INTERVIEW

青田典子の素直な言葉を玉置浩二の優しいメロディーが包んで―夫婦の共同プロデュースで編まれた初ソロ作『blue's』を語る

photo:Naoki Hashimoto

 

玉置浩二との共同プロデュースで初のソロ・アルバム

 90年代初頭に一世を風靡したガールズ・グループ、C.C.ガールズのメンバーだった青田典子が、その前身であるD.D.GAPSでデビューしてから25年。2010年に安全地帯玉置浩二と結婚してからは、芸能活動を休止して夫のサポートに徹していた彼女だが、このたび2人の共同プロデュースで編まれたアルバム『blue's』で、久しぶりに艶やかな歌声を聴かせている。アルバムは〈25周年記念〉でもあり、実はソロ・シンガーとして初のアルバム。

青田典子 blue's SALTMODERATE(2016)

 「ずっと詞を書くのが好きだったんです。詞じゃないと表現できないものというのが私の中にあって、その世界に浸って楽しんだり、自分自身を満たしていたところもありました。C.C.ガールズとして活動していた当時は今ほど自分というものが出せない時代で、アイドルというのは個人的なものじゃなくコンセプトのなかで生きていくみたいなところがあったんですね。パーソナルが活かされる場所がなかったですし、それが作品として動くものでもなかったというか。なので、書いていたものは密かにしまって自分だけのものにしていました」

 それが作品として音楽と結びついたのは、やはり……。

 「彼(玉置)は感性というものが何より大切、自分から湧き出てくるものをすごく信じている人。自分が描くありのままの線で曲を作りたがる人なんです。その姿をいつもそばで見ていたら、私自身の感性も素直になっていくというか……。自分がいままで書きためていたものもガラクタのようなものだと思ってたんですけど、自分の感性を信じてもいいんじゃないかと思って、彼に見せたんです。そしたら「いいね!」って言ってくれて」

 作詞はすべて彼女、作曲もすべて玉置。彼が他のアーティストのアルバムをプロデュースし、全曲を書き下ろすというのはこれが初めてのこと。そして、ほとんどの楽曲でアレンジャーとしてサポートしているのは、安全地帯の矢萩渉。それゆえにアルバムのほぼ全体から、あの耽美で奥行きのあるサウンド観を臨むこともできる。

 「曲が先の場合は、彼がデモを録って、それをアレンジャーに渡して、返って来たものに玉置が〈ラララ♪〉で仮歌を……でも、彼の〈ラララ♪〉を聴いたらぜんぜん詞が思い浮かばない(笑)。完全に玉置浩二の世界になっちゃってるんでよね。なので、アレンジャーさんに渡す時点でキーも私に合わせてもらって、仮歌も私の声で入れさせてもらって。歌詞を書いて、世界観がほぼ出来上がると、彼はあえて入ってこなかったですね。入りすぎると何かが壊れるって彼が判断したと思うんです」

 自立した強い女性像を描いた(2015年の〈RISING SUN ROCK FESTIVAL〉で、C.C.ガールズが安全地帯のバック・ダンサー/コーラスとして復活をしたことが大きな刺激になったそう)というダンス・ナンバー《パドブレてRUNWAY》を筆頭に、悪戦苦闘していた二十代後半に書かれたという《ランナー》、女の本性が見え隠れするエロティックなナンバー《スライドショー》、〈働く女〉の慌ただしさを描いた《シルバー》、玉置も自身のステージで歌っている《My Star》……など、日常の喜怒哀楽から生まれていったリアルな感情と、そこから繋がっていった思想や妄想が綴られた言葉たちが、玉置の書く優しいメロディに包まれていく『blue's』。

 「《My Star》は、彼への想いが元になっている詞ではあるんですけど、人を守りたいとか、人のために何かしたい、そう思った瞬間にそその人は天使になっているんだろうと思うし、その気持ちは誰にでもあるものだと思って。玉置の歌を聴いて泣いてくださった方もいらっしゃったそうで、それは本当にうれしい事だなあって思うし、作品が独り立ちして涙になっていくっていうのはすごいことですよね。アルバムを作ったことで、感動を作る素晴らしさみたいなものを、音楽の世界で表現することにハマッてしまった感じですね。もっと自分を探ってみたいとか、もっと深いところにいけるんじゃないかとか、もうひとりの自分に辿り着いてみたいとか……そんなことを思ってます」

 


PROFILE
1967年10月7日生まれ。1990年第1回「日本美人大賞」C.C.ガールズ準グランプリ受賞。1991年6月12日 「C.C.ガールズ」として歌手デビュー。同年 日本テレビ音楽祭新人賞。1993年、ゴールデン・アロー賞グラフ賞を受賞。CDの他、映像や写真集など数多くの作品を世に送り出す。1998年、「C.C.ガールズ」卒業後ソロ活動をスタート。女優・タレントとして、ドラマや映画、バラエティ番組に出演するなど幅広い分野で活躍。「バブル青田」の愛称で男女ともに親しまれる。2006年、CD「ジーザス」発売。2010年、ロックバンド「安全地帯」の玉置浩二と結婚を機に芸能活動を休業。2012年、芸能活動再開。今年デビュー25周年を迎え、ソロアルバム「blue's」を発売。

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