INTERVIEW

〈FUTURE ROCK〉掲げるTHE SIXTH LIEが語る、EDM取り込んだロック・サウンド鳴らすSF的世界観の初作『INTEGRAL』

〈FUTURE ROCK〉掲げるTHE SIXTH LIEが語る、EDM取り込んだロック・サウンド鳴らすSF的世界観の初作『INTEGRAL』

 全国的にはまだまだ無名のバンド、初のCD、初の全国流通盤。にもかかわらず、このクォリティーの高さはどうだ。EDMを取り込んだ刺激的なロック・サウンドと、伸びやかなハイトーン・ヴォイスを生かす流麗なメロディー。歌詞やアートワークに込められた、想像力豊かでSF的な世界観。ヴァーチャルとフィジカルを融合させた〈FUTURE ROCK〉を標榜する4人組、THE SIXTH LIE(ザ シクスライ)の登場だ。

 「もともとエモみたいなロックをやっていたんですけど、去年このメンバーが揃った時に、いまのスタイルに大きく振り切ったんです。EDMを入れたロックをやることが目的だったわけではなくて、THE SIXTH LIEの世界観を成立させるための手段として、バンドの軸になる音楽性を求めた結果こうなりました」(Ray)。

THE SIXTH LIE INTEGRAL audio AVANT-GARDE(2016)

 へヴィー・ミュージックからアンビエントまで、音と名の付くすべてに興味があるというギターのReijiパンクからハード・ロック、ダブステップまで幅広い好奇心を持つヴォーカルのArataレッチリをフェイヴァリットに挙げるベースのHiroto。そして70年代のプログレにルーツを持つドラムスのRay。各々の強烈な個性を縦糸に、時代に寄り添う音色を横糸に、緻密に織り上げられた音のタペストリー。このたびリリースされるファースト・アルバム『INTEGRAL』を予備知識なしに聴いて、初音源だと思う人はまずいないはずだ。

 「自分でもクォリティーは高いと思ってます(笑)。EDMの要素を入れてるバンドは多いけど、やるなら海外のDJと戦うぐらいの気持ちでやろうと思って、音源をいっぱい聴いて勉強して。海外でも認められるようなサウンドにしたいという意識はありました」(Reiji)。

 「バラード調の“Never Hurry Me”やロック調の“Get Higher”や、それぞれの振り幅を聴かせたくて、曲ごとの歌い方にはこだわりました。サウンド的には難しいことをやっていてもメロディーはちゃんとキャッチーにして、みんなに聴いてもらえる楽曲に仕上がったと思います」(Arata)。

 「いい出来だと思います。ラップが好きなんで、“Get Higher”にそういう要素が入れられて、よかったと思います」(Hiroto)。

 特筆すべきは、すべての歌詞やアートワークを手掛けるRayの役割だ。東京大学大学院の修士課程に在学中で、人工知能とドローンの研究をしているという異色の経歴。アートにも造詣が深い彼の持ち込む世界観が、このバンドの音楽をより深く豊かなものにしている。

 「宇宙と人工知能の勉強をしていたので、SFっぽい歌詞になりやすいのと、美術が好きなので、そこから生まれてくるものが多いかなと思います。最近だとコラージュ・アーティストのQ-TAさんや、ミュシャマグリットダリの作品が好きなんですけど、ああいう芸術作品って、作者が〈こういうふうに世界を見ているんだ〉ということを伝えるものだと思うんですよ。それを音楽や歌詞でできないかな?ということは常に意識してます」(Ray)。

 ダイナミックなエレクトロ・サウンドに乗せて〈己を解き放て〉と煽る“Wake Up Your Fire”や、鏡に映るいくつもの顔の中に、本当の自分と未来の自分を探す“In This Mirror”、小惑星探査機〈はやぶさ〉の物語にインスパイアされたというスロウ・チューン“Never Hurry Me”など。THE SIXTH LIEがめざすのは、高い芸術性と強いメッセージ性、そしてキャッチーな音楽の共存だ。

 「非現実的で空想的な世界観を、どこまで普段の生活に落とし込んで聴いてもらえるか。例えば“Wake Up Your Fire”は、機械が人間を支配する近未来の世界を歌ってるんですけど、いまの時代でも何かに人間が支配されてることはあると思うし、そういうところに落とし込んで聴ける話だと思うんですよね。〈何かに縛られる存在から抜け出そう〉というメッセージは、意識して書いていると思います」(Ray)。

 THE SIXTH LIEというバンド名は、〈芸術とは、もっとも美しい嘘のことである〉というドビュッシーの言葉にインスパイアされたもの。想像と創造の力で、日本のロックの未来を切り拓く第一歩は、この『INTEGRAL』から始まる。

 


THE SIXTH LIE
Arata(ヴォーカル)、Reiji(ギター/プログラミング)、Hiroto(トライベース/ベース)、Ray(ドラムス)から成る4人組バンド。2014年にReijiとRayを中心に結成。同年11月に“The Calling”のMVを公開して注目を集める。以降もRayが監督/編集するMVを公開しながらライヴ活動を続ける一方、何度かのメンバー変更を経て2015年6月より現編成に。音楽性を大きくシフトさせ、同年11月に“Machines”(後に“Wake Up Your Fire”に改題)のMVを発表する。今年に入って、8月に“In This Mirror”のMVを先行公開。10月16日の初ワンマン・ライヴ開催発表も話題になるなか、ファースト・アルバム『INTEGRAL』(audio AVANT-GARDE)を9月7日にリリースする。

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