスへと変化していくポップス“黄色い花”ではオーディエンスと一緒に手を左右に振りながら〈ラララ〉の大合唱。これには佐藤もご満悦で〈センキュー!〉と感謝を述べると、〈地元の歌を唄って帰りたいと思います!〉と告げて“西東京”での大団円へ――今回のラインナップにあって異色に感じられたtricotや赤い公園が、こうやって超満員の観客をたちまち魅了していく光景は、いち音楽ファンとしても胸が熱くなった。 *上野功平
SETLIST
1. 喧嘩
2. 絶対的な関係
3. NOW ON AIR
4. 14
5. KOIKI
6. 黄色い花
7. 西東京

Rickie-G
雨上がりの会場を魅了した、オーガニックな歌心
〈CHAOS STAGE〉の3番手として登場したのは、レゲエやソウルの質感を持ったオーガニックな演奏と、スウィートな歌声が魅力的なシンガー・ソングライター、Rickie-G。この日はギターやベース、キーボード、ドラムスを含む7人組のバンド編成だ。


まずは代表曲のひとつ“Life is wonderful”でスタートすると、裏拍を意識したスカっぽいギター・カッティングに乗せて、たゆたうようなヴォーカルを乗せていく。〈元気ですか川崎!〉とMCして始まったのは“ラブソウル”。陽気でレイドバックした音に合わせて雨が徐々に緩やかになり、続く“no rain”が始まる頃には、すっかり雨が上がってレインコートを脱ぎはじめる観客も。まるで彼らのオーガニックな音に天気がつられてしまったかのような出来事だ。


音響効果を使ったレゲエ風の楽曲が徐々にグルーヴィーになる後半から、観客もさらに盛り上がる。彼自身のギターの弾き語りで始まった“am08:59”ではコーラスが加わり、バック・バンドの演奏が加わることで緩やかに景色が変わっていく。そしてイントロで起こった観客の手拍子を受けながら、〈あなたの心に真っ直ぐに付いていってください。一緒に歌いましょう〉と促したラスト“Follow Your Heart”で幕。温かなサウンドと盛り上がるグルーヴにハーモニカ、そしてパワフルにこぶしを効かせたRickie-Gのソウルフルなヴォーカルがひとつになって、雨上がりの会場を魅了した。 *杉山 仁
SETLIST
1. Life is wonderful
2. ラブソウル
3. no rain
4. am08:59
5. Follow Your Heart

MEANING
ライヴハウスのノリを野外に持ち込んだ、距離感ゼロの濃密な空間
THE BAWDIESで一旦雨は止んだものの、ふたたび小雨が降りはじめた。そんな雨を切り裂くように豪快な音を叩き付けたのはMEANINGだ。“Infection”で幕を開けると、早くもクラウドサーフする観客の姿が。〈闘いに行こうぜ!〉とHAYATO(ヴォーカル/ギター)が呼びかけ、“My War”へと繋ぐ。川口総統閣下(ギター/コーラス)、YOKKUN(ギター/ヴォーカル)の息の合った重厚なツイン・ギターが先導するメタルの勇壮感漂うサウンドは文句ナシのカッコ良さ。


イントロから観客の熱いハンドクラップが湧き起こると、“BLACK OR WHITE”に突入。〈CHAOS STAGE〉は文字通りカオスの熱気に包まれる。それから“150”に入るとHAYATOは身を乗り出し、みずからクラウドサーフをして観客に身を任せながら歌い上げていく。ライヴハウスのノリを野外にそのまま持ち込むパフォーマンスも、実に彼ららしい。そして、〈DEAD POP FESTiVALの意向とは違うかもしれないけど、明日は選挙があるから。自分が進みたい未来へ……何か行動を起こすことがパンク/ハードコアの先輩から教えてもらったこと〉とHAYATOによる少し長めのMCを挿み、〈東北ライブハウス大作戦〉を支援するために自主制作で作ったチャリティー・シングル“THE UNBROKEN HEART”を放つ。1対1で観客と対話するような日本語のメッセージは胸に突き刺さった。


さらに〈暴れたい奴は来いよ!〉と最後に煽ると、ラスト“Judgement”へ。ふたたびHAYATOが観客の中に飛び込むと、曇天に向かって豪快なシャウトを繰り広げる。しまいには会場の後方までクラウドサーフで転がり続け、観客とグッチャグチャになりながら距離感ゼロの濃密な空間を作り上げていた。ライヴが終了しても、そこにいた多くの観客から温かい拍手が鳴り響く。〈DEAD POP FESTiVAL〉に賭けるMEANINGの熱さがヒシヒシと伝わってくるライヴだった。 *荒金良介
SETLIST
1. Infection
2. My war
3. BLACK OR WHITE
4. 150
5. THE UNBROKEN HEART
6. Judgement

SAND
怒濤のハードコアで、大きなサークル・モッシュが自然発生
レゲエ調のSEと共にMAKOTO(ヴォーカル)がフリースタイルのラップで挨拶すると、ついにSANDの登場だ。ピースフルな音色から一転、闇の谷底に突き落とすかのような1曲目“Poser”で火蓋を切った。するとド頭からOJIRO(ベース)はダイヴするわ、RYOTA(ドラムス)は立って叩いたりと、前のめりのステージングに観客も大興奮。途中スロウにテンポダウンし、ウォーウォーと煽る掛け声にも背筋がゾクゾクした。


〈DEAD POP FESTiVAL、もっと行こうぜ!〉と言い放つと、“The March Of Cruetly”をプレイ。疾走パートと重いミドル・パートの起伏激しい曲調により、モッシュやヘッドバンギングで暴れる人たちが一気に増えていった。“Lalalala”では音の重心をさらに落とし、ポップなサビとヘヴィー極まりないサウンドとの対比も最高。それからフッとさりげなくレッド・ツェッペリンの“Fool In The Rain”をサンプリングで流すアプローチも、SANDらしいエンターテイメント性に富んでいる。


〈めちゃめちゃ聴きやすいやろ? SAND、胸に沁みるやろ?〉とMAKOTOが茶目っ気たっぷりの言葉を挿みつつ、加速させたゴリッゴリな怒濤のハードコアを矢継ぎ早に披露する。そのエネルギーの塊のような音像に、大きなサークル・モッシュが自然発生していた。また、ゲスト・ヴォーカルのSENTA(NUMB)を招いて熱気は右肩上がりに上昇! ラストの“pierrot”に入ると、〈CHAOS STAGE〉に集まった観客に〈2つに分かれろ!〉と指示を出してウォール・オブ・デスを2回連発。観客は泥んこになりながら、笑顔で身体をぶつけ合う至福の光景が広がっていた。 *荒金良介
SETLIST
1. Poser
2. The March Of Cruelty
3. Lalalala
4. Smile
5. Rotten
6. Too Late
7. Who Cares feat.SENTA from NUMB
8. pierrot

SHANK
ファスト・チューン連発で、〈CHAOS STAGE〉のラストを演出
昨年に引き続き〈CHAOS STAGE〉の肝となる場面に登場し、今回はラスト・アクトの大役を任された長崎発のメロディック・パンク・バンド、SHANK。適度に涼しくて、雨上がりのほのかな香りが心地良い夕暮れ時、〈CAVE STAGE〉のHEY-SMITHを観終えた観客が続々と集まりはじめる前に、彼らは本番が待ちきれない様子でリハをしていた。〈大事な場所をくれてありがとう、SiM! 楽しんで帰るわ!〉と庵原将平(ヴォーカル/ベース)が演奏前に宣誓し、1曲目“Set the fire”に勢い良く突入!


庵原の〈雨があがって良かったね〉という紹介から嬉しそうに掻き鳴らされる“Weather is Beautiful”を、薄明るい雲の下で聴くのはとても美しい体験だった。そんなグッとくる瞬間の一方、庵原が松崎兵太(ギター)に対して〈キン●マ1個でも子供ができることを彼が証明しました。おめでとう!〉と唐突にイジる、お決まりの下ネタで笑わせることも忘れない(松崎は昨年のツアー中に娘が誕生)。
〈あと、SiMと俺らだけやで。バカになって帰ろうぜ!〉という庵原の突き上げで、“620”“Hope”“Lamp”“BASIC”と池本雄季(ドラムス)もますますハードに疾走していく。このファスト・チューン連発はもはや圧巻で、言うまでもなくキッズを燃えたぎらせ、激しいモッシュ・ゾーンが次から次へと生まれることとなった。


〈聴こえてるかな? 聴こえてるよな、SiM。本当にありがとう! みんなさ、売れたら身体を鍛えたり、格闘技したりするようになるけど、SiMはずっとダラッとしてていいよな! 僕はHEY-SMITHの猪狩くんと違って口が達者じゃないので、曲をたくさんやります〉と照れくさそうに笑う庵原。その言葉通り、持ち時間の30分に全12曲を惜しみなくつぎ込んでいく。あたりが暗くなった後半は、彼らの吐き出すパンク・ロックが灯のように明るく輝いていた。 *田山雄士
SETLIST
1. Set the fire
2. Cigar Stone
3. Take Me Back
4. Weather is Beautiful
5. 620
6. Hope
7. Lamp
8. BASIC
9. Love and Hate
10. Long for the Blue moon
11. Restart
12. submarine